オクラ

夏になるとよく食べる野菜です。
薄い小口切りにして鰹節と醤油を混ぜる、シンプルな食べ方が一番気に入っています。
暑くなると火を使う料理は少しでも減らしたいので、切るだけでよいところが重宝しています。


ところが、今年はオクラが高いですね。
平均して数本入りのものが100〜120円ぐらいだったのに、先週は150円台、そして今週はとうとう200円台になってしまいました。


何が理由なのだろうと検索してみましたが、ニュースにはなっていないようです。
ただ、「農業ビジネス」というサイトの「アグロマネー・ニュース」の2010年に「大雨でオクラ高騰」とありました。もしかしたら、西日本の雨が今年も原因でしょうか。


さて、この薄く小口切りにして食べる方法は母がそうしていたからで、子どもの頃からオクラといえばこの食べ方だけでした。


八百屋さんの店頭に並ぶ野菜は昔から食べられて来た野菜のようで、案外、シシトウアボガドのように1980年代後半ごろから国内に広がり出したものが多いのかもしれません。


オクラはいつごろからでしょうか?
私自身は小学校高学年から中学生ごろ、あいまいですが、1970年代には食べていたような記憶があります。


Wikipediaオクラには、以下のように書かれています。

アオイ科トロロアオイ属の植物、またはその食用果実である。英名Okraの語源は、ガーナで話されるトウイ語のnkramaから。
原産地はアフリカ東部(エチオピアが有力)。
(中略)
和名をアメリカネリと言い、ほかに陸蓮根(おかれんこん)の異名もある。
沖縄県や鹿児島県、伊豆諸島など、この野菜から全国的に普及する昭和50年代以前から食べられていた地域では「ネリ」という日本語で呼ばれていた。


「全国的に普及する昭和50年代」とありますから、私の記憶もそう間違いではないのかもしれません。
おそらく母もオクラをそれまでは食べたことがなくて、八百屋さんに出回るようになってから取り入れたのではないかと思います。


もうひとつJA全農やまぐちの「正直通信」に以下のように書かれていました。

日本へは幕末ごろに伝わりましたが、食用として普及し始めたのは1960年ごろからです。今では代表的なネバネバ野菜として人気ですが、当時はそのネバネバや青臭さのせいで敬遠されていたようです。


「ネバネバ」が重用され始めたのは、たしかに1990年代とか2000年代の健康ブームではないかと思い返しています。
子どものころは、ネバネバよりは夏バテしないように栄養がたくさん含まれている野菜という印象でした。


生で食べられる野菜が少しずつ増えていた時代でしたから、青臭さを敬遠された記憶はなくてむしろ好んで食べるようになったのではないかと思います。


こうしてみると、社会の雰囲気というのは本当に気持ちで移り変わりしているのですね。


そうそう、1980年代後半になると東南アジアの料理だけでなく、南米やアフリカ料理の店も広がり始めました。
その中でオクラを煮込んだ料理が紹介され、「オクラ」という名前は日本語ではなくアフリカから来たことを知って、へえー!っとおどろいたのでした。


「オクラ」と日本語の平坦なアクセントではなく、「オ、ックラ」とオを強く発音する呼び方であることを知りました。


たしかにトマトなどと煮込んでもおいしいので、しばらくはカレーに入れてみたり調理方法が増えました。
でも最近は、やはり小口切りで鰹節と醤油に戻っています。
味覚というのは保守的なものかもしれないですね。