境界線のあれこれ 76 <種を越える>

先日、葛西水族園に行き、いつものようにシュモクザメやエイが悠々と泳ぎ、カタクチイワシやアジなどのダイナミックな群遊が見られる大きな水槽の前でしばらく眺めていました。


「ん?何か変」と感じたのですが、その理由がすぐわかりました。
20匹ぐらいのグルクマの群れに混じって、1匹のマアジが泳いでいました。


グルクマと大きさも形も微妙に似ていますが、体表面の模様は全く違います。
ところが、泳ぎ方も向きを変えるリズムも全くグルクマに同調しているので、最初は少し違和感があったぐらいでグルクマに見えてしまうほどでした。


「紛れ込んで」というようりも、積極的にグルクマの群れの先頭を泳ぎ、まるでグルクマになりきってリーダーか一員のような顔をして泳いでいるのです。
その自信にみちた泳ぎに、こちらもあやうくだまされそうになったのでした。
まあ、マアジの気持ちはわからないので、このあたりは私の妄想ですけれど。


しばらく眺めていましたが、その日はずっとグルクマと一緒に泳いでいました。



Wikipediaによると、「マアジの分類」は以下のようです。

界:動物界
門:脊索動物紋
亜門:政策動物亜門
網:条鰭網
目:スズキ目
亜目:スズキ亜目
科:アジ科
亜科:アジ亜科
属:マアジ族
種:マアジ


この分類方法の名称だけで、もう何がなんだかという感じですね。
一方、グルクマは、「スズキ目、サバ亜目、サバ科、グルクマ族」で「種:グルクマ」になっていました。


マアジとグルクマは同じ「スズキ科」だから、魚同士では仲間のような感じなのでしょうか?
でも分類は人間側の事情でつけたものですから、魚には魚の事情があることでしょう。


魚だけでなく、異種の動物が仲がよさそうにしている映像を時々目にするのですが、なんだか不思議な感じですね。





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