最近、散歩や小旅行に比重が移ってしまい、水族園や動物園あるいは植物園で定点観察する時間が減っていました。
そうだ久しぶりに、といっても2ヶ月ぶりくらいでしょうか、葛西臨海水族園へ行こうと思い立ったのが年末最後の開園日でした。
案外、ふだんの平日より混んでいませんでした。
まず最初の大水槽で、グルクマの顔をして群れにいるアジが健在なことを確認して安堵し、カタクチイワシのストリームラインに惚れ惚れして、あのスポッティドラットフィッシュもこの日は目の前で何度も活発に浮上しては水面で背泳ぎをして水中に戻っていました。
こうしてたくさんの種が、無事にここに存在することにほっとしました。
そしてペンギンの水槽へ。
その泳ぐ姿を観ていると、次第に浮上するときの呼吸や足関節の使い方など、観察するたびに新たな発見があります。
そして私自身の、抵抗のない泳ぎへの試行錯誤へとつながっていくのです。
*浮上する*
給餌の時間前後に行くと、ペンギンが水中から浮上する姿を観ることができます。
そういえば「浮上」という言葉は当たり前のように使っているけれど、どういう意味があるのだろうとコトバンクをみてみました。
1 水中から水面に浮かび上がること。「潜水艦が浮上する」
2 隠れていたものや目立たなかったものが表面に現れること。また成績などが下位から上位になること。「課題が浮上する」「リーグ首位に浮上する」
英語では「surface」だそうです。
でも、この説明だとペンギンが水中から浮上してふわりと水面に頭を出す光景を表現しきれないのですね。
水中を潜水して泳ぐ姿も本当に抵抗がなくて美しいのですが、あの水から頭を出す瞬間の抵抗のない浮上の技術は、私の中ではペンギンの右に出るものはいないだろうと思うくらいです。
ひゅうと水中を進み、おそらくローリングで浮上する態勢ができて、ひょいっと頭が出るときの静けさ。
周囲にわずかの水紋ができるくらいで、大げさではなくハイスビードカメラで撮っても、一粒の水しぶきも起きていないのではないかと思う抵抗のなさです。
しばらく飽きもせずに眺めていました。
「浮上する」なんて一言では表せないあの複雑な体の動き。
そして、いつも気になっていたペンギンが何度も私の前に来ました。
右目がないペンギンです。
他のペンギンとなんら変わらない泳ぎのスピードで、美しく水面にひょいっと頭を出すのでした。
ペンギンの世界もなんだかすごいですね。
まだまだ新たな発見がありそうです。
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