数字のあれこれ 35 <45分>

今年の競泳日本選手権会場に入った時に、いつもと何か違うと感じたことがありました。


今までは、ゲートから入ったすぐの屋外に喫煙所がありました。
全ての観客が通る場所に喫煙所があるため、会場に入る前から副流煙を吸い、そして会場の中までそのにおいが入り込んでくることは競泳と受動喫煙で書きました。


その喫煙所がなくなったのか、まったく煙草のにおいを感じなくてすみました。
日本水泳連盟のHPをよく見たら、「受動喫煙をなくしましょう No Smoking Near Swimmers」という標語が掲げられていたので、ようやく時代が動いたのかもしれません。
競泳観戦を初めて十数年、ここまできたと安堵しました。


どこに喫煙場所が移動したのかわかりませんが、今までは観客席から1〜2分の距離だったので、競技中や表彰式などのわずかの時間でも喫煙所で煙草を吸って戻ってくる方々がいました。
近くからしばらく漂うそのにおいで、観戦の集中力も途切れてしまうことがしばしばありました。


全ての試合を観ても2時間ほどなのに、その間に「吸わなければいられない状態」になることがちょっと理解できなかったのでした。


<客観的な数字が増えた>


先日、「煙草を吸ったら45分間はエレーベーターを使わない」というルールを作った自治体のことがニュースになっていました。


賛否両論あるのでしょうが、けむりとにおいの実態それの数値化が進んだのだと受け止めました。


そうか、やはり煙草を吸って来た人の身体や衣服にはさまざまな物質がそれくらいの時間は付着しているのかと、今までの体感の裏付けになる時間の目安を知ることが出来ました。


最近は医療機関の施設内での禁煙は当たり前になりましたが、それでも外で吸ったあとにエレベーターに乗るとしばらくはエレベーターににおいが残ります。
たとえば産科診療所内のエレベーターであれば、妊産婦さんも新生児も乗ることがあります。
ただ、その「しばらく」がどれくらいなのか実測したことはないし、においは数値化しにくいので、なかなか注意喚起しにくい問題でした。


ただ、「45分間はエレベーターに乗らない」というルールの方が先に話題になってしまったので、ちょっと残念な印象です。


今までたばこについての記事を書いてきたのですが、この「45分」という数字がどこから使われてきたのかと検索してみて、初めて厚生労働省の「受動喫煙防止対策の現状と課題」という2015(平成27)年の資料を知りました。
その22ページに「喫煙後の呼気に含まれるガス状物質(TVOC):喫煙後の呼気はタバコ臭い、戻るまでに45分必要」という内容があります。
このあたりから「45分」が使われたのかなと想像したのですが、どうなのでしょうか。


ほかにも、屋外で吸った場合「十数m離れても受動喫煙あり」「数十mは離さねば」(p.16)など、ああやっぱり私が神経質になってタバコの臭いが感じられていたわけではなく、それくらい離れていても漂ってくるものであることが数値として確認できました。


たばこについてはなかなか論点が気持ちの問題にずれやすいので、なんでこんなに解決策から遠ざかってしまうのだろうと不思議です。
まず、どれくらい煙やにおいが空気中に漂うのか、そのデーター(事実)を喫煙者も非喫煙者も知ることが一歩だと思うのですが、また今回も煙に巻かれて行くような方向にいかないように願っています。



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