2015年に臨床で働く助産師には『晴天の霹靂』な認証制度として始まったアドバンス助産師ですが、初めての更新の時期になったようです。
乳腺炎の診療報酬の件には驚きましたが、その後は私の周囲ではほとんど耳にしない制度なので忘れていましたが、最近はどうなっているのだろうと日本助産評価機構という団体のホームページを読んでみました。
「一人前」レベルを認証する意味はあるのだろうか、その上は「カリスマ助産師」だろうかと考えたのですが、予想以上に細分化されていました。
*「院内助産を自律して実践できる助産師」の認証なのに*
今回の更新では、「一般」「看護管理者」「教員」「助産所管理者および助産所に勤務する助産師」「ウイメンズヘルスケア」という5つの区分に分けられていました。
[一般]区分
アドバンス助産師[一般]は、「院内助産を自律して実施できる助産師」としてCLoCMiP®レベルⅢが認証されていることを前提として、知識・技術等のブラッシュアップをはかっていることが更新要件となります。
これが、当初の「アドバンス助産師」です。分娩経験100例程度で「正常なお産がある」と思い込み、医師のいないところで分娩介助をしたいと思うこと自体が私には理解できない制度です。まあ、100例ぐらいの頃は、正常なお産は助産師だけで大丈夫と思い込みやすい時期かもしれません。
最近では分娩施設の集約化に伴って、数年目でさまざまな異常の経験を積んでも「分娩介助件数100例」になかなか届かないスタッフも増えているようです。
さて、新たな3つの区分が以下の通り。
[看護管理者]区分
アドバンス助産師[看護管理者]は、「院内助産を自律して実践できる助産師」としてCLoPMiPレベルⅢ・専門的自律能力の「管理」に当たる内部の研修を指します(日本看護協会および都道府県看護協会主催「産科管理者交流集会」等)。
[教員]区分
1. アドバンス助産師[教員]は、「院内助産を自律して実施できる助産師」としてCLoPMiP®レベルⅢが認証されていることを前提として、助産教育を遂行できることが更新要件になります。なお、この認証は全国助産教育協議会の定めるキャリアラダーレベルⅠの能力に相当します。よって更新までの実施例数は問いません。
つまり、「看護管理者」と「教員」は、「分娩経験数100例」以上で承認されたあとは分娩介助しているかどうかは問われないようです。
「院内助産を自律して実施できる助産師」の認証制度のはずなのですけれどね。
*「院内助産」の制度なのに「助産所管理者」の区分ができた*
「助産所管理者」という区分もできたようです。
1. アドバンス助産師[助産所管理者および助産所に勤務する助産師]は、「院内助産を自律して実践できる助産師」としてCLoPMiP®レベルⅢが認証されていることを前提として、地域で実践を重ねていることが認証の更新要件となります。よって、更新時までの実施例数は問いません。なお、この更新要件は、日本助産師会の定める開業助産師のラダーⅠの能力に相当します。
2. 助産所に勤務する助産師(保健指導型・分娩型)は、管理者と協働するうえで、助産管理能力や地域との連携・調整能力等が必要となるため、助産所管理者(分娩型)と同等の更新要件が適用されるものとします。
ちょっとわかりにくい話ですが、そもそも助産所は院内助産という医療法とは矛盾した制度とは異なり正当に開業できるわけですから、「院内助産を自律して実施できるアドバンス助産師制度」に認証を求めなくても、独自のラダーだけで良さそうなものです。
さらに以下のように書かれています。
※2023年の更新から、助産所管理者(分娩型)は、200例以上の分娩介助をしていることを前提とします。なお、助産所に勤務する助産師はこの限りではありません。
なぜ5年の間に「院内助産を自律して実践できる助産師」の承認制度に「開業助産所管理者」という区分が増え、その認証基準が200例に増えたのか、この民間資格を取得された方々には納得できる説明があったのでしょうか。