仕事とは何か 11 十三湖のしじみ

メモ用のノートを読み返していたら、今年の1月に放送されたNHKの「小さな旅」を観た時の記録がありました。「氷湖の黒いダイヤ〜青森県十三湖〜」で、2019年3月の再放送のようです。

 

昨年5月に秋田から山形、新潟の海岸線を訪ねたことで、それまでは遠く感じていた八郎潟が案外と近いと思えるようになりました。

ならば、その先の五能線で海岸線をまわり、そして十三湖もいけるかもしれない。

散歩の計画ノートに書いておいたので、番組表で見つけたときにすぐに録画予約したのでした。

今年はぜひと思っていたのですが、いつになることでしょうか。

 

ふだんは気になった場面を少し書き残す程度ですが、かなりの長さのメモが残っていました。

どんなに美しい場所なのだろうと見始めたところ、松が倒れるほどの強い風が吹くために、風よけの3mほどの板で覆われている様子に、そこからはまるで私自身が聞き書きをしているかのようにメモを取り始めたのでした。

働き口を求めて男は出ていく

辛抱強い、だから生きて来られた

宍道湖と並ぶシジミの産地

朝6時、吹雪いている時でも、しばれている時でもやる

岸から100m、チェンソーで氷に穴をあけ15畳ほどの漁場を広げる

ジョレンでかき出す

砂の奥までもぐって冬を越すシジミ

体力の限界まで掘って100kg

建設現場への出稼ぎ、父のそれがなければ生きていかれない

今はシジミ漁だけで冬を越せる

漁師は出稼ぎから解放された

津軽は何もないが、自然の恵みだけでここで暮らせるのなら幸せ

 

すごい風で天気が豹変する映像は、見ているだけでも足がすくみそうでした。

 

シジミを採っていた方は私と同じ世代くらいでしょうか。

シジミの栄養価が認められて価値が出たのはここ30年ほどで、それまでは二束三文で売られていたとのこと。

 

静かな話し方を聞いているうちに、私が子どもの頃からの東北のイメージと現在の落ち着いた街の風景とさまざまな思いが混ざりあって、メモにはしたのですが言葉にならずにそのままにしていたのでした。

 

 

 

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