1980年代に手元にあった世界地図は、まだ紙にカラーで印刷されたものだけでした。
当時はその地図を眺めて、ビルマ(ミャンマー)、ラオスそしてタイの国境とメコン川が接していることを何度も見ていました。
ところが、なぜパソコンの地図ではゴールデン・トライアングルが見つけられなかったのだろうということが気になり、何度も地図を見直してみました。
まず、国境線とメコン川(タイではコン川)の位置がずれています。
そしてミャンマーとの国境沿いに、コン川が細く描かれています。
これではメコン川の流れかたも全く不正確ですし、ゴールデン・トライアングルの存在さえない地図になってしまっています。
地形という事実だけが映されている航空写真の地図に切り替えて見ました。
地図はやはり国境と川の位置がずれていますし、写真ではコン川は右上へと大きなメコン川として流れているのに、マップではバッサリとそのメコン川の水色がなくなっています。
またミャンマーとタイの国境を流れているのは、地図では名前が記載されていないのですが、おそらくルアク川です。
メコン川は「チベット高原に源流を発し、中国の雲南省を通り、ミャンマー・ラオス国境、タイ・ラオス国境、カンボジア、ベトナムをおよそ4200kmに渡って流れ、南シナ海に注ぎ込む」という事実を航空写真では確認できるのに、マップでは全く不正確なのはなぜなのでしょうか。
正確な地図があるところにはあるということかもしれませんが、そういう気持ちは往々にして陰謀論へと向きやすいですから、完璧な地図はないの理解の方が良いかもしれませんね。
日本のあちこちの川を歩くようになって、世界の川も気になりはじめました。
かつて自分が住んでいた東南アジアや、まだ行ったことがない世界の大半の地域のマップを見ているのですが、ヨーロッパやアメリカなどはかなり細かく河川が描かれています。
ところが東南アジアやアフリカになると、水色の線が歴然と少なくなります。四季を通して流れる川は二つしかないというソマリアならいざ知らず、緑豊かな地域でも川が正確に描かれていないようで、妄想の旅もできずに残念。
ただ、ヨーロッパでも河川の名前が書かれていなかったり、現地語で読めないことも多く、なかなか完璧な地図はないですね。
「完璧な地図」というのは究極の目標でも、「より正確でより詳細な地図」というのはやはり「平和でなければ地図づくりはできない」ということと、「経済的な格差が少なくならなければ詳細な地図を見ることができない」あたりかもしれませんね。
「事実とは何か」まとめはこちら。
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