散歩をする 256 七尾線で邑知潟を見る

11月中旬、一旦キャンセルになった遠出の計画決行です。直前になってキャンセルせざるを得なかったので、この日の朝まで、いえ出発してからも「今回は無事に出かけられますように」とひたすら祈っていました。

 

真っ暗な早朝5時に家を出て途中の新宿駅で乗り換えたのですが、こんな時間でも通勤の人で満員でした。駅に到着すると改札に向かって走る人が多いことにも驚きました。たぶん、早朝は列車本数が少ないので、乗り継ぎ時間が少ないのでしょう。

5時50分、東京駅では焼きたてのパンの香りが漂っていました。これから構内のお店が開く時間です。

遠出をするときには、私よりももっと朝早くから出勤し働いている方々がたくさんいる、そんな生活の違いをあれこれと知る機会にもなります。

 

6時16分発の北陸新幹線、かがやき501号に乗って出発。最初は空席が目立ちましたが、大宮でたくさん乗車してきました。

このところだいぶ見慣れた、北陸・上越東北新幹線の車窓の風景ですが、飽きることもありません。ずっと窓の外を眺めていられる楽しい時間です。

高崎の手前で、赤城山よりも北側の山に雪が積もっているのが見えました。

 

トンネルを抜けると、雲ひとつない真っ青な空に、浅間山がぐんと近づいて見えてきました。

数回、北陸新幹線に乗ったのですが、こんなに全景を見ることができたのは初めてです。

お天気にも恵まれて良かった、これで千曲川流域を見ることができると楽しみにしていたら、何と真っ白な朝もやで、アップルラインも見えず、立ヶ花狭窄部も一瞬もやの中に見えただけで飯山まで真っ白の世界でした。

トンネルを抜けると妙高からはまた晴天で、富山までまた美しい海岸線を見ることができました。早朝の富山湾は、光の加減で、何とも幻想的でした。

射水から高岡までの水田地帯が見えました。以前とは違って、牛ヶ首用水路やこの地域の歴史を思い出しながらですから、また風景が違って見えます。

 

あっという間に、金沢に着きました。

 

七尾線に乗る* 

 

金沢を8時56分に出発する能登かがり火号に乗り、七尾まで52分で、その途中に邑知潟が見えます。

この七尾線では往路は邑知潟が見える座席で、そして翌日の復路は河北潟が見えるように予約しました。準備万端です。

新幹線からの乗り継ぎ時間10分でしたからちょっと心配しましたが、何事もなく乗り継ぐことができました。なんと一車両に一人という贅沢な旅です。

 

金沢駅を出発すると、七尾線河北潟に沿って逆「くの字」に曲がりながら走ります。往路では河北潟流入する河川やその水源のある山々、そして河北潟の外側にある昔からの街を見ることができました。

金沢の周辺の山はそれほど高くない緩やかな稜線が続き、そこから細い川が何本も見えました。ため池も多いようです。

黒い瓦の落ち着いた家並みが続きます。

 

河北潟の北端をすぎると、七尾線羽咋駅まで海岸線に沿ってまっすぐに走っています。

地図で見ると、高校の修学旅行で行った千里浜ドライブウェイのそばを通過しているのですが、あちこちの海岸線を見るようになって、今ではこのあたりは自然堤防の内側で海は見えないだろうと推測できるようになりました。

予想通り、海はまったく見えませんでした。

 

そして私の座った山側の席からは、予想していなかった激しい起伏のある地形が続いていました。

山の起伏というよりは、まるで海岸線よりも低く見えるような場所です。

自然堤防の内側にたくさん潟があって、その湿地を少しずつ農地へと変えて行ったのではないか、家よりも低い湿地の底に向かって開墾したのではないか、そんな印象を受けたのですがどうなのでしょう。

 

*邑知潟*

 

宝達(ほうだつ)の手前あたりから、水田地帯が山側に向かって広がっています。もう収穫がとっくに終わった時期ですが、緑色のひこばえが一面に広がっていて、なんとも美しい風景です。

 

羽咋駅を出ると、じきに取水堰が見えました。邑知潟からの羽咋川を渡ると、七尾線は北東へと進路を変えて、干拓地のそばを走ります。

右手に邑知潟とその中心の羽咋川の低い堤防がずっと見えます。その向こうに遠く、金沢から続く山並みが見え、反対の左手はすぐに山が迫っていました。

 

あと1ヶ月もすると、雪が降って、白鳥が飛来してくるようです。

 

邑知潟を抜けて住宅街が増えてきても、両側は低い山に挟まれた風景が続き、七尾駅に到着しました。

 

なんと美しい風景と不思議な地形なのでしょうか。

来てよかったと満足した52分でした。

 

 

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