散歩をする 307 谷地川から滝山、高月用水へ

雷雨になりそうで引き返した日野用水から谷地川の散歩ですが、もっと谷地川の中流域の風景を見たくなり2日後にまた出かけました。

もともと多摩川右岸の水田を見たいと思って計画した散歩でしたが、日野用水沿いは畑地でした。もう少し多摩川近くまで行けば水田があるのでしょうか。

 

東京都産業労働局の「田んぼの生き物調査」の中の高月用水に目が止まりました。

「高月」どこだろうと思って地図を見ると、谷地川に近い場所です。

5月初旬、まだ田植えは始まっていないかもしれないけれど、水田に水が張られ始めているかもしれません。ここを目指すことにしました。

 

*宇津木から滝山へ*

 

再び日野駅に降りて、宇津木台行きバスに乗りました。先日歩いた場所をバスで通過しながら谷地川を越え、八高線を越えるあたりから小高いところへとバスは登り始めます。このもう少し先に日野用水の取水堰があるようですが、また次回にということで。それでもバスで近くを通ったことで、取水堰が造られた場所の地形をイメージすることができました。

 

オリンパスの工場のあたりから、バスはさらに急な登り道を上がって行きますが、両側には住宅地が広がっています。おそらく1980年代から90年代ごろから開発されたのだろうと思われる、整然とした街並です。

小高い場所の終点で降りると、目の前にはまだ雑木林が公園として残されていて、その森に沿って下っていくと目の前が開けて先日の谷地川の右岸に出ました。対岸にも低めの丘陵地が川に沿ってあるようです。

 

先日の続きの遊歩道を歩き始めました。蛇行した旧河道と思われる場所がまた遊歩道になり、公園が整備されています。

あるいは、浸水しやすい場所だったのか広めに河岸が芝生で覆われていて、コンクリートでの護岸とは違う風景もありました。

 

水量はそれほど多くないのですが、水草など植物が茂り、魚もいました。

ホトトギスが鳴き、ハゴロモジャスミンの香りが漂い、ところどころに大きな木や畑も残ってのどかな遊歩道です。

20~30分ほど歩くと、両岸の小高いところに大学がある少し賑やかな場所になり、そこを過ぎるとまた畑や住宅が続く静かな遊歩道で、その先にひとつめの目的地である神社がありました。

「勝手神社」という名前に惹かれて訪ねてみましたが、由緒は残念ながら書かれていませんでした。

 

 

*滝山街道から高月への切通し*

 

ここから一旦、谷地川を離れ、今日は高月町へと向かいます。

地図で見ると、滝山城址のある丘陵地の反対側になるようで、山道を越える必要があります。

幸いにして拝島方面へ向かうバス路線があり、それに乗ることができそうです。

 

バス停に向かう途中の舟木町三丁目の交差点に、大きな石碑がありました。

道路開通記念

思う一念中央を貫く

加住地区中央部の市民が永年要望した道路を十一ケ年の歳月を費やし、竣工した 関係者によって記念碑を建てる

昭和三十九年九月秋  発起人代表 村内萬助書

 

この交差点から山を貫いて高月町へ向かう道は、1964年につくられた切通しの道だったようです。

航空写真で事前に確認した時には人通りも少なさそうな山中の道に見えたので、バスを利用した方が安全そうだったのですが、案外、車がひっきりなしに通っています。

私が幼児の頃に熱望されて造られた道を歩いてみようと、石碑を見たら気持ちが変わりました。

 

最初は歩道があったのですが途中でなくなり、前から後ろから大型車もひっきりなしに通るので怖かったのですが、もう後戻りもできません。

あまり森側に寄って歩くと、そこは湧き水か何かで湿った地面ですし、蛇行する道を歩くのは好きなのですが蛇が苦手なので、どこで遭遇するかとヒヤヒヤしながら歩きました。

ようやく下り坂になり、田地が広がっているのが見えました。

十数分で高月側に到着した頃、乗るつもりだったバスが私を追い越して行きました。

 

今ならバスで2分ほど、歩いても十数分で越えられる場所ですが、60年前は山道を心細く歩くか、かなり迂回していたのでしょうか。

 

*高月の水田と高月用水*

 

水田地帯に沿って広い歩道が整備されていました。車から解放されて、ホッとしながら歩きました。一面、まだ土だけの風景でした。まだまだ東京の田植えの風景には早かったのかもしれません。

水路に流れている水に癒されながら歩いていると、途中、少しずつ土に水が浸み込んでいるところがありました。こうして水を張り始めるのですね。

高校生まで過ごした地域では毎年見ていたはずなのに、何も知らないまま人生を過ごしてしまいました。

 

水田の風景を見ることができたら、俄然、元気が出ました。

秋川と多摩川の合流部に近いところにある取水堰をみて、秋川を渡り、今度は多摩川を渡って拝島駅まで歩いてから帰路につきました。

 

 

「散歩をする」まとめはこちら

あわせて「米のあれこれ」もどうぞ。