水のあれこれ 292 吉野川分水の円筒分水工

近鉄五位堂駅目前で足が限界になってひと休みしましたが、1日目の最後の目的地がもうひとつ残っています。

今までの水への関心から訪ね歩いたいくつかの場所がなければもうやめてホテルへ向かおうと思っていたと思いますが、ここは這ってでも行こうと思いました。

 

吉野川分水には円筒分水があるようですが、地図で探しても最初どこなのか全くわかりませんでした。「Cassiva」の記事でその場所がわかりました。

そして香芝市別所へ。

道路のマンホールが「大和平野」となっているので、この下を通っていることがわかります。

ここにあるのが「円筒分水工」で、吉野川分水の施設の中でも特徴的なものです。

サイホンの原理により水位差による水圧で湧き上がった水が

内側に取り付けられた壁の仕切りによって、それぞれ必要な水の量に分けられる仕組みです。

住宅地に突然現れますが、開発される前は周りは山だったそうです。

航空地図で確認したところ、住宅地の真ん中に丸いコンクリート製の円筒分水工らしきものを確認することができました。

 

地図では高低差がわからないのですが、「開発される前は周りは山だったそうです」と書かれていますからちょっとしたハイキングを覚悟した方が良さそうです。

 

香芝市の円筒分水工を訪ねる*

 

近鉄五位堂駅周辺は南側は水田や住宅が広がる平地ですが、北側には低い丘陵地帯が迫ってきているような場所でした。

目的地まで1km弱はありそうで、疲れた足を引きずるように歩いているうちに山裾に近い場所にきました。新しい住宅地が山肌に建っているような場所で、途中からはただただ下を向いて住宅地の坂道を上りました。

 

涼しい風に一番高いところまで来たことがわかりました。地図で確認していたものの、一瞬どこにあるのか戸惑っていたら、目の前の柵に囲まれた場所に円筒分水工がありました。

円筒分水工を知らなければ、住宅地の貯水槽だと思ったことでしょう。

 

午前中に訪ねた下渕頭首工からはるばる吉野川の水がここに流れている場所でした。

 

空き地から西部幹線水路が流れている当麻寺のあたりの山が見え、御所市のほうへとわずかな平地が南へとつながっている景色が見えました。

江戸時代から大和平野の人たちはこの地形を眺めては、「あの方向から水を引くことができないか」と願い続けてきたのでしょうか。

 

現代は、地図には描かれていない水色の線でこうして地下に水が流れているのですね。

そしてさらに正確に水をあちこちへと分水していく。

なんという魔法のような世界でしょうか。

 

 

*円筒分水工の記事のまとめ*

専門的なことは全くわからないのですが、散歩をしていると昔からの水争いに対して水を分けるための技術として円筒分水工に出会うことが増えました。

その記事をここにまとめていこうと思います。タイトルは記事とは異なることもあります。

 

二ヶ領用水と久地円筒分水

流量を測定する

岩手の穀倉地と寿庵堰

久地分量樋から久地円筒分水へ

久地円筒分水とサイフォンの原理

佐波川の円筒分水工と防府総合用水

 

 

 

「水のあれこれ」まとめはこちら