散歩をする 462 陸羽西線代行バスの車窓から最上川を眺める

山形新幹線の車窓の風景が終わりました。途中、福島駅で遅れている在来線の継続待ちで停車したので、4分遅れで新庄駅に到着しました。

新庄は初めてで、新しい駅舎がおしゃれでした。33度ですが風が爽やかで、駅の外にいても暑さが苦になりません。いつか奥羽本線も全て乗ってみたいと思っていたのですが、これで残すところ大曲ー新庄間になりました。

 

新庄駅山形新幹線の終点というだけでなく、ここから日本海側へと陸羽西(りくうさい)線が通っていて、途中最上川のそばをずっと走る路線です。

いつか乗ってみたいと楽しみにしていましたが、今回チケットを取る段階になって代行バスになっていることを知りました。もしかして米坂線が不通になった昨年の記録的大雨陸羽西線も止まっていたのに記憶に残っていなかったのかと思ったところ、道路工事に伴う一時的な営業休止のようです。

 

代行バスでぐるぐると最上川支流沿いを走る*

 

代行バスのバス停に行くと、ちらほらと乗客が集まっていました。観光バスが到着して乗り込む頃には8割ぐらい乗ったでしょうか。

運よく、右側の窓席に座ることができました。最上川を眺められそうです。

 

地図では最上川の支流沿いに開けた場所を想像していましたが、新庄駅周辺は少し小高い場所のようでした。升形(ますがた)川左岸の段丘の上という感じでしょうか。

駅周辺の市街地には消雪パイプが埋められていましたが道路は茶色ではなく、富山や金沢のような感じでした。この色の違いは、水質によるのでしょうか。

 

そんなことを考えているうちに、右手が山に近づいて集落が細長く続き、左手は水田地帯になりました。県道34号線を走っているようです。

コスモスやケイトウグラジオラスそして大きな葵科の花でしょうか、沿道にはさまざまな夏の花がよく手入れされて咲いていました。花が多いのが農村を訪ねる楽しみのひとつですが、農家の方々は人生をかけて花も育てているのかもしれないと、 ダリアが好きだった祖父をいつも思い出します。

青鷺も飛び、小さな蓮田もありました。田畑の近くにお墓がポツポツとあり、真っ黒な墓石が夏の日差しの中で光っていました。

 

沿道にある小さな神社やお社には、どこも小さな説明板があるのが見えました。途中下車してすべてを読んでみたいものです。

真っ青な空と緑の山々に稲穂が風に揺れている美しい風景、そして静かで落ち着いた小さな町、なんだか幻を見ている気持ちになってきました。

 

車窓に息を呑むような美しい川が現れてすわ最上川かと思ったら、支流の鮭川と表示がありました。

 

バスでぐるぐると回っていたので、方向感覚がなくなってきました。

 

 

最上川沿いに走る*

 

車窓の風景に集中していたら、しだいにバスの中の会話が賑やかになってきました。どうやら日本の方ではないようです。

 

それまでの県道から自動車専用道へと入りました。国道のようです。

橋にさしかかり、今度はほんとうに最上川が見えました。

左岸側は堤防でその内側に街が細長く続いていますが対岸は山が河岸にせまり、あの三面(みおもて)川に似ています。

山あいを抜けるこの区間は、地図から想像していた急峻な流れではなく、ゆったりと水面も穏やかに流れていました。

 

バスが少し高台に上って古口駅に停車し、たくさんの観光客が降りて賑やかだった車内が静かになりました。

 

また堤防沿いの国道47号線に戻り、土手の内側をバスが走ります。「想定浸水深0.5メートル」の表示がありました。

しだいに道路が川沿いの高い場所になり、ずっとずっと最上川が見えるようになりました。

どこまでもゆったりと流れています。

陸羽西線だとトンネル区間がいくつかあるようですが、バスだとほとんどトンネルがなく最上川を眺め続けることができました。

 

さらに川幅がゆったり広くなり、「草薙頭首工」の表示がありました。対岸に取水口のような建物が見えました。

地域の概要

古口集落の下流約10キロの最上峡は、草薙層と呼ばれる硬質貢岩の地層のため、侵食されることなく今日まで古来の姿を留めており、自然が作り出した景勝地となっています。春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色と一年を通して美しい景観を楽しむことが出来ます。

地域の保全のための取り組み

最上峡の終点部に位置する草薙頭首工は、昭和43年に国営最上川下流右岸農業水利事業により完成した施設です。草薙頭首工と最上川取水口の受益面積は、約13,000haに及ぶ。両施設は、最上川下流右岸土地改良区連合が管理しています。

農林水産省、「農村振興」「五月雨をあつめて早し最上川『最上峡』」より)

 

計画にはなかったのですが、期せずして最上川右岸側の水利施設を見ることができました。

 

この草薙頭首工のすぐ下流に左岸側からの立会沢川が合流し、その橋を渡るときに「さみだれ大堰」の表示が見えました。

合流部から上流数百メートルほどのところにある堰で、これが「かつては最上川左岸地域は水を得られなかった」という歴史の大事な場所です。

 

ほんとうはその大堰から歩いてみたかったのですが、時間に余裕がなかったことと猛暑の中を歩き通す自信がなくて変更したのでした。

 

代行バス最上川から離れて黒い瓦屋根の美しい清川の街並みを通り、11時30分前に狩川駅に到着しました。

バスを降りると素敵な佇まいの駅舎の向こうに水田地帯が広がり、涼しいけれど強い川風が吹いていました。

 

しまった、また川風の存在を忘れていたと思いましたが、風を避けながら日傘をさして一歩を踏み出したのでした。

全国各地で大雨が降る中、山形のあたりは猛暑日で快晴でした。

 

 

「散歩をする」まとめはこちら