平城宮跡に群生するツルボはまた夢に終わり、そのあと近くの周濠と田んぼを歩いたのに1本も見つけることができなかったという信じられない結果です。2021年は新型コロナの感染拡大で涙をのみ、2022年8月下旬と2023年9月初旬と2年連続で訪ねたのに探し物は見つからなかったのでした。
このままツルボの季節が終わってしまうのはあまりに悲しいので、近場に見にいこうと思い立ちました。
9月中旬、もしかしたらと思い、半蔵門線九段駅で下車してその場所に向かいました。
探し物は見つけにくものですが、予期しないところに咲いていますからね。
北の丸公園に入り、武道館横から科学技術館へ向かって歩いてみました。
千鳥ケ淵のそばは森のようで、周囲の車の音も聞こえないくらい静寂です。
あの丸亀城のようにお堀のそばならツルボが咲いているに違いありません。
ところが「蛇が出ます」におじけづきました。しかたがないので整備された歩道のそばの草むらだけを眺めて歩きました。
こんなに広い草むらなのに、1本も見つかりません。
大きな石垣を眺め、清水門をくぐり清水濠へと一旦出ました。
皇居の周囲にはツルボは咲いていないようです。
清水濠の西側のお堀には花の季節が終わった蓮の葉が青々と広がっていましたが、別のお堀は水草やガマだったり、お堀によって植物も違うようです。
少し先に首都高環状線の高架橋が見えました。
その先で皇居の地下に入り千鳥ケ淵でまた地上に出る首都高ですが、江戸城をぶったぎっているという感じがなんともシュールです。
なぜここにこんな形で建設することになったのでしょう。知らないことばかりです。
*皇居東御苑*
さて、ツルボは見つけられなかったけれど江戸城の美しい石垣とお堀を見ることができただけでまあいいかと思いながら竹橋までくると、皇居東御苑の案内が出ていました。
この機会だから立ち寄ってみることにしました。
外国人観光客らしい人たちがぽつりぽつりと入っていきます。手荷物検査を受けて、石垣に囲まれた場所を通ると、目の前は一段高くなっています。
江戸城は海岸沿いのかなり起伏のある場所だったのですね。
平川門を入ってすぐ、白壁の内側の草むらを何気なくみるとツルボが群生していました。
ここまでの皇居周囲の草むらには1本も見つからなかったのに、本当に不思議な花です。
高い石垣を右手に歩くと、開けた場所になって二の丸雑木林になりました。
「雑木林」その表示だけでも、なんだかうれしくなりますね。
「主な野草」の案内があり、春はタチツボスミレ、チコゴリ、キンラン、ギンラン、夏はオカトラノオ、ノカンゾウ、秋はノコンギク、カシワバハグマ、リュウノウギクと、身近な植物が表示されています。
大好きなタチツボスミレも咲くようです。
その雑木林の地面を見ると、またあちこちにツルボが咲いています。
ぜひぜひツルボもその案内に加えて欲しいものですね。
なんだか子どもの頃の近所の裏山や原っぱを探検している気分になりながら、あちこちのツルボを眺めました。
しばらくしてまた石垣の間になり、目の前に丸の内のビル群が見えて大手門へと出ました。
雑木林とツルボが幻だったかのような混乱のまま、またお堀のそばを歩いて地下鉄の駅へと向かったのでした。
「落ち着いた街」のまとめはこちら。
城と水のまとめはこちら。