水のあれこれ 250 水底から引き上げる

海外の選手名もわからなくなり、世界水泳の開催変更の情報にも追いついてませんでしたが、テレビ朝日が連日放送してくださったおかげで遅れながらも録画を見ることができました。

 

Wikipedia2022年世界水泳選手権の経緯のまとめがありました。

第19回世界水泳選手権大会(19th FINA World Championships)は2022年6月18日から7月3日までハンガリーの首都ブダペストで開催された世界選手権。なおFINAは2022年ロシアのウクライナ侵攻を受けてロシア、ベラルーシ両国の選手、関係者の参加を認めないことに同意したため、両国の参加ができなくなった。

 

開催の経緯

2021年に開催される予定であった福岡大会は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、2020年に開催される予定であった東京オリンピックが2021年に延期されたことを受けて、国際水泳連盟FINA)が日程の調整を行って開催期日を2022年5月に設定した。しかし、日本国内での新型コロナウイルスの再拡大により、FINAは同大会を2023年7月に延期。これを受けてFINAは、実践の機会を確保するために、世界水泳ブダペストで開催することが発表された。

 

短期間で、さまざまな調整や安全の確保に奔走した大会だったようです。

こういう記録は大事ですね。

 

放送では、ドナウ川と美しいブダペストの街並みが映りました。大好きなカティンカ・ホッスー選手の国もまた緊張が高まっていたのではないかと思いますが、あえて開催国になったのはどんな意思表明だったのでしょう。

 

 

*ASの選手が溺れ、救命された*

 

さて、今回の大会で鮮烈に記憶に残ったのが、アーティスティックスイミングの演技中に失神した選手が水底からコーチに救出されている様子の動画でした。

 

アルバレスの異変に気づいた米国チームのコーチを務めるアンドレア・フエンデス氏は、一目散にプールに飛び込んだ。水中に沈んでいく彼女を自らの手で、水の外へと救出したのだ。その後、応急手当を受けたアルバレスは一命を取り留めた。

(中略)

そして「他の持久系スポーツでもこのような事が起きていることを、我々はつい忘れてしまっている」と綴り出したうえで、こう続けた。

「マラソン、サイクリング、クロスカントリー・・・。ゴールまでたどり着けず、他の選手が助けようとする映像は誰もが目にしたことがあるはずだ。我々のスポーツも他の競技と同様で、水中で限界に挑戦しており、時には限界に達してしまう」

YAHOO!JAPAN ニュース、「THE DIGEST」、2022年6月24日の記事より抜粋)

 

動画では、選手を後ろから抱えながら浮上していく女性コーチの姿が映っていました。

選手が無事で本当に良かったという安堵と、「すごい」という思いでしたが、何がすごいと思ったのがうまく言葉に表せないほどの衝撃でした。

 

 

*「きちんと分析を」*

 

競泳大会中には野口智博氏のブログやTwitterが気になるのですが、「ああ、これだ」と思うことをその日に言葉にされていました。

 

世界選手権のASで溺水があった件、根本的な原因は何だろう?種目数が増えて選手の負担が増えたからとかかな?きちんと分析して欲しいものだね。あと、救助に行ったのがガードでなくコーチだったてのはどうなのか?確か国際大会もガードがついていたと思うが、5m水底に沈む想定はしていなかったのかな?

まさかASの選手が溺水なんて・・・て誰もが思うんだろう。うちでも授業で救助法やるけど、「泳げるやつだって普通に溺れる」と言っても、真に受ける学生は少ない。でもそれが起こるのよね。だとすると、深いプールでは、ダイバー的なガードを一人くらい配置するのも必要よね。

救助したコーチはほんと凄いよ。まず、5m適者が沈んでから、一瞬で救助者が水底に到達するとき、減圧症のリスクが生じるし、浮上するまでの間ノーズクリップなしで息こらえせなあかん。ASやダイビング経験者ならともかく、競泳の人だとまず無理というか、救助者のリスクが高すぎる。俺なら失神する。

なので、この件は美談で終わらせてはならないのと、全国の水泳指導者は、夏のハイシーズンを前に、今一度自身の救助スキルを確認しておくことが必要よね。俺も今日の3限の後に、改めて日赤のやつとか、今自分がどこまでできて、どこからはできないのかを確認しておこう。

 

都内の長水路プールも最大で水深が2.2mぐらいのところが多いのではないかと思いますが、あの映像はその倍以上の水深から引き上げていたことに、改めて驚きました。

しかも、救助者にも相当のリスクを伴うものだったとは。

 

泳ぎの技術だけでなく、こうしたリスクまで専門的な視点で支えられているのですね。

きっと美談でもなく個人のミスを責めるのでもなく、失敗が次に生かされるだろうと思えてきました。

 

 

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