散歩をする 464 地図で見つけた赤川頭首工を歩く

散歩の2日目、朝4時に目がさめて窓の外を見ると8月上旬ですからすでに薄明るくなって鳥海山と月山がくっきりと見えていました。

庄内平野、まさに山の懐に抱かれてという美しさですね。

 

5時すぎてすっかり明るくなると、鶴岡市中心部の住宅街とそれを囲むように緑色に水田地帯が見えるようになりました。鶴岡城の西側を流れる青龍寺川が少し高台を流れているようにも見えます。

朝のニュースで、五所川原のお盆の白い菊の出荷の話がありました。岩木山がどこからも見える美しい風景を思い出しました。

 

今日はこの鶴岡市を潤す赤川の頭首工を見に行き、そのあと鶴岡城と青龍寺川を歩く予定です。

 

ホテルの眼下にあの酒田の山居倉庫のような真っ黒い屋根の大きな古い建物がみえたので、チェックアウトしたあとに寄り道をしてみたら全農の倉庫のようでした。庄内米を貯蔵するのでしょうか。

7時43分、鶴岡落合線という路線バスに乗りました。鮮やかな黄色の車体は意表をつくものでしたが、なんだか楽しい気分になりました。

数人の乗客を乗せて、夏の朝の静かな街を走ります。雁木のようなアーケードと消雪パイプも見えました。どれくらい雪が降るのでしょうか。

 

前日訪ねた水神社のそばを流れる新内川から鶴岡城へと分岐する内川を渡ると、外内島あたりからは広い水田地帯になりました。

 

県道359号線を水田地帯をまっすぐまっすぐバスは赤川に沿って走ります。

また方向感覚がおかしくなりました。

私が住んできた場所というのは「南下」すると海へと突き当たるのですが、ここでは赤川の上流へと向かうからでしょうか。体に染み付いた感覚というのは、なかなか変えられないものだと思っているうちに、県道沿いの集落で一人下車して乗客は私だけになりました。

 

バスの窓から振り返ると、鳥海山が見えます。進行方向には月山が見えるはずなのですが、ここまでくるとどの山が月山だかわからなくなってしまいました。山というのは見る距離や角度によって姿が違うので、山の名前を覚えるのは大変ですね。

 

どこまでも美しい水田地帯と落ち着いた集落をすぎると、赤川の堤防が近づきその向こうに水門が見えて、いよいよ頭首工前バス停で下車しました。

 

しまった、鶴岡駅のあたりでは無風だったので、また川風のことをすっかり忘れていました。

日差しは強いので日傘をさしたいのですが、立っているだけで吹き飛ばされそうな風が吹いています。

ちょうど山と山の合間から抜け出た場所だからでしょうか、想定外の川風でした。

 

それでもせっかくここまで来たのだからと慎重に水門の近くまで歩くと、大きな説明板がありました。

検索してもあまりわからなかった赤川頭首工の詳しい説明が書かれたものです。ほんと、来た甲斐がありました。急いで写真を撮り、足がすくみそうな轟々と流れる分水工のそばから逃げるように離れました。

 

折り返しのバスの時間まであと1時間近くありますが、とても散歩どころではない風の強さでした。

分水路を少し歩き、その名も熊出バス停でバスを待つことにしました。

交通量も多い道路沿いですが最近はどこでも熊が出没するニュースを思い出して、風と熊にビビりながら待っていると、また鮮やかな黄色のバスが遠くに見えてきてホッとしながらバスに乗り込みました。

 

 

美しい水田地帯を眺め、遠くに先ほどの頭首工からの幹線水路を目で追いました。

水田地帯が終わるあの外内島あたりから、川風が落ち着いてきたのがわかりました。

 

 

扇状地に造られる利水施設というのは暴れ川だけでなく川風との闘いなのだと、富山の庄川と散居村の歴史を思い出しました。

そうした施設の維持管理の仕事も、そしてその近くで農業を営むということも大変なことですね。

 

そしてその風のために、あるいは熊などから身を守る為にもやはり公共交通機関以外に自家用車がなければ移動は無理そうと思いました。

なかなか難しいですね。

 

 

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