三豊干拓地を訪ねるのは断念したので、予定より1時間ほど早く善通寺を15時12分発の予讃線快速サポート南風リレー号で丸亀に向かうことにしました。
そういえば朝から何も食べていませんが、この時間帯はお店はちょうど休みです。
でもお腹が空きました。中華料理のお店ならけっこう昼食後も開いていることがあります。地図を眺めていたらありました。そこで昼食というよりは少し早めの夕食を食べて、今夜宿泊予定の丸亀のホテルまで川沿いに歩こう。
初めて訪ねる土地勘も全くないところなのに、案外と良い計画変更ができました。散歩の達人になってきたでしょうか。
丸亀を宿泊地に決めたのは、大小さまざまなため池が市街地にたくさんあることと、お堀の水色が残っている丸亀城をいつか訪ねてみたいと思っていたからでした。
海城のように見えますが、お城をはさむように西汐入川と現在は暗渠の東汐入川が地図に描かれています。なんとなくこれが気になっていたのですが、実は出かける当日まで丸亀駅に着いてからの計画は漠然としたままでした。
そこで丸亀駅の一つ手前の讃岐塩屋駅で下車して西汐入川沿いに歩き、途中でご飯を食べてさらにため池を目指そうと、空腹ゆえの計画ができたのでした。
*予讃線で讃岐塩屋へ*
香川県も一部ICカードが使えない区間があるのですが、ここからは使えました。
予讃線の車窓からは広々とした黄金色に輝く水田地帯が見えます。沿線にため池の気配はないのですが、頭の中のため池と香川用水の地図を重ね合わせながら眺め続けました。
比地大駅、ひじだいと読むようですが、その周囲もまた水田や暗渠の水路が張り巡らされているのが見え、暑い中、農作業をされている方々の姿がありました。
この先に勝田池、国府池というかなり大きなため池があるようですが車窓からは見逃し、高瀬駅に到着。ここで待ち合わせのため9分停車しました。二つ先の託間駅でも4分の停車がありましたから、予讃線はけっこう本数が多いのですね。
このあたりまでが、香川用水東幹線水路の高瀬支線による用水路でしょうか。
託間駅を過ぎると海岸沿いをしばらく走り、大好きな瀬戸内海の風景に見入りました。
多度津を過ぎ、海岸沿いにある美しい水田の向こうに森が見え、少し工場が増えたところで讃岐塩屋駅に到着しました。
「塩屋」という地名から塩田だったのだろうと推測できますが、現在は沿岸の工場地帯や船のドッグなどになっているようです。そのすぐそばにある水田がなんとも趣がある田んぼで、美しい森は中津(なかづ)万象園という庭園のようです。駅からも近いので訪ねてみたくなりましたが、まずは空腹をなんとかしないと。
反対の南側へと歩くと、お店がありました。空腹のあまり中華丼に餃子そして杏仁豆腐まで頼んでしまいました。
満足してお店を出ると16時45分、9月初旬ですからまだまだ日が高いのですがだいぶ涼しく感じられるようになりました。
*西汐入川沿いに先代池へ*
お店のすぐそばにある川が目指す西汐入川です。予想以上にきれいな川で水量があり、そばには水田が広がり虫の音が聞こえてきました。祖父母の水田のそばを歩いているような錯覚に陥ったのでした。
川の中に一羽の白さぎが佇んでいます。
今では水田や川があるとどこでも見かける白さぎですが、90年代に入る頃までは外国から来た鳥だと思っていたほど、子どもの頃にみた記憶がないのは何故だろうと戸惑います。
こんなに水田と似合う美しい姿なのですけれど。
水田地帯に続く西汐入川に沿って歩くと、大きなため池がありました。地図では名前がなかったのですが、そばにつる草に覆われた標識があり「天満(てんま)池」だとわかりました。
ため池のそばを歩くようになって、一つ一つに名前があることにも親近感が湧くようになりました。
天満池のそばの草むらを眺めがなら歩いていると、ありました。これは幸先の良いスタートです。きっと最終日には夢が叶うに違いありません。
疲れが吹き飛んでここからは草むらを眺め続けたのですが、咲いていたのはそこだけでした。本当に不思議な花です。
下を向いて歩いていたら、田んぼの中に大きな黒いものがあるのに気づきました。
タニシの名前は知っていましたが、今まであちこちの田んぼを歩いても案外とみたことがありません。とても大きいのでもしかしてジャンボタニシでしょうか。それだと防除の呼びかけをよく見かけるので、違うのでしょうか。ほんと、水田についても知らないことばかりです。
*ため池を眺められるホテルへ*
青々とした水田の向こうに讃岐富士が見えました。灰色の美しい屋根瓦の集落の間を抜けると遠くに見えていた大きなスタジアムが目の前に現れて、左手には緑の土手が美しくその間の水路もまた美しい流れです。
この先代池は大きく、土手がずっと続いています。
丸亀駅からは3kmほど離れたこの場所に来たのは、ため池のそばにホテルがあったからでした。
チェックインして、どちら向きの部屋だろうとちょっとドキドキして入りました。
先代池が見える部屋で、その向こうに見える瀬戸内海へちょうど夕陽が落ちていくところでした。
窓辺に座ってすっかり沈むまで眺めて、1日目の散歩が終わりました。
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