水のあれこれ 456 「昨日渡れた場所も今日は本流になり渡れず」

遠出の計画の段階で、黒部川右岸に水路が複雑に交差している場所を地図で見つけました。昨年6月ごろからマップに用水路名が表示されるようになったおかげで、「横山用水」「椚(くぬぎ)山用水」「入川」だとわかりました。3本に分水した上をさらに別の水路が交差しています。

そしてその上を北陸新幹線が通過するようです。

北陸新幹線が富山平野に入ると車窓にさらに集中してこの上を通過したことを確認して満足すると、美しいエメラルドグリーンの黒部川を渡って、黒部宇奈月温泉駅に到着しました。

 

地図には駅前に「黒部の名水」と表示されているので、楽しみにしていました。

駅前に出ただけで側溝からの水音が聞こえ、心が躍ります。

ロータリーに何か石碑と小さな公園がありました。

 

 

*「黒部四十八ヶ瀬」*

 

「黒部四十八ヶ瀬」について説明が書かれていました。

 この施設は、北アルプスから富山湾へ流れ出る黒部川の壮大なスケールをイメージしています。また、壁泉を流れる豊富な水が奏でる清涼感が、水に親しみ、水とともに生きる「名水の里 黒部」を表しています。

黒部川は、日本有数の急流河川であり、その激流によって北アルプスの山々を侵食し多くの土砂を富山湾まで運んでいきます。運ばれた土砂は堆積し、長い年月をかけて、日本一美しいと言われる黒部川扇状地を作り、豊かな土壌は人々の暮らしに潤いを与えてきました。

 昔、黒部川の流れは、洪水のたびに氾濫し流れを変え、川筋は一筋に定まらず幾筋にも分かれて流れていました。このため「四十八ヶ瀬」またはいろは四十八文字にちなんで「いろは川」と呼ばれていました。

 この地を通った著名人や、文人墨客が黒部川の古い姿を書きとめており、松尾芭蕉も『おくの細道』で「くろべ四十八ヶ瀬とかや数知らぬ川をわたりて那古と云浦に出」と記しています。

 また、金沢から江戸までの北国下道中を描いた『下道中絵巻』では、幾筋にも分かれる黒部川の様子を見ることができ、この絵図の当施設のデザインの基となりました。

説明の横に描かれている絵は扇状地をいく筋もに分かれた川が流れ、木曽三川と輪中のような、下流はまるで島のような風景です。

Wikipediaの「黒部川」には、「昨日渡れた場所も今日は本流になり渡れずといった状況が絶えずあり、北陸道では親知らずに匹敵する難所となっていた」と書かれています。

 

美しい川と扇状地と湧水を歩こうという計画ですが、「扇状地」とは何か深く考えていませんでした。

 

最初に富山湾沿岸の風景を見たのは2019年に福井へむかう北陸新幹線の車窓からで、富山湾が大きく弧を描きその向こうに能登半島が見えるダイナミックな風景でした。そして美しい田園風景に真っ黒な瓦屋根が印象的で、是非、海岸線と水田地帯を見てみたいと2020年にあいの風とやま鉄道に乗りました。

なだらかに続く田園地帯とその向こうに真っ青な海が広がる、なんとも広々した風景と美しい集落に圧倒されました。

 

「米どころの富山」だから豊かなのだろうと思っていたのですが、近代まで河道が定まらない扇状地だったのだと、この駅前の説明を読んではっとしたのでした。

あの美しい集落の風景は、何度も何度も過酷な「竹の節」を越えながら生み出されたものだったのだと。

そして大きな川の扇状地が続く富山平野に水路が網羅され、その上を鉄道や新幹線が通過しているのは夢のような時代ですね。

 

今回の散歩の始まりにふさわしい説明と出会いました。

 

 

 

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