「産後ケア」という言葉自体が、まだ定義もされていないということは書きました。
周産期医療の中での、「産後ケア」はどのようなことを意味するのでしょうか。
あるいは保健センターなど行政の中での、「産後ケア」はどのようなことを意味するのでしょうか。
まだこの言葉を使うために、私自身、もう少し頭の整理が必要だと思っています。
今回は、「これも産後ケアと考えている人がいるのか」というものをご紹介します。
それがいけないという意味ではなく、これだけ幅広く自由に使える言葉であるので、どの立場でどのように使っているのかという点に慎重になることが大切だと思います。
<医療とビジネスの境界線>
「産後ケア」を検索していたら、「産後ケアのプロフェッショナルを養成&派遣」という事業を行っている会社のサイトがありました。
株式会社 ビューティクル
産後ケアのプロフェッショナルを養成&派遣で「産後ケア」と「母の社会進出」の両面をサポートする出産した女性の為の認定制度「産後ビューティスタイリスト養成」開始
ttp://www.pr-today.net/vp-pressrelease-111766/10642(hをはずしてあります)
目的と概要が書かれています。
2013年5月、政府が「産後ケアセンター」を全国で整備する方針を明らかにするなど、日本でもようやくその「産後ケア」の必要性に着目されるようになりました。当社では、2010年の設立当初から「産後ケア」に取り組み、東京・埼玉を中心に産後ビューティレッスンを開催しております。
産後ケアサービスを「受けるママ」は産前の体型と自信、免疫力と意欲、健康を取り戻し、次は自身がサービスを提供する側へ。産後ケアサービスを「提供するママ」は出産・育児の経験を活かして社会進出の機会を得ることができ、さらにやりがい感と収入を得ることで心や経済的な面で余裕が生まれ、第2子、第3子への意欲も。
「産後ケア」とは、主に産後の体型を取り戻すことで使われているようです。
「訪問産後ケア」には次のように書かれています。
産後ビューティスタイリストがお客様の自宅に訪問し、マンツーマンでバランスボールなどを使ったエクササイズを行い、出産で変化したからだの回復をメインに、骨格(主に骨盤)調整や自律神経のバランスを整えていきます(通常、90〜120分/1回)。
妊娠・出産で弱った体を積極的に動かすことで生産されるエネルギーで母体に負担をかけずにダメージを受けた母体の健康を取り戻し、さらに女性ならではの心身の「美」を引き出していきます。
レッスン受講者の皆様からは出産したことで始まった肩こり、腰痛、頭痛、膝痛、尿モレなどが解消された、ぐっすり眠れるようになった、などの喜びの声を多数いただいております。
少し不安にさせ、それ(代替療法的なもの)を必要と思わせて効果(個人的体験談)を謳って勧める。
あるいは「産後ビューティスタイリスト」養成コースがあり、「産後ビューティ学」終了証が授与される。
・・・この既視観。
政府が使う「産後ケア」と同じものを指しているのでしょうか?
そもそもケアって何でしょうか?