今年(2013年、平成25年)1月31日付けで、日本看護協会から「分娩施設における災害発生時の対応マニュアル作成ガイド」が発行されました。
あくまでも対応マニュアルの作成ガイドですから、詳細な部分は少なく、マニュアルをつくるための頭の整理的な内容に終わっているのは仕方がないことです。
それでも、今まで全く文章化されたものがなかったことを考えれば、ようやく前進というところです。
ただ、どうしても私には引っかかる点がいくつかありました。
昨日の記事に通じるものが。
<災害時にも「フリースタイル分娩」?>
「災害に対する日ごろの備え5項目」の「1.医師・助産師・看護師・その他関係職種への教育による意識づけ」という項目の中に、「2災害に関する助産師への教育」という内容があります。
災害時は、通常の業務は全くできない。いつ災害が発生しても対応できるよう、日ごろから心がけ、混乱時でも安全に分娩介助を行える知識・技術を身につけておこう。
医療機器に頼らない分娩技術を日ごろから習得できるよう心がけ。トレーニングしておこう。
これはもっともなことだと思います。
2011年3月11日の東日本大震災と原発事故のあと、私の勤務先でも電気・水の供給がいつ途絶えるかわからない状況が続いて、安全を確保しながら分娩介助・そして妊産婦さんと新生児のケアをするためにはどうしたらよいか、突き詰められた毎日でした。
さて、看護協会からだされたマニュアル作成ガイドでは「以下のチェックポイントを確認しながら、自施設の日常業務の整理・整備、マニュアルを作成しよう」ということで、以下の内容が真っ先に挙げられています。
1.仰臥位以外の分娩体位でも介助できる技術
□分娩台以外での分娩介助について知識・技術を高める
□どんな状況下でも、どんな場所でも分娩介助できる技術を習得する。
教訓東日本大震災の際、分娩台が使用できない施設があった。
□フリースタイル分娩の研修や他施設への研修参加、さらに自施設内でも研修を行う
□院内助産を開設する。医師が立ち会えない分娩での技術を習得できるようにする。
フリースタイル分娩についてはこのあたりの記事で、また院内助産についてはこのあたりの記事で考えきました。
災害時のマニュアルにまでフリースタイル分娩や院内助産という言葉が出てくるなんで、もうなんだか「自律した助産師」教とでも名づけてしまいたいぐらいの気持ち悪さを感じてしまいます。
助産師の皆さん、これを読んで違和感を感じないのでしょうかね?
しばらく、この日本看護協会から出された対応マニュアル作成ガイドを参考にしながら、そこに足りないものを考えてみたいと思います。