水のあれこれ 71 <湧水>

いつも朝起きた時の気分と天候と風の強さで決める、一見、いきあたりばったりの散歩のようですが、案外、短期中期長期の3つの視点という父の教えが生きていると思っています。


ここ2年間ほどの散歩の伏線は「水」なのだと、自分でも見えてきました。
海や川、あるいは水道や下水道関連の施設だけでなく、動物園やら水族園、あるいは植物園への散歩もこの水に関連したもです。


短期的にはその時の気分で水があるところならどこでもという感じで出かけているのですが、中・長期的な計画としては、その散歩がつながりあってひとつの水系の全体像が見えてきたらおもしろいなと、壮大な計画です。
おそらく、一生かけてもまだまだ知識の序の口にしかたどりつけなさそうですが。


少しずつ歩くことに慣れたのか、最近では8〜10kmぐらいでもそれほどの疲労感はなく歩けるようになってきました。
そこで、今までのような堤防などの川沿いだけでなく、川にそった段丘沿いに歩いてみたいと思うようになり、なにかヒントになる本はないかと探していたところ、出会いました。

「東京湧水 せせらぎ散歩」
高村 弘毅氏著、丸善出版、平成21年

ぱらっと目次を見ると、「国分寺崖線の湧水」「武蔵野段丘北部・狭山丘陵の湧水」「立川段丘・青柳段丘の湧水」「拝島・秋留丘陵・草花丘陵の湧水」といった名前が並んでいます。
多摩川両岸の地形についてあまり考えたことがなかったので、これらの名称を知っただけで見慣れた地図が立体的に見えることに惹きつけられたのでした。


先日、丸子川を歩いた時にも、ああ、これが国分寺崖線なのかと理解できました。
それを知らなければ、ただ多摩川に沿って流れている小さな川にしか見えなかったことでしょう。


そして本のタイトルにある「湧水」の文字に、子どものころに遊んだ湧き水のそばで、水がわき出すところを見ていると心が震え、引き込まれそうになるあの感覚が甦ってきました。
迷わず購入。


この本で紹介されている湧水を巡りながら、長期的には多摩川周辺の地形を実際に歩いて理解できたらと壮大な計画を立てています。



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