散歩をする 595 和布の集落を歩き、三国駅まで車窓の散歩

茱崎入り口バス停からまた越前ブルーライン沿いを戻ります。海岸にはあちこちに釣り場があって、平日でも釣りに来ている方がけっこういて、海岸線というのは私の想像以上に人の行き来があるようです。

そして、東南アジアで生活していた時のように舟のほうが快適で早いこともありますね。私が当時「辺境の村」と思い込んでいたのは交通の要所だったのでした。

 

 

*和布バス停から小さな川沿いを歩いて漁港へ*

 

20分ほどで乗り換えのための「和布」バス停に到着しました。「わふ」だと思っていたらアナウンスで全く違う読み名だったのであわてて「びらと読む」とメモをしたのですが、記録が全然間違っていました。

帰宅して確認したら、「めら」と読むそうです。ほんと、日本語は難しいですね。

 

ここから三国駅まで海岸線を走る、その名も「海岸線」という路線バスの時間まで50分ほどあります。この前後の数カ所のバス停ならどこでも乗り換えられるのですが、和布バス停を選んだのは、そこに漁港があり小さな川が描かれていたことでした。

名も表示されていないその川は、海岸からわずか300mほどのところから始まっています。

急峻な場所だと想像できました。

ここを歩いてみたい、漁港を見てみたい。下車してみました。

 

バス停のあたりは海の気配もない高台で、山が近く感じます。道をはさんだところに田んぼがありました。

漁港へはコンクリートの急な坂道のようです。細い道で、軽自動車がギリギリ通れるくらいですが、水揚げされた物をここを通って運んでいるのでしょう。

両側には、木の家が続いています。

潮の香りよりは、木壁のいい香りと秋らしい葛の花の香りが漂っています。

軒の日当たりが良いところであちこちに猫が昼寝をしていて、そばを通ってもぐっすり眠っているのか動きません。

「お邪魔しますね、怪しいものではありませんから」と、ネコとヒトの生活の場を歩かせてもらうのに足音を忍ばせました。

 

途中から小さな川のすぐそばになりました。

岩場を侵食したかのような小さな流れですが、清冽な水です。家のすぐそばを流れているのですが、渓谷のような深い場所です。

大雨や雪解け水が流れ込むと、様相はまったく変わってしまうのでしょうか。

濃い灰色の屋根瓦の美しい家屋が集まる中を、少し幅が広くなった川が流れ落ちていきます。

海抜19メートルくらいから、膝に力を入れながら坂道を下るとわずか数分で海抜4.5mの標識があり、その先に小さな湾に漁港と防波堤の景色が広がりました。

 

漁港のそばに、子どもの頃の小学校のような木壁の造りの家がどっしりとありました。

あの頃は「これからはコンクリートの時代」だと、木造の家は頼りなくそして古くさく感じていたのですが、遠出をするようになり、もしかしたら間違っていたかもしれないと思うことが増えました。

最近は、こうした昔からの木造建築が新しく感じ、そして材質というよりもいかに手入れに力をかけるかどうか、なのではないかと。

 

坂道の途中にも石垣だけ残った宅地もありましたが、ひっそりとしていながらもそれぞれの家には生活の気配がありました。

 

また海抜十数メートルへの坂道を登って、バス停に戻りました。

バス停には小屋が建てられていて掃除が行き届き、ベンチには手作りの座布団がありました。

高齢化とか過疎化とかいわれつつ、海岸線までの急な坂道も手入れが行き届いている国ですね。

 

ありがたくバス停の座布団に座らせてもらい、バスを待ちました。鳥のさえずりと虫の音、そしてたまに車が通過する音だけの静寂という、贅沢な休日です。

 

 

*海岸通りから九頭竜川を渡り三国駅へ*

 

13時23分に和布バス停から今度は「海岸線」路線に乗り換えました。乗客はまた一人です。

 

浜住町の落ち着いた街をすぎると、免鳥(めんどり)地区のあたりでは崖下に美しい集落が見え、その向こうにコンビナートが見えました。

何を生業にしているのでしょう、立派な家々が続く国道305号線をそのまま三国へと走ります。

柳原バス停あたりで上りになり、自然堤防の地形でしょうか。風力発電とコンビナートが松林の向こうに見えました。

石橋バス停で女性が一人乗車し、二人を乗せたバスがまっすぐまっすぐ自然堤防に沿って走ると、右手に水田が広がり始めました。

白方のあたりに美しい集落と神社の屋根が見えます。

ビニールハウスも広がり、畑や防風林の風景になりました。

 

途中で、福井市から坂井市三国町に入りました。

「米納津」地区に何か石碑が見えました。「米を納める」なんて、途中下車して石碑を読みたくなる名前ですが、周囲は畑でパイプラインの蛇口が見えました。圃場整備の歴史が刻まれているのでしょうか。

 

自然堤防よりも低い九頭竜川沿いには田んぼが広がっているようです。

「米を納める」といえば静岡県長泉町の「長泉なめり(納米里)」ですが、新田開発に由来があるのかと思ったら「滑らかな土地」でしたね。

「米納津」は「よのづ」と読むそうです。

 

そんなことを考えていたら、九頭竜川の堤防が近づき新保橋(しんぼばし)を渡り、すぐに竹田川の港橋を渡ると、丘陵が迫るような九頭竜川右岸の地域に入りました。

ちょうど竹田川九頭竜川が合流して、三国港へとゆったりとした大河になる場所です。

ここも見てみたかったのでした。

 

2019年に芦原線で三国港へ向かった時には気づかなかったのですが、九頭竜川右岸にも自然堤防のように小高い場所があって、列車はその間を走っていたようです。

かつて福井平野が湖だった時代は、この小高い場所は小島だったのでしょうか。

 

もう一人の乗客は郵便局前で下車し、また私一人を乗せて終点の三国駅に13時50分に到着しました。

 

そういえば波の華温泉のあたりで山側にモクモクと沸いていた黒い雨雲は、いつの間にかなくなり、午後も晴天に恵まれそうです。

 

 

*おまけ*

和布の漁港名を確認しようと地図をもう一度みたら、私が歩いた小さな漁港の西側に、少し小高い場所を隔ててもう一つ漁港があり、合わせて鷹巣漁港と呼ぶらしいです。

行ってみればよかった。また宿題ができました。

 

 

 

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