トイレについてのあれこれ 6 <和式と洋式トイレ>

数年前、母が一時期お世話になっていた介護施設があった地域は、駅周辺でもまだ汲み取り式トイレがある家がありました。
その近くの道を歩くだけで、子どもの頃には当たり前だった匂いの記憶が蘇るのでした。
その自治体のホームページを見ると、現在でも下水道整備率は92%ぐらいで、水洗化率も90%ぐらいでした。
その地域は山に囲まれた地域で、半世紀ぐらい前ならおそらく駅周辺ぐらいしか人家がなくて、それ以外は農地が点在していたのではないかと想像しています。


ですから、むしろ現在は山の斜面に建てられた住宅地にまで下水道が完備されて、水洗トイレが行き届いていることの方がすごいことだと、下水処理施設近辺を散歩するようになって感じ方が変化しました。


トイレが汲み取り式から下水道に流す水洗トイレに変わって、その匂いも劇的に改善しました。


最近は、さらに匂いの元は「汲み取りが水洗か」だけではないものがあると思うようになりました。


<洋式と和式の差>


女性トイレの場合、和式トイレがあるとトイレの匂いが強烈になるのかもしれません。
それが明らかに感じられるようになったのが、駅のトイレの改修工事で和式トイレがなくなった場所が増えたことです。
全て洋式トイレに置き換わった場所は、本当にあのツンとした嫌な匂いが感じられなくなります。


構造上、排泄物が便器周辺に飛散するわけですから、どんなに清掃係の方が綺麗にしてくださってもあっという間に汚れます。
家庭用とは違って、1日に何十人、何百人という頻度で使用するのですから、匂いの元を断ち切れないのも当然かと思います。


現在の駅や公衆トイレの洋式と和式トイレの割合がどれくらいなのかはわかりませんが、私にとっては「いまだに和式トイレが残っている場所がある」ぐらいの感覚にまで変化しました。


また、和式トイレの便器周辺は排泄物と清掃や水洗の水が残りやすいので、時には「足の踏み場もないほど」の状況になります。
それを踏んで、あちこちに歩くわけですから不衛生だなと思います。


一時期、確かに「和式ではないと排泄できない」という世代の方もいらっしゃったのかもしれませんが、もうそういう人はいないのではないでしょうか。
実はそう言っていた人たちも、心の中では「和式だと座ったり立ったりが大変。本当は洋式がいい。でも足腰のためには和式が良いはず」という思い込みから逃れられなかったのかもしれないと、私自身が50代になってから泳いだ何かのはずみで膝を痛めた時に感じました。
匂いの問題だけでなく、洋式でさらに手すりもついたゆったりした個室のほうが、どの年代にも使いやすいことでしょう。


長蛇の列で並んでいる時に、和式トイレが開いても「和式ですけれど良かったらお先に」と譲り合うというか敬遠されています。
結構な人が「早く全部洋式にしてくれたらいいのに」と思っているかもしれませんね。


和式トイレがなくなれば、今度こそ「トイレは臭いもの」ではなくなる時代になるだろうと思います。
「和式トイレをなくしましょう」は、決して文化が途絶えることではないと思いますけれど。



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