駅周辺の湧水と水路の水音に癒されて、ふたたび東秋留駅に戻ってきました。
当初の予定ではこのあと拝島駅へ戻り、近くにあるあの玉川上水の失敗学ともいえる水喰土公園を訪ね、そのまま玉川上水沿いに玉川上水駅まで歩くつもりでした。
拝島駅から玉川上水駅までの間は、玉川上水の全区間の中でもまだ歩き切っていない部分があるのです。
ところが、 東秋留駅で拝島方面の列車を待っていると、武蔵五日市方面へ向かう線路がぐんと上り坂になっているのが見えました。
あの先を見て見たい。
ちょうど来た武蔵五日市行きの列車に乗り、気づいたら反対方向に向かっていました。
*五日市線*
中央線を利用して通勤していた頃から、五日市線と武蔵五日市という駅名はよく目にしていましたが、当時は、その列車が向かう地域がどんなところなのか、想像することさえないままでした。
ここ数年でようやく秋川に沿って走っている路線であることや、武蔵五日市が秋川渓谷の入り口になっていることが見えてきました。
そして五日市街道との関わりも。
東秋留から4駅、17分ほどで終点の武蔵五日市です。
地図ではその区間はまっすぐな線路が描かれているとおり、列車はカーブもなく緩やかな勾配を登っているようです。
両側の車窓からは、春の草花が一斉に芽吹いている桃源郷のような風景が続いていました。
左側の車窓からは、秋川の対岸の丘陵地帯がずっと見えます。線路のあたりから、左側の車窓から見える住宅街が川へ向かって下り坂になっているので、河岸段丘のきわに近い部分を列車が進んでいるようです。
平日の午後3時ごろにも関わらず、6両編成の車両はけっこうな人が乗っていました。
終点の武蔵五日市は想像していた古い駅舎とは違って新しくきれいな建物で、内装には木材が使われていました。
駅のすぐ前に秋川の河原があるのですが、場所によっては両岸が険しい深い谷の間を流れているようです。駅前の道路から急な階段を降りて、しばらく川のそばを歩いてみました。
鳥の声が時々聞こえるくらいで、ただただ水の音だけの世界でした。
*草花丘陵から福生へ*
夕方になったので、玉川上水沿いを歩くことはまた次回になったのですが、せっかくここまで来たので今まで通ったことがない場所に行ってみたいと思ったところ、「福生行き」のバスが目に止まりました。
どこを通るのか見当がつかなかったのですが、乗ってみました。
秋川沿いを走るのかと期待していたら、途中から左折してぐんと山の中へ入っていきます。乗客は3人ほど。一人降りてはまた一人乗って、しばらくはその人数のままでした。
「日の出町」を通過しているようです。この辺りが日の出町だったのかと、また初めてつながりました。
そのうちに、川の蛇行に近づいたり離れたりしながら下り坂になり、「草花」という名前が増え始めました。
多摩川の支流である平井川に沿ってバスが走っているようです。いつのまにかバスの車内もいっぱいになり、多摩川を渡ると見覚えのある街に入り、玉川上水を越えて福生駅につきました。
期せずして、秋留台地から草花丘陵を見ることができた散歩になりました。
「東京湧水 せせらぎ散歩」では、まだこの辺りにいくつか湧水があるようです。
どの川も水路も、水が本当にきれいでした。
こうした小さな流れが多摩川をつくっている、そんなことを実感した散歩になりました。
「散歩をする」まとめはこちら。