「絶対に都県境を越えない散歩の計画」は次々とでてきました。
休みの日には散歩に出かけ、記録が追いついていきません。
4月下旬、そろそろむしょうに新幹線を見たくなってきました。
いつも東海道新幹線には品川駅から乗るのですが、品川駅を出てじきに途中、コンクリートの切り通しを通過します。
本当にあっという間にそこを過ぎて、多摩川を渡ります。
その切り通しに何本も陸橋があって、途中で線路とも交差していることがしだいに見えるようになってきました。
あの橋の上から新幹線を眺めたい。そして切り通しになっているあの辺りの地形はどんな感じなのかいつか歩いてみようと、計画はすでにありました。
電車が交差しているのは東急池上線で、陸橋が御嶽山駅のホームの一部になっています。
電車を待っている間に、新幹線や湘南新宿ラインなどを何本も見ることができるなんて、なんて幸せな場所なのでしょうか。
下車してからすぐに改札に向かわずに、陸橋の上で少し怪しい人になりながら下を眺めました。
早速、上下の新幹線が目の前で交差しながら通過し、下りの新幹線は先に見える武蔵小杉の高層マンション群の方向へ向かってまっすぐ走っていきました。
その先には、富士山がくっきりと見えました。
ああ、なんていい日なのでしょう。超がつくラッキーな日です。
*御嶽山駅から切り通しの部分を歩く*
御嶽山駅を出て、活気のある商店街の間を北東へと向かうと、すでにこの辺りが御嶽「山」だったことがわかるように、下り坂がさまざまな方向にあるように見えました。
新幹線の線路に沿ってしばらく両側にまっすぐな道がありますから、そこを歩きました。車窓から見えていたコンクリートの壁の上は、こんな住宅街だったのですね。
少しずつ下り坂になると、それまで深い切り通しの中を走っていた新幹線と同じ高さになり、網のすぐ隣を新幹線が通過していきました。
ここに流れているのが呑川で、あの目黒川がきれいになった頃と歴史が重なります。
一見してコンクリート張りのちょっと味気ない水路ですが、このあたりの台地には、以前歩いた小池公園や洗足池のような湧水があり、この呑川へと流れていて遊歩道も整備されています。
呑川の北側の対岸は、御嶽山からの緩やかな下り坂とは異なり、見上げるような上り坂に住宅街が広がっています。
新幹線ではあっという間に通過するので、最初はこの高低差に気づきませんでした。
下を向きながら上りきると、今度は新幹線の線路の方へと下り坂です。
新幹線はすぐそばを走っているのですが、住宅がぎっしりと建っているので、「ヒュー」っと近づいた音に気づいた時には、その屋根の合間に少しだけ見えてあっという間に見えなくなりました。
坂を下りきると大きな寺院のそばに、昔からの家並みが少し残り、大きな交差点に出ました。
歩道の反対側に、西河屋さんという伊勢屋さんがありました。ついついふらりと寄って、おにぎり2個と柏餅を買ってしまいました。アップダウンの激しい場所の散歩ですからね。
*もう一つ切り通しがあった*
また線路沿いが上り坂になり、切り通しの下に新幹線の線路が見えるようになりました。
御嶽山あたりの切り通しは印象にあるのですが、品川駅を出るともう一つ切り通しを通過していたようです。
息を切らして上りきると、「相生坂」と表示がありました。
検索すると大田区のホームページに説明がありました。
仲池上一丁目2番と上池台29番の間に新幹線を挟んで全く同じような坂道が並んでいます。このことからこの坂を相生坂と呼んでいます。昭和の初期、耕地整理によりできた坂道です。
道に歴史ありですね。そして、こうして小さな歴史を記録してくださることは大事ですね。
ここの橋の上で、しばらく新幹線を眺めました。
遠くからライトをつけた新幹線が見え始め、十を数えるかどうかというところで、陸橋の下を通過してしまいます。
ああ、これが品川駅〜多摩川間の速さなのですね。
この相生坂で今度は線路の反対側を歩きました。
二本木橋あたりで、切り通しから高架橋へと変わりました。
カバンの中にあるおにぎりが気になります。どこか新幹線を眺めながら食べられる場所はないかと思ったら、馬込二本木公園がありました。切り通しだった小高い場所から低地への途中に作られていて、目の前に高架橋が見えます。
早速、おにぎりを食べました。ほんとうにおいしいおにぎりです。
ところが2個食べてしまっても、なかなか新幹線は通りません。つい柏餅まで食べたところで、ようやく1本通過していきました。時々、凪のように新幹線がこない時間があるようです。
*高架橋のそばを西大井まで歩く*
ここからは、目黒川を越えるあたりまで高架橋を新幹線が走っています。
散歩の記録にはしていなかったのですが、以前、東急大井町線戸越公園駅から戸越公園、文庫の森を訪ね、そこから西品川の高架橋に沿って歩いたことがありました。
こんなに住宅が迫った場所を通過しているのかと、驚いた場所でした。
今回は、御嶽山からまっすぐな線路が少し曲がってこの西大井へと向かう場所を歩いてみます。
第二京浜(国道1号線)を越え、線路の北側の道を歩くことにしました。
少し下り坂のように感じましたが、高架橋の下を歩くと今度は環七にぶつかります。
そこを渡ると、一気に下町の雰囲気になりました。この辺りは地図で見ても、入り組んでいて行き止まりの道がたくさんあります。GPSをオンにしながら、今度は南側を歩いてみました。
入り組んでいる理由は、坂道があちこちにあることでした。坂道や階段を上っては下り、つきあたってはまた別の道へと曲がる。そんな街並みです。
地図では西大井駅までわずか数百メートルですが、30分ぐらいかけてようやく駅に到着しました。
西大井駅というのは、昔は聞いたことがなかった駅名です。80年代の山手線に貨物列車が走っていた時代の記憶で私の駅名は止まっているところがありますから、1986年に開業したこの駅はやはり新しい駅のようです。
ただ、実際に歩いてみると、高架橋の下の起伏のある場所には昔からの家が結構ありました。
この地域の歴史や変化をまた知りたくなりますね。
*武蔵野台地の舌状台地*
2017年ごろから六郷用水を歩き、国分寺崖線とのつながりが見えてくるようになりました。
その頃に武蔵野台地の舌状台地を知り、品川駅を出てから多摩川までの車窓の風景が立体的に見えるようになりました。
いつか歩いてみようと思っていたことが実現しました。
次回、新幹線に乗った時には、きっと歩いた道とか立ち寄ったお店まで車窓から見つけられると思います。楽しみですね。
「散歩をする」まとめはこちら。