9月下旬、6時53分大宮発のはくたか55号に乗りました。
大宮を出て東北新幹線と分かれると、じきに小針から郷地あたりの美しい黄金色の世界が広がりました。これから収穫のようです。大宮周辺の高低差のある地形、そして高崎あたりまでの利根川や新川、見沼代用水の歴史も風景と重なって見えるようになりましたが、やり残した宿題をあれこれ思い出しました。
散歩への気力がなくなったのは暑さによる一時的なものだったようです。
軽井沢は17度だそうで、ひんやりしているのでしょうか。浅間山には雲がかかっていましたが、西へ回ると山頂まで見えました。佐久平のあたりも黄金色です。上田から長いトンネルに入りちょっと睡魔に襲われているうちに8時3分、長野駅に到着しました。20度ですが半袖でちょうど良い気候でした。
*車窓から立ヶ花狭窄部を眺める*
列車の本数の関係から、立ヶ花駅で途中下車して立ヶ花狭窄部を歩くか、蓮(はちす)駅で用水路を見るかのどちらかの選択になりそうです。今回は車窓から見ることにしました。
北しなの電鉄の駅に入ると、木のすてきなベンチがありました。
列車は2両編成、片側はロングシート、片側は二人がけと一人がけのボックスシートで、千曲川が見えるように右側の窓側に座りました。たくさんの乗客を乗せて出発。
すぐに小さいけれどきれいな水が流れる用水路が見えました。地図で確認すると、裾花川の左岸から取水され、千曲川との合流部付近を潤しているようです。
三才(さんさい)駅で大学生が一斉に下車して、賑やかだった車内が数人の乗客になりました。
三才駅、どこかで聞いたことがある駅名だと思ったのですが、そうでした、まるで一緒に歩いているかのように落ち着いた番組なのでいつも録画して観ている「鉄道ひとり旅」です。
ああ、ここでしたか。
稲穂とりんごとコスモスと美しい風景です。シャッター音に躊躇しながらそっと写真に撮ったら、沿線でもこちらを撮っている撮り鉄さんがいました。秋の北しなの鉄道、美しい写真に仕上がることでしょう。
千曲川支流の護岸工事が少し見え、少しずつ山が近づき列車が上っていく感じです。
信濃浅野駅の近くでは緩やかな棚田が美しく、収穫されたばかりの稲が天日干しにされていました。
いよいよ千曲川がぐんと近づいてきて、立ヶ花狭窄部です。
ほぼ線路と同じくらいの高さの川面で、立ヶ花駅のそばを流れています。
「狭窄部」ですから、この先あたりでもっと狭まって渓谷のような場所になっていくのだろうと予想していたら、そのまま千曲川はゆったりとゆったりと平地のような場所を流れながら遠ざかっていました。
マップの航空写真では両側が緑色の小高い場所に挟まれた場所に見え、あの狩野川のゆったりとした流れを阻むような地形を想像していたのですが、なんだか違うようです。
2019年の水害のあと、立ヶ花狭窄部を知らないまま翌年飯山線で信濃川から千曲川へとさかのぼったのですが、渓谷のような場所が記憶になかったのは正しかったようです。
ただ、千曲川の上流から下流へと流れているはずなのに、飯山線の車窓からはどちらが下流なのかわからないほど平坦な場所に見えたのが印象に残りました。
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