記録していなかった魚の供養塔を見たのは、昨年8月に相模川の左岸の用水路と稲穂を見に行った時でした。
昨年4月の春らんまんの神奈川県最大の水田地帯を歩いた記録を5ヶ月遅れでまとめていた時に、相模川左岸幹線用水路と磯部頭首工について知りました。
今はだいぶ面積が小さくなりましたが、小田急線で海老名のあたりを通過する時には一面の美しい田んぼに見入っていました。
その地域はかつては排水不良の湿田でもあり水田を維持するには水も足りない地域だったのが、1940年(昭和15年)に造られた頭首工と用水路があの風景を作り出していたことを知ると、居ても立ってもいられなくなり猛暑の一休みの8月下旬に出かけたのでした。
2019年に相模川左岸の河岸段丘を歩いてみたくなり、上溝から下溝まで歩いたのですが、そのJR相模線下溝駅からのスタートです。
昨年8月の散歩当日のメモはこんなことを書いていました。
32度、晴れ間も見える薄曇り。台風の影響で、風と黒い雲。
久しぶりの散歩。猛暑で歩かなくなるかと思った。夏を超えるのは大変。でもまた地図を見たくなった。
ほんと、あまりの暑さで地図も眺めたくない日が続いていたのでした。
*下溝駅から磯部頭首工へ*
下溝駅を出るとすぐに、県道46号線が相模川の崖のような場所ギリギリに通っています。
120mほど歩くと交差点があり、右手の道は川沿いに下って新磯橋を渡りますが、上流からの水路と鳩川が合流し眼下に三段の滝が見える場所で、足がすくむような風景です。橋の欄干には「鳩川分水路」と表示がありました。台風や大雨が降るとこの辺りは怒涛の流れになるのでしょうか。
さらに大型トラックが通ると橋が揺れるので、そそくさと橋を渡りました。
以前はそれほど高所恐怖症ということもなかったのに、最近はなんだか怖いことばかりを思い浮かべてしまうので苦手です。人生や仕事と同じで知らないからできる怖いもの知らずのひとつのかもしれませんね。
この橋から1kmほど下流に磯部頭首工があるようです。
磯部地区の住宅地へと入りました。緩やかに蛇行する道ぞいには大きな芭蕉が植えられています。散歩をしていると農家の庭先に時々見かける芭蕉ですが、かつてはその繊維も大事なものだったのだろうと思いながら近づくと、なんとバナナでした。葉の間に房になったバナナが見え、一瞬にして一時期暮らした東南アジアにいる気分になりました。
蔵のある農家やかつては田んぼだったのだろうと思われる住宅地を抜けると、大きなお寺の屋根と大きな木々が見え、河岸が近づいてきました。
地図ではそのお寺の向こうに磯部頭首工があり、左岸への分水路が描かれています。
そこからは稲穂が揺れる美しい水田地帯が広がっているはずで、相武台下駅の近くの分水路まで2kmほどを歩く計画です。
久しぶりの散歩と30度超えですが、ほどよい川風が吹いていてそれほど暑く感じないのは幸いです。
どんな風景と歴史に出会うでしょうか。
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