時間があれば、ふらりと電車やバスに乗って気軽に散歩をしていた日々が夢のようです。
でも今は、「通勤」という大義名分があります。
時間帯や区間にもよりますが、緊急事態宣言の後はさすがに乗車人数がぐんと減りましたから、だいたいは座れます。
しかもロングシートにおひとりさまという贅沢なこともあります。
ただ、時々混む時があって、せっかく座席を開けて物理的距離を保って座っていても隣に人が来ることがあります。
そういう時はそっと立って、ドア付近へと移動して人と近づかないようにしています。
ふだんから空いている後方車両に乗ることが多いのですが、今までは鉄ちゃんに占められていたあの最後尾の特等席もガラガラです。
一車両に2〜3人しか乗っていないような時でも、後ろへと去っていく風景がまるで切り取られた絵画のように見えるこの場所に立つことが増えました。
もう何千回、何万回と乗った路線でも、ここからの風景はまた違ったものが見えておもしろいものです。
通常の窓からは見えにくい線路のいろいろな標識や設備や数字が、この角度からだとよく見えます。
それぞれに意味があり、そのひとつひとつに付随する業務は途方もなく多くて、正確性を求められていることでしょう。
線路がカープしていたり、トンネルに入ったり、それも電車の揺れでわかるくらい慣れている路線ですが、後方の窓から見たら、新しい発見もありました。
トンネルにもさまざまな構造があるし、下り坂になってトンネルに入る時もあれば、上り坂になってトンネルに入っていく箇所もあります。
周囲の建物も風景も、見ているはずなにに見ていないことが多いですね。
周辺を散歩した時のあの高低差の感覚とつながってきて、「ああ、こういう地形だったのか」と頭の中の立体的な地図ができました。
走っている汽車を真正面から見たら怖いでしょうけれど、横から見たら楽しいものでしょうというたとえですが、さらに別の視点からだとまた違うものが見えてくるおもしろさです。
いつもと同じ通勤路線なのに、散歩をしている時の楽しさを見つけました。
「散歩をする」まとめはこちら。