食べるということ 57 柿の葉寿司ととり天そば

奈良駅についのは2時過ぎでした。早朝に家を出て以来何も食べずに歩き、すでに2万歩を越えていました。雨の中、しかも蒸し暑い中を散歩するのは思いのほか体力と気力を使います。

奈良まで何も食べなかった理由は、ここで柿の葉寿司を是非とも食べたいと思っていたからでした。

 

少し遠出をしても食べ物が目的になることは少なくて、とにかく目的地を歩いて見たいという方が先ですし、柿の葉寿司なら買って帰ればよいのですが、今回は是非お店で食べて見たいと思ったのでした。

 

 

半世紀ほど離れて暮らすと親とも食べ物の好みがかなり異なるのですが、この柿の葉寿司は母も好きで、面会に持っていくようになりました。ひと口サイズで食べやすいことと、常温でも翌朝まで持つことで面会用の食品として重宝しています。

また、私自身も押し寿司とか笹寿司が好きで、遠出した地域で出会うと迷うことなく買って食べるほどです。

 

ところが奈良駅に到着した時には疲労困憊で歩く元気もなくなり、そのまま大津へ行けばいいぐらいの気持ちになっていました。

 

*柿の葉寿司ととり天そば、そして*

 

気を取り直して、奈良駅の前から春日大社方面へとまっすぐ三条通りを歩いてみました。石畳の広いゆったりとした歩道で、目の前に春日山の緑が見えます。なんだか元気になる風景で、歩く気力が出たのでした。

 

いろいろなメニューが誘惑してきますが、今日は柿の葉寿司です。

ふと「とり天そばと柿の葉寿司」のセットメニューが目に入りました。とり天ですから、もうこれしかありませんね。お店に入りました。

席の間隔もあけられていて、ほとんどお客さんがいない時間でしたし、一人で喋らずに食べている人ばかりだったことも決め手になりました。

 

思わず生ビールを頼んでしまいました。

柿の葉寿司と生ビール。このまま眠くなっても、あとは電車に乗ってホテルへ向かうだけですからね。

柿の葉寿司、泣きたくなるほどでした。柿の葉寿司を毎日のように食べられる奈良はいいところですね。

 

とり天そばも来ました。イメージしていたものとは少し違って、細切りのゴボウのきんぴらが載っていました。薄味の関西風のだしにゴボウのだしととり天、意表をつく美味しさでした。

 

食べたら今日の散歩はここまででいいやと思っていたのですが、むしろ元気が出て、せっかく来たのだから平城京を歩こうと外へ出たのでした。

 

 

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