水のあれこれ 184 「水文」

花宗川水門の説明板に「水文」という言葉がありましたが、初めて聞く言葉でした。

 

検索すると「環境用語集」(一般財団法人環境イノベーション情報機構)に解説がありました。

「すいもん」と読むようです。

 地球上の水の流れとその存在状態を、特にその循環に着目して解析、かつ統合する学問が水文学であり、特に地表付近の人間活動にとって重要な、河川水、地下水、湖沼水などとその付近の地表および流域を、陸域の水の動きを中心に扱う。地球上の存在する水の9割以上を占める海水については海洋学が扱う。

 地表に落下した降水は斜面を流下して集まり河川を形成し、そして河川から海へ流れ込む。その過程で、時には水は地下に浸透してゆっくりと流れ、湧泉として姿を地上に現し、その後河川へ流れ込む。海面から、あるいは地表面から水は蒸発し、大気中に戻り、また降水として地表面に落下する。そのような循環系を水文循環(hydrologic cycle)とよぶ。水循環、受水域への流入/流出、またはその収支と、その循環に付随して引き起こる様々な現象を対象としている。

 

国土交通省の「水文観測」「水文水質観測」*

 

国土交通省の「水文観測の用語集」には「水文観測」について説明がありました。

 水文観測とは、広義には、地球上における水と物質の循環に関して、 個々の過程を定量的に把握する手段であり、狭義には、降水量、河川水位、河川流量、河川水質、地下水位、地下水質、底質を定量的に観測することである。

 

さらに「水文水質観測」という言葉もあって、その「概要」が公開されていました。

国土交通省における水文データ等の観測>

 

国土交通省水管理・国土保全局では、全国109の一級水系及び沖縄地方のダム管理に関する二級水系等において、河川管理、防災監視等のための情報収集及び国土保全、開発のための基礎調査等として、雨量、水位、流量、水質、底質、地下水位及び地下水質を対象とした水文観測、ダム管理における管理諸量の観測、波高、風向風速等の海象観測並びに気象観測を行なっています。

 

言葉一つをとっても、その向こうに広がる専門性に圧倒されますね。

 

*1964年に定められた定義*

 

Wikipedia定義を読むと、1964年に定められたようです。

 

私が生まれてしばらくして水害が激減する時代に入ったのも、1990年代に「100年に一度」という言葉が聞かれるようになったのも、あるいは災害時でさえも断水が珍しくなり清浄で豊富な水を低廉な価格で得られるのも、この水文学の発達が背景にあったということでしょうか。

学問や定義が確立されるまでの、長い試行錯誤の歴史とともに。

 

あちこちを散歩して、ようやくこの言葉にたどりつきました。

 

 

 

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