ここ数年、東へ西へ南へ北へと遠出をするようになって、今までの人生で一番新幹線に乗っています。
ところが静岡県はいつも通過してしまい、狩野川放水路を訪ねた時と掛川からぐるりと天浜線に乗って浜松まで歩いた時に新幹線を利用したくらいです。
新幹線を使うには近い距離という感じでしょうか。
下車する機会はなくてもずっと車窓の風景は追っていますから、静岡県というのはこんなに山が迫ってくる場所だったのかと、改めて驚いています。
なんだかゆったりと広い平地があるようなイメージでしたが、三島駅から静岡駅、そして掛川駅のあたりまで、富士山麓と周辺の山々が迫り、海側にわずかに平地があるぐらいです。
そのわずかな平地に、水田と工場が共存してその向こうに駿河湾が見えます。
岡山が岡と山だったからではないかと思ったように、静岡もまた岡(山)がほとんどの地形ですね。
伊豆の天城山から駿河湾へ流れる狩野川に、御殿場線に沿って流れ込む黄瀬川があります。
狩野川への関心からこの川も時々地図で追っているのですが、ふと下土狩(しもとがり)駅のそばに貯水池のような水色の部分があるのが目に入りました。
東海道新幹線から400mほど北側です。
この辺りから右手は富士山麓の山と茶畑が広がり、左手は少し低いところに水田が見える場所に入るところだとわかりました。
たしか住宅地もすぐそばで、「毎日、新幹線を見ることができるなんてうらやましいな。あの道からは新幹線はどう見えるのだろう」と思っていました。
そこから新幹線に沿って見ていくと、海側に新幹線に並行して流れている川があります。
掛川の逆川のようだと思いながら地図を拡大すると、富士山から流れ込む小さな川が間の水田をはさんでこの川へとつながっているように見えます。
もしかすると排水路でしょうか。
その水色の線をたどると、JR東海道本線の東田子の浦駅のそばに浮島ヶ原自然公園があります。
名前からして沼のような場所だったのでしょうか。
そのあたりは、昨年7月に佐賀へ行く途中、田植え直後の水田に富士山が映っていた場所です。水田の歴史に俄然、興味が湧きました。
静岡県内の川は、富士山や南アルプスなどの山々からまっすぐ駿河湾へ流れ混んでいるのかと思ったら、違うようです。
おもしろそうなので歩いてみたいな、せっかくだから一泊してあの瀬切れをおこす安倍川も見てみようと思いつきました。
安倍川上流まで路線バスがあるので、ただひたすら安倍川を見る計画を考えていたのですが、そういえば駿府城の堀は安倍川から水を引いているのだろうかと地図を眺めると、まるで島の上にあるかのように周辺には水色の線がありません。
よくよく見ると北側から何本もの流れが、JR草薙駅のあたりで複雑に合流して、この川もまた海と並行するように流れて清水港の近くで駿河湾に流れています。
東海道新幹線から数百メートル内の近い場所を並行して流れていますが、全く気付きませんでした。
東静岡駅の少し東側では、その合流部から一本だけ直接駿河湾に流れているように見える水色の線があります。おそらく放水路だろうと見当がつきました。
今までいったい、新幹線の車窓から何をみていたのかと愕然とするような駿河国の複雑な水の流れがありました。
この海とは並行に流れる二つの流れを歩こう、そしていつも車窓から見ている場所から逆に、通過する新幹線を眺めてみたいと昨年11月下旬に出かけました。
今回はおおざっぱな行き当たりばったりの散歩でしたが、思わぬ歴史をたくさん知ることになりました。
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