事実とは何か 102 秋田駅前の浸水

今年は七月に入ってからというもの、週末になると大雨で水害の被害が出ているニュースが伝えられました。第1週、第2週と佐賀や福岡、大分、熊本そして北陸の名前を耳にするたびに昨年七月中旬に訪ねた熊本の水前寺公園内での目の前が見えなくなるくらいの突然の大雨を思い出し、線状降水帯が停滞する恐怖感が蘇りました。どうぞ犠牲になる方がいませんように、地域の産業に影響が出ませんようにと祈る二週間でした。

 

そろそろ梅雨明けと思っていたところ、先週末からは東北の大雨のニュースです。

秋田に相当の雨が降っているニュースが気になって、地図で河川を確認しながらニュースを追っていました。

7月15日の夕方には、秋田駅前が浸水して車が水没している様子が映りました。信じがたい映像でしたが、2019年にあの辺りを歩いたときに西へ向かってなだらかに下り坂だと感じた記憶を思い出しました。

 

当時はまだお城のこともあまり関心がなかったのですが、駅前すぐのところに久保田城がありお堀が美しかったので惹かれるように見学しました。そして県道26号線をはさんだ繁華街の地下で比内鶏の親子丼と稲庭うどんを食べたのでした。

 

あの辺りの地下街は大丈夫なのだろうかとニュースを気にしていたのですが、翌朝まで水没した映像が流れるのみで排水のための救援とか災害対応についてのニュースは聞こえて来ませんでした。

県内の他の被災地でも、「もうここには住めないかもしれない」という悲壮な声が伝えられていました。

 

 

*「秋田で記録的大雨」*

 

ニュースで旭川大平川などの氾濫が繰り返し伝えられていました。

活発な梅雨前線の影響で秋田県では15日、記録的な大雨に見舞われた。河川の氾濫が相次ぎ、秋田市では土砂崩れで4人が軽傷を負った。東北では16日も大雨の恐れがあり、気象庁は土砂災害などへの厳重な警戒を呼びかけている。

気象庁によると、15日午後6時までの24時間降水量は、秋田市288.5ミリ、藤里町266ミリなどで、県内の7地点で観測史上最大を記録。午後6時までに計8河川が氾濫した。

秋田市五城目町など5市町村では、6744世帯1万3050人に対し、避難情報のうち最も危険度の高い「緊急安全確保」(警戒レベル5)が発令された。道路の冠水でたち往生する車が続出し、膝まで水につかりながら歩く人の姿も見られた。

(「秋田で記録的大雨、道路冠水で車は立ち往生…5市町村1万3050人に「緊急安全確保」発令」読売新聞オンライン、2023年7月15日20:58)

 

昨年8月も東北から北陸にかけて「経験したことのない大雨」で広範囲の地域に被害が出ました。

 

 

昨年もあの八郎潟への流入河川の馬場目川流域の五城目町の名前が頻繁にニュースになり、2019年に八郎潟を訪ねたときに地元の方から伺った2018年5月28日の豪雨のことを思い出しましたが、2018年にも「秋田中央地域を中心に住家の床上、床下浸水、土砂崩れなどの被害が多数発生」したようです。

 

今回は前日から秋田新幹線や在来線は運休も決まっていたので駅構内は人の姿もなかったのですが、一晩経っても水が引いていない秋田駅西口側の様子に、どのような被害が出て、元の生活に戻るまでどれくらいかかるのだろうとまたニュースを追っています。

 

*現実のリスクに対応できない政府なのかもしれない*

 

それにしても静かすぎるほど、災害の全体像も救援についても伝わってこないのは何が起きているのでしょうか。

住民の方々が冷静に浸水に対応されているからでしょうか。

 

関東だと秋田のニュースが少ないのかと思ったのですが、ニュースのコメント欄を読むと秋田県内でも災害の情報が伝わりにくいようですね。

 

 

ようやく7月16日にこんなニュースを見つけました。

岸田首相 「災害への対応状況は随時、報告を受けることに」

岸田総理大臣は中東3カ国への出発前に、総理大臣公邸で記者団に対し、大雨への対応について「私の方から必要な指示を随時行ってきているほか、先ほども政府としての対応状況を確認したところだ。出張中も、臨時代理の松野官房長官と谷防災担当大臣を中心に、自治体とも緊密に連携しながら政府をあげた対応を緊張感を持って継続していく。私自身も引き続き災害への対応状況について随時、報告を受けることにしている」と述べました。

(「秋田で記録的大雨 東北北部はきょうも雨が続く 厳重警戒を」、NHK NEWS WEB、2023年7月16日8時6分)

 

「報告」「指示」「緊張感を持って」。

現実の災害や未曾有の感染症に対して、なんどこの実態のない言葉でかわされてハシゴをはずされ、煙に巻かれたことでしょうか。

今はもっと違う、具体的な言葉と姿勢だと思うのですけれど。

 

なんだか最近、本当に必要な時に政府の気配を感じないことが増えましたね。

今までの人生ではあまり政府への批判はなかったのですけれど、災害時に内閣の具体的な発言がないとなるとちょっと限界のような気分です。

 

 

 

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