つじつまのあれこれ 47 「本人でもない印鑑」からカードに変わっただけ

このところ、日本の政治とはハリボテのような人たちによって牛耳られていたことが少しずつ見えてきました。

その混乱の中で鳴りをひそめているかのようなマイナンバーカードの行方ですが、あまりの杜撰なシステムに当然見直されることになるだろうと思っていると、時々実弾のようなものが飛んできますね。

 

 

*まだ根本から問題を見直さず押し通そうとするのか*

 

2024年3月19日付でこんなニュースがありました。

マイナカードと運転免許証の一体化「2024年度中、なるべく早期に開始」ー河野大臣が表明

 デジタル大臣を務める河野太郎氏は3月19日、マイナンバーカードと運転免許証の一体化を2024年度中に開始するとX(旧Twitter)に投稿した。「なるべく早く始められるように調整しており、正確な時期は追って発表する」とも投稿した。

 政府はこれまでも、運転免許証とマイナンバーカードを2024年度末までに一体化させる方針を示していた。また、工程表によれば、一体化以降、マイナンバーカード機能を搭載したスマートフォンを運転免許証がわりにする「モバイル運転免許証」の運用も極力早期に開始することになっている。

CNET Japan

 

このニュースを読んでまず感じたのは、なぜ政府の方針をなぜ一私企業のSNSで伝えてしまうのか、それは公的な発表なのか、であれば総務省警察庁が発表すべき内容ではないかという疑問でした。

 

最近、任意だったものが強制されたり時間をかけて築いてきた社会の制度が前首相の一声で変えられたり、あの1980年台の東南アジアの国々で目の当たりにした独裁政権下のような手法が目につきますからね。

 

 

*「デジタル資格書」って何?*

 

長い時間をかけて試行錯誤してきた「自由」と「民主」とはほど遠い国になってしまったという絶望感で、このニュースの後半を読み飛ばすところでした。

 

32の国家資格や免許をデジタル化

 また河野氏は、運転免許証とは別に、2024年6月から税・社会保障関係を中心とした32の国家資格や免許を順次デジタル化すると発表。マイナポータルからデジタル資格証を閲覧可能になるほか、資格の新規取得や住所変更、申請に必要な支払いがオンラインで可能になり、その際の住民票などの書類添付も省略できるとした。

 対象となる資格や免許は「医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師保健師助産師、理学療法士作業療法士視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士言語聴覚士臨床検査技師診療放射線技師、歯科技工士、歯科衛生士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、救命救急士、介護福祉士、精神保健衛生士、公認心理師、管理栄養士、栄養士、保育士、介護支援専門員、社会保険労務士、税理士」。

(強調は引用者による)

 

デジタル資格証ってどんなものなのだろう。

まさかあのいち私企業が管理している電子印鑑のようなものではないですよね。

 

それまで国と自分との免許証だったはずなのに、IT企業や関連機器会社が介在する別の資格証ができるというのは意味が全く違うものになるのではないかともやもやしています。

 

そしてさらりと「住民票など」と書かれていますが、現在の国家資格の免許の変更に必要なのはまず戸籍謄本で、そのために死亡したときの原録原簿抹消がややこしく、本人は死んでもその免許は存在し続けるという不思議なことが起きるようです。

 

印鑑が自分を証明するとか住んでもいない場所を本籍とするシステムが国民に番号を振ることで解決すると期待したのですが、ただデジタル印鑑になりデジタル証明書に置き換わっただけですね。

 

デジタルとかまびすしくなるにつれ、「屋上屋を重ねる」というか何か別物になっているような印象がますます強くなるこのごろです。

 

 

*おまけ*

 

ところで、弁護士とか公認会計士とかも国家資格なのに、デジタル資格書の対象になっていないのはなぜでしょう。

32の資格はどういう基準なのでしょう。

まさか「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度活用に関する検討会」の資料にあった「社会保障に係る資格取得者の利便性とともに、社会保障の担い手確保等に資するよう」というのは、人材派遣会社からたくさんお仕事のメールがくるようにさせるとかではないですよね。

 

 

そんな労働や経験の対価が軽んじられてプライバシーもなくなるような資格証はいらないですけれど。

なんだか変ですよね、最近の政府は。

 

 

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