事実とは何か 118 「政策提言」集団という骨太の正体

東京都議会議員選挙が終わった途端、参議院選挙のことばかりになったような気がするこの頃。

そしていち地方の東京の政治団体が第1党になった途端、「参議院選挙では自公に協力する」なんて知事が明言しちゃうのは、都民に対するずるい手のひら返しではないかと思いますね。

そんな民意を問う選挙ではなかったはずなのに。

 

華々しく党首がそろってテレビ出演をしたりイベントが行われていますが、過去に参議院議委員選挙ってこんなに話題になったっけ?と思うのは、各界にやはり何か焦りがあるのでしょうか。

 

その中で気になったのが6月30日のニュースでした。

 

 

*「令和臨調」と呼ばれる「政策提言」集団*

 

消費税減税で豊かになれる? 与野党の"目玉政策”を追求 政策提言集団が質問

(2025年6月30日、テレ朝NEWS)

29日は経済界や有識者らの代表が、与野党トップに物申すという珍しいイベントが行われました。各党の代表は厳しい追求にどう答えたのでしょうか?

 

▪️消費減税で豊かになれる?

29日、石破茂総理大臣も招かれたイベント。会場内をよく見ると、壇上に向かってテーブルとマイクが並べられ、そこに東京電力HDの小林富光会長や野村総合研究所増田寛也顧問、三菱UFJ銀行の平野信行特別顧問など、名だたる企業経営者や著名な学者たちが陣取ります。

彼らは「令和臨調」と呼ばれる「政策提言」集団のメンバーで、順番にステージに上がる与野党のトップに対して、専門的な立場からそれぞれぞれが主張する政策に切り込みました。

(以下、略。強調は引用者による)

 

 

「『政策提言』集団メンバー」で思い出したのが、裏金問題の時に自民党「派閥も悪いわけでなく、政策集団として・・・」と言ったことでした。

与党の派「閥」(出身や利害関係を同じくする者で構成する排他的な集まり)の「政策集団」と、「名だたる企業経営者や著名な学者」の「閥(財閥・学閥・軍閥とか藩閥とかの集まり)」の「政策提言集団」とどう違うのだろう。

 

そんなに「専門的な内容」なのかと思ったら、こんな発言でした。

慶應義塾大学 伊藤由希子教授

「減税を打ち出すと国民の手取りは増えるかもしれません。ただ国民が本質的にスキルで稼ぐとか、持続的に豊かになることは、単に手取りを増やすのでは難しいのではないかと」

なぜ今こんなに国民が困惑しているか、何を求めているか、何も専門的じゃあないですね。

言葉でならなんとでも言えちゃうじゃあないですか。

 

それにちょっとWikipediaを読めば、それぞれの「名だたる人」の背景や経歴や思想はすぐにわかるのに、マスメディアもヨイショする気持ち悪い記事ですね。

 

 

*骨太の政策提言集団*

 

ニュースでは、なぜカッコ付きの「令和臨調」なのか。

それも以前ググって知っています。

「臨調」というと政府の諮問機関かと勘違いしそうですが、かっこ付きの臨調はあくまでも民間の有志の団体でありながら、骨太に深く関わってきたことがようやく最近になってつながってきました。

そして選挙で選ばれているわけでもないのに、民間「議員」って呼ばれている人たちですね。

 

 

 

例えば2023年はこんな感じ。

子育て支援の財源「税を軸に」  令和臨調が『骨太の方針』へ提言 マイナンバー活用も明記

(2023年4月25日、東京新聞

 産学の有識者で作る「令和国民会議(令和臨調)」は25日、社会保障制度改革に関する提言を発表した。子育て支援少子化対策については、法人税所得税、消費税といった税を軸に安定財源を確保するよう求めた。政府が6月にも決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」への反映を目指す。(以下、略)

 

あるいはつい最近も。

「令和臨調」大規模な補正予算恒常化に歳出の総額設定を提言

(2025年6月10日、NHK

各界の有識者が参加する令和国民会議=「令和臨調」は国の財政政策について、大規模な補正予算が恒常化しているとして、政策ごとに当初予算と補正予算を合わせた歳出の総額を設定することなどを求める提言を発表しました。

提言では、日本の財政について、多額の国債発行により政策の選択肢が狭まり、災害などの有事の対応にも支障をきたす恐れがあるとして、規律ある財政運営に取り組むべきだとしています。

その上で、限られた財源の中でさまざまな課題に対応するためには、複数の年度にわたる戦略的な予算配分が求められるとして、3年程度の中期財政フレームの作成を求めています。

そして中期財政フレームの作成にあたっては、大規模な補正予算が恒常化している現状を踏まえ、政策ごとに当初予算と補正予算を合わせた歳出の総額を設定するべきだとしています。

また、恒久的に支出や減税を行う時には、財源も同時に決定する「ペイ・アズ・ユー・ゴー」を原則とし、中期財政フレームを守れなかった翌年度は是正措置を講じるよう求めています。

提言をまとめた部会の共同座長を務める三菱UFJ銀行の平野信行特別顧問は会見で「経済を成長させ、国民の幸福度を向上させるためには、限られた財源を最適に配分し財政余力を確保することが重要だ。規律ある財政運営をし、日本国債の格付けの引き上げを目指すべきだ」と述べました。

 

まさに自民党と二人三脚というか、基本策を諮問会議で、具体策を財務省で決める骨太のための政策集団の正体ですね。

選挙で選ばれたわけでもない集団(閥)が勝手に政策を決めていった30年でした。

それでその30年に国民の生活はどうなったのか。

誰がその責任を取るのか。

 

 

国民の付託に応えるということを忘れて、骨太の方針に従う政治家の皆さんはそこに利害関係が強くあるからか、それともただ政治家でいたいためだからか。

 

国会議員の皆さんは、なぜ正面からこの「骨太の方針」の存在に意義を唱えないのだろう。

 

それに消費税減税の流れは、「物価高対策」とか「手取りを増やす」ことじゃあないよ

人の財産や労働の対価を勝手に取るなということ。

この30年ほどで年金の1ヶ月分に相当する消費税金をむしりとられるようになったのに、社会保障がどんどんと薄くなっていくことへの疑問ですね。

議員さんたちも、そこを意図的に取り違えないように。

 

 

*おまけ*

こんな小賢しい人たちに、今まで医療もその専門性を蔑ろにされ、右往左往させられてきたのだと忸怩たる思いですね。

「エッセンシャルワーカー」なんて呼び名を変えて、生活に必要な仕事と持ち上げつつ新たな経済奴隷にさせられた30年だったのだと。

 

ほんと、怒ってますね。最近は。

 

 

 

 

 

「事実とは何か」まとめはこちら

骨太についてのまとめはこちら

失敗とかリスクについてのまとめはこちら

あの日(2022年7月8日)から考えたことのまとめはこちら