公と民の境界線が曖昧なまま莫大なお金が使われている都政の問題から目を逸らさせるかのように、東京都議会議員選挙を参議院選挙の前哨戦扱いにされてしまうのは一都民としてはなんだかですね。
まあ、結果、勢いよく次から次へと政策が報道されていたのとはうってかわって、急にお米の話題が減った印象です。
そんな6月下旬、東海道新幹線の車窓からずっと田んぼを眺めていました。整然と田植えが行われて壮観な風景に、このところのやさぐれそうな心が癒されました。
いつもだったら「今年も災害にあわずに無事に収穫できますように」と祈りながら車窓の風景を見ているのですが、今年は「農家の皆さんは今どんな思いなのだろう」と心配しながらです。
出かけた地域の放送ではその地域の現実の問題が報道されていました。
農業の基盤が崩壊していくのではないかと言う不安が募りました。
*6月27日と28日のニュースの記録*
誰もこの動きを止められないのだろうかと無力感を感じていたところ、6月27日から一気に各地のJA関連の話題が増えてきました。
この時期に総会をするのでしょうか。
ニュースで拾えた記事をそのまま記録しておこうと思います。
JAさが概算金制度継続へ小泉農林水産大臣は廃止要請【佐賀県】
(2025年6月27日、サガテレビ)
先週、小泉農林水産大臣がコメの概算金の廃止をJA全中に要請しました。一方、JAグループ佐賀は、農家へ最低補償額を提示していて、現時点で概算金を廃止する方針はないとしています。
概算金とは、JAがコメを買い取るときに一時的に渡す前払い金のことで、その後、販売状況などによって農家に追加でお金が支払われます。
概算金方式では販売状況によって最終的な価格が変わるため、農家が収入の予測を立てづらいとして、6月20日、小泉農水大臣は買い取った時点で収入が確定される「買い取り方式」への変更をJA全中に要請しています。
一方、JAグループ佐賀は、去年の概算金より約4000円程高い概算金の最低保証額を例年より4ヶ月ほど早く既に農家に提示することで農家の収入を早い段階で保証していて、買い取り方式への変更の方針はないとしています。
《JA高知県》総代会で3ヵ年計画を発表 農家の所得向上や経営基盤の強化目指す
(2025年6月27日、高知さんさんテレビ)
JA高知県の今後の事業計画を審議する総代会が開かれました。気になる”令和の米騒動”は?
27日の総代会には、理事や監事らの役員を肇、県内7地区から組合員の代表として選ばれた「総代」が出席。2024年度の事業報告のほか、農家の所得向上や経営基盤の強化に取り組む3ヵ年計画など、14の議案が挙げられました。
JA高知県・島田信行代表りじ組合長:
「令和の米騒動で米価の高騰が社会的な問題となり、我々も想定外の大きな社会現象となっております。JAとしましても、食糧安全保障の確保に向けまして、農業者と地域を守る対策をしっかりと講じていく必要があると考えている」
今回の米不足に関して、JA高知県は「政府備蓄米の放出などで解消される」としています。
今後は、過剰な供給によって価格が下落し、生産者の意欲が損なわれないよう需給バランスの取れた作付けを推進していくとしています。
「誤解招き大変な状況」 県内JA新トップに小池氏が就任 米問題への認識示す 山梨
県内JAのトップ・JAグループ山梨の新しい会長に27日、JAふえふき組合長の小池一夫氏が就任しました。小池氏はコメ不足問題などでJAが誤解を招いているとの認識を示しました。
JAグループ山梨は27日通常総会を開き、中沢昭会長が任期満了で退任し、新会長にJAふえふき組合長の小池一夫氏の就任を決めました。任期は3年で県内JAのトップとして農家の担い手対策や経営基盤の強化などの陣頭指揮を執ります。
総会後、取材に応じた小池新会長はコメ不足の問題などを受け「風当りが強くなっている」との認識を示した上で、JAに対する誤った理解が広がることに懸念を示しました。
JAグループ山梨 小池一夫新会長
「いかに年間を通して安定して(コメ)を供給していくかと言う責任感を持ってやっていることが逆に誤解を招いて、いわゆる”JAたたき”というか組織が大変な状況になっている」
また、コメ価格が高騰する一方、現場のコメ農家の利益は増えていないと指摘しました。
JAグループ山梨 小池一夫新会長
「コメ(の価格)は倍になった。そのお金が生産農家に還元されたかというとそうではなく、どこかえ上がった分が消えてしまっている」
そうした状況を踏まえ、小池会長は農家の収益向上や県内1JA化構想実現に向けて力を尽くしたいと強調しました。
【米価】JAグループ新潟トップが言及 「生産者にも目配りを」《新潟》
(2026年6月27日、テレビ新潟)
備蓄米の放出などコメをめぐる政府の対応についてJAグループ新潟の伊藤能徳会長は、27日の会見で「消費者目線だけでなく生産者にも目配りをしてほしい」と述べました。
JAグループ新潟は27日、定例の会見を開きました。伊藤能徳会長は、備蓄米の放出など価格抑制のための政府の対応について、理解を示しつつも、生産者への配慮を求めました。
《JA新潟中央会 伊藤能徳会長》
「消費者の目線も大事ですけど私は同じくらいに生産者に対しても目配りが必要だと考えています」
その上でコメの価格が上がり農家の生産意欲も高まっていると説明。こうした状況を消費者に理解してもらうための取り組みも必要との考えを示しました。
「せっかくコメ価格上がったのに・・・農家は廃業ですわ」 JA福井県会長が小泉農水相のコメ政策に物申す 「生産者のことも考えてほしい」
(2025年6月27日、FNNプライムオンライン)
コメの価格高騰を理由に、小泉農林水産相が次々と打ち出すコメ政策の見直し。これに対しJA五連の宮田会長は27日の記者会見で「農家を不安にさせている」と不満を漏らし「消費者ばかりでなく生産者のことも考えてほしい」と主張した。
概算金の廃止は「相場観がバラバラに」
小泉農水相は備蓄米を連続で放出した後、コメの作柄を示す「作況指数」の廃止や生産者に渡す前払金「概算金」の見直しなど、コメ政策の方針転換を次々と打ち出した。
中でも「概算金」について小泉大臣は、JAが生産者からの委託販売ではなく、直接買い取る形にすれば委託手数料がなくなり、生産者の収入増加につながるとした。
これに対しJA福井県の宮田会長は「概算金はコメの価格を決定する上で重要な役割を果たしてきた。概算金をなくしてしまうと相場観がバラバラになってしまう。基本的には概算金を提示してコメの価格を安定させていきたい方針」と小泉大臣の方針に反発する姿勢を示した。概算金がコメの価格を下げないための防波堤になっているとして理解を求めた。
「コメが2000円台で買えるという雰囲気は困る」
また、随意契約の備蓄米が放出され、全国のスーパーでコメ5キロの平均価格が3ヶ月ぶりに3000円台に下がったことについては「やってしまったことは仕方がない。我々が心配するのは、せっかくコメの価格が30年ぶりに上がったのに、2000円台で買えるという雰囲気になってもらうと困る」と生産者側の見解を述べた。
さらに、こう危機感をあらわにした。
「農家のみなさん全部廃業ですわ。今の価格で行ったら」
小泉大臣に対しては「消費者ばかりを向くのではなくもっと生産者の不安に寄り添ってほしい」と力を込めた。
この福井については翌日、福井新聞がもう少し違うタイトルで報道していました。
小泉農政に反対姿勢 JA福井県五連の宮田幸一会長、コメの概算金「現行の方式を残す」 作況指数廃止「基準おかしくなる」
(2025年6月28日、福井新聞)
JA福井県五連の宮田幸一会長は6月27日、福井市の県農業会館で記者会見した。小泉進次郎農相が全国農業協同組合中央会(JA全中)へ要請したコメの概算金方式の見直しについて「生産者価格を決定する上で重要な役割を果たしている」として反対姿勢を示した。また、作況指数の廃止方針についても異議を唱えるなど、小泉農相の政策方針に疑問を呈した。
コメの概算金方式は、農家がJAに委託て卸売業者などに売り、売る上げ金の一部を概算金をして前もって受け取る。県内JAでも「内金」として、おおむね同様の方式を採っている。小泉農相は、JAがコメを農家から直接買い取る方式に見直すことで、農家の手取りが増えると訴えている。
宮田会長は相場観の形成に向けても、現行の概算金方式を見直さない方針を明言。年間を通したコメの流通・販売には、保管や運送などさまざまなコストがかかっているとし「買い取りでも概算金でも経費への考え方は変わらない。農家の手取りをこれ以上下げないという防波堤(を示せる意味合い)も含めて、概算金方式は残さないといけない」と述べた。
また、近年の気候変動などで実態と合わないとして、小泉農相が収穫量の見通しなどを示す作況指数の廃止方針を掲げたことについても宮田会長は「基準がおかしくなる」と一蹴。JA幹部は「作況指数を開示しないと、各都道府県がコメが取れたのに『取れていない』と言えることになる。廃止によって、むしろ市場価格の不安定化を招きかねない」と懸念を示した。
政府はコメの増産にかじを切る中で、石破茂首相を議長とする関係閣僚会議内で、農家の所得補償の在り方を検討していく方針を打ち出している。ただ、宮田会長は「米価が下がったからと言って全て政府が補償できるわけがない」と強調。「ようやく再生産が可能になった今の米価を、需給バランスの中で維持させていくことを考えていくべきだ。生産者に目を向けて議論してほしい」と話した。
世の中は時に鵺のような雰囲気に覆われて、堅実に進んでいきた社会を「そんなことは求めていなかったのに」という方向へ動かしてしまうことがありますからね。
意のままに自分の利益にしようとする人は、社会が混乱してもその主体を消して責任には向き合うこともない。
突然ハシゴを外されて右往左往する社会を見ても、痛みを感じることもないのでしょうか。
次々と投げ込まれた方針のお膳立てしたのは誰なのでしょう、どういった経緯で政策立案したのが追跡できるシステムがやはり必要だと思いますね。
それが政治のリスクマネージメントだと思うこの頃。
まあ当たり前のように黒塗りで出してくる世界ですから、道のりはほど遠いでしょうか。
「記録のあれこれ」まとめはこちら。
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