Yosyan先生がキラキラネームの記事を書かれていたので、そこから名前についていろいろと思いが広がりました。
そういうわけで、今日は名前についての話です。
思わずコメントしてしまったほど、実は私は人の名前を覚えるのが苦手です。
苗字はまだ大丈夫なのですが、下の名前になると一度聞いただけではなかなか覚えられないのです。
そう、「聞いただけ」というところがポイントで、目で字を見た場合にはすぐに記憶に残るのですが、耳で聞いた場合にはどうもすんなりと覚えられないのです。
たとえば、立会い分娩で上のお姉ちゃんやお兄ちゃんが来院している時に、「お名前は?」と聞いてできるだけ名前で呼ぼうと心がけています。
「○○です」と聞いてその直後には「○○ちゃん」と呼べるのですが、しばらくすると「あれ?何ちゃんだっけ?ごめんね」となります。
字を教えてもらって看護記録の家族構成の所に書き込むと、もう忘れません。
自分でも何でこうなっちゃうのだろうと、ずっと引っかかっています。
皆さんは、どうやって人の名前を覚えるのでしょうか。
<自分の能力のなさに気づいたこと>
日本で働いていた時にはそれほど困ることもありませんでした。
耳から聞いたものを漢字とひらがなに置き換えれば、何とか覚えられましたから。
インドシナ難民キャンプで働き始めた時に、その補助的な方法を使えないことに直面しました。
名前を覚えるのが苦手・・・というより何か能力に欠けているのかもしれないと思うほどに落ち込んだのでした。
同僚の現地スタッフの名前も、ジェーンだとか少し英語っぽかったり日本語にもありそうな名前なら覚えやすいのですが、今まで聞いたことのないような名前の場合にはもうお手上げです。
「こんにちは。私は△△・(ミドルネーム)・××です」と挨拶されただけでも混乱するのに、さらに「○○って呼んでね」といわれて頭の中は真っ白になっていました。
一度、アルファベットで書く段階を経て、ようやく記憶の片隅にインプットされる感じです。
反対に、相手は私の名前を一度聞いただけでだいたい聞き取るのです。なじみのない日本名だというのに。
アルファベット26文字で自分の名前を表現できる文化であれば、目で文字を見るよりも音で聞くことの方が優先されるような、何か言語を理解する回路の違いがあるのだろうかと思っているのですが。
日本語や中国語、あるいは他の象形文字を使う言語圏だと目で見て言語を理解し、さらに耳で聞いて理解する二つの回路を同時に使っているのではないかと。
・・・そういうことにして、私は耳で聞いて理解するのがちょっと苦手なのかもしれないという勝手な口実にしています。
<名前ってなんだろう>
最初に赴任した難民キャンプは、ベトナム、ラオス、カンボジアのインドシナ三国からの難民の方たちに対応していました。
名前の覚えにくさは、ラオス>カンボジア>ベトナムの順でした。
ラオスの方々の名前はとにかく長いものが多かったし、発音が難しいのでアルファベット表記にしたもので呼んでも本人には通じないことがよくありました。
こちらによれば、「政府から苗字を使うように勧告がでたのは、1940年代に入ってから」とあります。
1970年代から80年代にラオス国境を越えて難民になった人の多くが、農民や少数民族の方たちでしたから、まだ苗字もなかった人たちもいたのかもしれません。
「ラオス人と名前」にはラオスの名前が難しいことが書かれていたので、私の能力の問題だけではなかったと安心しました。
「極端な話、友達や同僚ですら本名をきちんと覚えていることはとても少ないのだ」
そしてニックネームで呼ぶほうが日常的のようで、「ノイ=小さい」と「トゥイ=太っている」が多いと。
日本ならこんなニックネームからいじめになりそうですね。
カンボジアの方の名前は、ラオスに比べると短く発音もそれほど難しくなかったような記憶があります。
今回、この記事を書くにあたって調べて初めて知りました。
「カンボジア人には苗字がありません」
へぇーー。
「○○の娘の△△」といった感じのようです。
<ベトナムの名前>
ラオスとカンボジア、ベトナムからの難民の方がいるキャンプで6ヶ月ほど働いたあと、ベトナム人だけの難民キャンプに移りました。
3つの国のうちベトナムの方に接した期間が一番長かったのですが、それだけでなくベトナム語自体が中国語あるいは漢字表記から来ているものがあるので、ベトナム語が全くわからない私でも漢字を通じて理解しやすいことが多くありました。
「ベトナム人の名前」
にわかりやすく書いてありますが、Nguyenという性がとても多かったです。
苗字、ミドルネーム、名前ともにそれほど長くなく、漢字に語源があるものもあったので、ラオス、カンボジアの方々に比べると覚えやすさは全然違いました。
・・・ところが、目では覚えられるのですが発音でつまずきました。
Nguyenも、「グエン」でもなく鼻への濁音になるような音です。
しかも母音の発音、たとえば「ア」ひとつをとっても、10ぐらい音の高低差がある「ア」があるのです。
私が呼んでも、返事をしてもらえないこと数知れず・・・でした。
名前って本当に難しい。
「世界はひろいな」まとめはこちら。