散歩をする 426 ただひたすら水の流れをたどる〜奈良から若狭へ〜

3月はまだ10℃以下の日もあったのに、4月に入ると20℃を越え30℃近い日もあって風景はすっかり夏の始まりですね。

3月中旬に春の始まりを追いかけて遠出をしたのに、数週間前のことが遥か昔のような気分で記憶をたどっています。

 

今回の散歩のテーマは「奈良のお水取り」と「吉野川分水」でした。

 

2020年に大和川の川合を訪ねた時に、半世紀前に修学旅行で訪ねた法隆寺のあたりの風景がこんなに水田に囲まれ、「観光地」のイメージとも違い悠久の時が流れている雰囲気に惹きつけられました。

ところがいにしえより水に乏しい土地柄であったことを知り、地図の中の周濠や溜池に目が惹きつけられるようになりました。

昨年の夏はツルボが咲き乱れているはずの場所を訪ねたのですが残念ながら時期がずれてしまいました。それでも周濠の水が水田を潤している風景を見ることができ、秋にもう一度奈良を訪ねて万葉まほろば線沿線の古墳と周濠、そして水田を歩きました。

 

奈良を訪ねても有名な寺社にはあまり立ち寄らない散歩でしたが、行基さんの治水や灌漑事業と訪ねた場所が重なり、その行基さんは東大寺造立にも関わったことを初めて知りました。

子どもの頃から2月下旬の極寒の季節でも水が少しぬるみ始めると「奈良のお水取りが終われば春が来る」と母から聞いて、お水取りの行事がニュースになると本当に暖かい春が来るのでした。

 

子どもの頃からのお水取りの時期に奈良を訪ねてみたいという思いが、現実的な計画になって浮かび始めました。

 

お水取りについてWikipediaの説明に以下のように書かれていました。

「香水」は若狭国から10日かけて地下を通って若狭井へ届くという伝説があり、福井県小浜市の若狭神宮では毎年3月2日に若狭井へ水を送る「お水送り」の神事が行われている。

 

四半世紀前に見た小浜の幻想的な風景をもう一度見たくて2020年秋に小浜を訪ねました。その時に琵琶湖西岸の近江今津から小浜までバスがあることを知りましたが、この路線が若狭神宮の近くを通るようです。

東大寺二月堂のお水取りと小浜がこんな形でつながっていたとは。これはぜひ訪ねてみたいものです。

 

新型コロナで制限されているとはいえお水取りの期間は観光客が増えそうですから、終わる頃に出かけることにしました。

春の始まる季節はまだ雪が降る可能性があります。どうか滋賀と福井の県境を無事に越えられますようにと祈りながら計画しました。

 

奈良を訪ねるのであれば、前回の散歩で見つけた吉野川分水をたどってみようと思いつきました。三輪の手前に流れる幹線用水路のようですが、てっきり大和川からの取水かと思ったら遥か山々を越えて「吉野川」と名前がついています。

帰宅して検索したところ、ほんとうに吉野川から取水して途中で東西へと分水されて奈良盆地を潤しているようです。

今回はその取水堰を訪ねたあと西側の用水路を歩いてみることにしました。

 

1日目はその吉野川分水が潤している地域を歩き、2日目は早朝から東大寺と二月堂を訪ねたあと、周濠をいくつか歩く。

近江今津から小浜へ行くのに2日目は大津での宿泊が便利そうです。近鉄線で木津川左岸の水田地帯を眺めながら京都そして大津へ向かい、美しい琵琶湖湖畔や琵琶湖疏水の近くを歩く。3日目は近江今津からバスで小浜に向かい、若狭井の歴史の地を歩き小浜城のあたりを歩く。

 

いにしえから現代へ、水のあれこれをたどる計画ができました。

しばらくこの3月中旬の散歩の記録が続きます。

 

 

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