生活のあれこれ 29 「移動の自由がある」?

最近は散歩で全国のコミュニティバスに乗ってみるのですが、規模も料金もその地域でいろいろですね。

 

私の地域では23年ほど前から変わらず100円で、鉄道やバス路線がない地域を結んでいるその15分ぐらいのルートにとても助かっています。

他県では200円という地域もありますが、それが高いかというと1時間ぐらい乗っても均一200円ということがほとんどです。

通常の路線バスやタクシーのように乗れば乗るほど料金が上がっていくドキドキがないことがありがたいものです。

 

先日、とある場所を散歩してその地域のコミュニティバスに乗って200円を払いました。

運転手さんがレシートのような紙を下さるので珍しいなと思ってよくみると、1回200円を払うとその日1日は何回も乗れるという方法でした。

これはすごい、助かりますよね。通院や買い物での往復400円はたびかさなれば家計を圧迫しますから。

 

ましてや日常生活の中でタクシーなんて、とてもとても使えません。

最後にタクシーに乗ったのはいつだろうと思い返すと、昨年5月に五所川原から板柳駅まで乗った時で、土淵堰(どえんぜき)をみる機会はそうそうないので、えいっと万札を準備して乗ったのでした。

 

そういえば今年の1月にホテルから新富士駅までのモーニングシャトルコミュニティバスかと思ったら、相乗りのタクシーが到着しました。あらかじめ調べた料金は200円でしたが、タクシーなら高いのだろうかとドキドキしたら200円でほっとしたのでした。

 

タクシー代というのは日常の金銭感覚とはケタが違う乗り物ですから、旅先で気分が高揚している時とか緊急時ぐらいしか使えませんね。

 

 

 

*「移動の自由」とは*

 

 

「移動の自由」、最近の政治の迷走からは思いつきそうにない普遍的で平等な言葉を目にしました。

あの横文字で煙に巻かれそうな話で、そもそも私の生活にはほとんど関係ないので「あれ?ライドシェアだっけ。シェアライドだっけ」と混乱するぐらいのことなのに「移動の自由」とはこれまたたいそうな話の方向になっていてびっくりですね。

 

いやあ、日本中よほどの場所で無い限り検問もなく自由に歩けるし、怖いのは風雨雪といった悪天候や熊そしていろいろな意味で暴走する人間でしょうか。

そして移動の自由のためにはお金がかかり、住む地域によっても負担が違うことも問題。

 

さて、「移動の自由」で検索してみたら、真っ先に「憲法22条は居住・移転の自由」で「移動の自由という解釈ではない」ということが挙げられていましたが、「移動の自由」ってなんなのでしょう。

 

*「交通権」*

 

いつのものかわからないのですが、「わが国における交通基本法と「交通権」の位置づけについて」という国土交通省の資料が公開されていました。

 

1. 交通基本法の役割

 日本の各地域で、移動が困難になる人が急速に増え、今後一層の増加は確実である。そこではどのような問題が発生しているか、共通の認識が重要と考える。そこでみられるのは一言で言えば、戦後日本が到達した経済発展とは著しく乖離した生活交通の貧困・危機的状況である。「国民の交通権(現代社会の交通の権利)」を保障することを考えてこなかったこれまでの政府の政策が導いたもので、当然の帰結といえば、当然である。そこで暮らしていけないため、やむをえず離村する地域崩壊が各地で進行し、自然災害が多発し、当該地域外にも大きな影響を与えている。

(強調は引用者による)

 

なんと、「交通権」という用語があり、きちんと議論がされているではありませんか。

 

そしてこう書かれています。

 このように「交通権」保障の問題は、今後のわが国の交通政策の大きな柱になるべきと考える。近年、高齢者・身体障害者の社会参加の推進及び高齢化社会の進行に伴うバリアフリー化の一層の推進、規制緩和に伴う地方鉄道・バス等の生活路線廃止に歯止めをかける等、いわゆる「移動制約者」が移動を確保することについての要望が極めて高まりつつあるからである。

 交通基本法は様々な交通を有機的に結びつけ、効率化させるための総合的な交通法規を構築する要でもある。交通基本法では、国民の交通権保障をその基礎に据えた上で、交通基本法を「要」にして戦前から戦後も個別交通関連法規の再編編成をおこなう。従来まで国および交通事業者任せであった地域交通政策策定と実施の権限を、地域住民の暮らしと生命に最終責任を負う基礎自治体に移すという、新しい枠組みをつくる。そのための財源確保を伴った枠組み・制度を交通基本法で定める。

 

ああ、こういう文章を見るとこの国への信頼は間違っていなかったと思うこの頃です。

こういう考え方ができてきたから、各地で多様で廉価なコミュニティバスが運行されているのですね。

 

 

「ライドシェア」は本当にこの交通権の議論の流れにあるのでしょうか、政治家が思いつきや利権の絡みで声を大きくして進める政策には要注意ですからね。

国民の生活の変化と葛藤からその考え方が築かれてきたのかよくよく気をつけていないと、政府に足元をすくわれることが最近多いのは気のせいでしょうか。

 

 

 

「生活のあれこれ」まとめはこちら

あわせてレジ袋とエコについてマイナンバーとマイナンバーカードについての記事あの日(2022年7月8日)から考えたこともどうぞ。