一時期、渋谷の駅をつなぐ通路に「スタートアップは渋谷から」だったと思うのですが、そんなポスターが貼ってありました。
「スタートアップ」って起業のことかなと想像したのですが、具体的にどんな仕事なのか思い浮かばない心もとなさを感じました。
坂道沿いに小さなそれでいて魅力的なお店がつくられていった1970年代から80年代ごろの渋谷が、ちょっと冷たく壊れそうな街に変化していく雰囲気と重なりました。
*ベンチャーとも違う、起業とも違う?*
なぜ突然、「スタートアップ」を思い出したのかというと、最近ちょっと話題になった参議院議員のWikipediaを読んだら「政治家、起業家」とあったからでした。
起業家って何か専門性があるのだろうか。私の感覚からいくと起業(創業)したその仕事が何か、どんな専門性なのかの方が重要に感じるのですが、なんだかケムに巻かれたようだなと思って頼みの綱を検索してみました。
「スタートアップ」で検索するとWikipediadでは「ベンチャー」にまとめられるようです。
ベンチャーとは、企業として新規の事業へ取り組むことをいう。このような事業をベンチャービジネスという。事業は新規に起業したベンチャー起業によって行われるものを指すことが多いが、既存の企業が新たに事業に取り組む場合も含む。
「ベンチャー」とか「起業」はいつ頃から耳にするようになったのか記憶が曖昧ですが、こんなことが書かれていました。
「ベンチャービジネス」という言葉は、元法政大学総長で日本ベンチャー学会特別顧問の清成忠男らによって概念が作り出された和製英語である。
日本ベンチャー学会は1997年に設立されたようですが、「ベンチャービジネス」が和製英語だったとは。
そして「ベンチャーとスタートアップを区別する場合もあるが、日本ではその差は明確にされないことが多い」とも書かれていて、「スタートアップ」も定義があいまいなのでしょうか。
和製英語とか定義があいまいな用語ははどこまでデジタルで表現できるのか、そちらの方が気になりますね。
*「問題解決」より先に「自分のやりたいことを見つける」*
ここ最近、時々「高校生がこんなことを始めた」というニュースを目にしますが、教育の中にすでに「起業」が組み込まれているのですね。
「起業家教育事例集〜中小企業庁「学びと社会の連携促進事業(起業家教育)〜」(平成31年)という資料がありました。
「地域の課題をどう解決するか?高校生と地域住民が一緒に取り組む」という研修が書かれているのですが、その順番を見ると「価値観を言語化する」→「ターゲットのペルソナを掘り下げる」→「問題を発見・解決する」→「最終発表、プレゼンと表彰」になっています。
問題を解決するためにはまず観察があり、それを共有するために言語化があり、そして仮説をたてていく、という仕事のための段階を学ぶのではなく、「自分のやりたいこと」を見つけることが目的のようです。
「学ぶ」ではなく「学び」という言葉を使う方向性だということがわかりますね。
そして高校生への教育であれば、まずは歴史から学ぶとか失敗から学ぶことも大事だと思うのですが、その地域の歴史を学ぶとか起業の失敗からの再発防止のような内容はなさそうでした。
*「鉱物の見かけだけを取り繕う」*
「起業」と「スタートアップ」、日本語でも定義やその違いが理解できないのですが、すでに専門の大臣までいるそうです。
スタートアップ担当大臣
2022年8月1日に、成長戦略の1つである新興企業(スタートアップ)支援の司令塔となる「スタートアップ担当大臣」を岸田内閣の下に新設した。
ふと「錬金術」を思い出したら、こんな一行が目に入りました。
錬金術は鉱物の見かけだけを取り繕うものであると考え、さらに、錬金術は通貨の価値の暴落をもたらすことによって、神により創造された世界の秩序を壊しかねないとして錬金術を非難した。
(Wikiepdia「錬金術」「中世アラビア語圏における錬金術」、強調は引用者による)
錬金術の歴史を知らないまま、その言葉だけ覚えていたことに気づきました。
「錬金術」もう少し知る必要がありそうです。
最近、政治家の皆さんの煮え切らない説明や失敗を認めない態度が国民の求めている社会と大きくずれてきたのは、もしかするとこのあたりかもしれませんね。
それにしても最近の高校生は、「ペルソナ」とかなんだかゾワゾワする横文字が多いことを学んでいると知りました。
「横文字のあれこれ」まとめはこちら。
あの日(2022年7月8日)から考えたことのまとめはこちら。
デジタルと生活について考えたことのまとめはこちら。