社会にはまだリスクマネージメントは浸透していないのかなと下書きを書いていたら、「太田光さん『マスク会食』酷評を反省...『ぺこぱ』的発想必要かも [コロナ#伝えたい]」(読売新聞、2021年2月2日)という記事がありました。
タイトルの「『マスク会食』酷評を反省」の内容は、以下のインタビュー部分でした。
コロナを巡るメッセージを「伝える」ために、いくつものハードルが重なっています。
そうですね。とはいえ、若者たちが特に無自覚かといえば、絶対にそんなことはなくて。おそらくそのおかげでもあって、「欧米の状況と比べれて日本はこの程度で済んでいる」という点も、同時に発信しなければならない。
それと一時、「マスク会食」を政府や自治体が強く発信しましたよね。食べる時だけマスク外して、会話する時はマスクしましょうって。あれを一斉に、テレビを中心に「そんなのできねえよ」というニュアンスで伝えてしまった。あの伝え方は失敗だったと反省している、俺は。
小学生は学校でやっているんだから。大人ができないわけがないんです。なのに、「現実的でない」というトーンで結構言っちゃったんですよね。もうちょっと、伝え方があったような気がしています。
いつごろだったか、尾身会長が食事中に会話をするときにはマスクをつけて、また食べるときには外してという動作を、自らパントマイムのように見せて伝えているニュースが流れました。
ああ、本当に小さいけれど基本的なことだと思ったのですが、社会はなんだか冷ややかでしたね。
検査とかワクチンとか医学的な難しい話はかっこいいけれど、唾を飛ばさない話なんてあまりしたくないのかなと感じていました。
ところが、その大事なことが伝わらずに、GoToEatとか、食べて飲食店を盛り上げよう、忘年会や新年会やパーティでワイワイとやろうという流れを止められず、とうとう医療と経済の崩壊を食い止めるお願いを出す事態になってしまったのではと思っていました。
時を取り戻せるとしたら、やはりあの尾身会長が全身でパフォーマンスしてくださったあの時が、分岐点だったのではないかと。
せっかく、飲食業界や観光業界を静かに支える方法を伝えてくださっていたのですけれどね。
でも、自分の思いこみによる失敗を認める、自ら生まれ変われる時を逸したことを認めることは、よほど頭をガツンと殴られるような事態にならないとできないものですが、それを社会に向けて伝えることはさらに勇気がいることですね。
ほんと、失敗と感じることはたいてい、「なんであの時にああしなかったのだろう」という小さなことがきっかけですからね。
そして、個人の責任を問うのではなく、システム(社会)で再発防止をする。
それに気づいたことはすごいことだと、この記事から思ったのでした。
今までの土下座とか謝罪会見とは全く違う、こういう失敗を認める方法に、なんだか希望の光が見えるようなインタビュー記事でした。
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