水のあれこれ 266 熊本市の干拓地と水

外を歩き始めると土砂降りになりバスに乗ると雨があがるという熊本市内の散歩で、まだ13時だというのに熊本駅に到着した時には疲労困憊していました。

加瀬川沿いの「鯰地区」をみてみたい、時間があれば坪井川河口と白川河口に挟まれた熊本市西区干拓地のようなところまで足を伸ばしてみようと思っていましたが、時間はあっても気力がなくなりました。

 

まずはご飯だと駅ビル内をひと回りしたら、焼き鯖定食が目に入りました。6月に新潟を訪ねて以来、焼き魚が食べたくてしかたありません。昼間から生ビールを飲み、この日の散歩は終了になりました。

 

美味しい焼き鯖を食べたら少し元気が出て、このまま熊本市内を歩かないのはもったいないと、駅の西側を少しだけ歩きました。平坦なイメージだったのですがすぐに山が迫り、その山の東端に坪井川と白川が近づいている場所があります。その小高いところが切り通しになっていて、鹿児島本線九州新幹線が通っていました。

駅西口は比較的新しい住宅地の印象でしたが、もしかするとこの坪井川と白川が氾濫した時の遊水池的な場所だったのかもしれない、熊本城下と熊本駅が離れている理由かもしれないと思えたのですが事実は如何に。

 

 

*「熊本市南地区の紹介」より*

 

熊本を訪ねる計画が現実味を帯びてきた頃からどこを歩くか地図を眺めて続けましたが、熊本市の沿岸もまた干拓地で水田が広がっていることを知りました。

 

熊本は湧水に恵まれた水の国というイメージでしたが、その水はどこへ行くのだろうとあまり考えていませんでした。

帰宅してから熊本市内の干拓地について検探したら、水土里ネット熊本市みなみの「熊本市南地区の紹介」がありました。

 

熊本市の概要

九州の中央、熊本県の西北部の位置にあります。

地勢は、金峰山を主峰とする複式火山帯、東部は阿蘇山外輪火山群によってできた丘陵地帯、南部は白川の三角州で形成された低平野からなっています。

気候は、内陸盆地的気象条件となり、寒暖の較差が大きく冬から春への移り変わりは早く、比較的夏は長いです。

熊本市は人口74万人、31.6万世帯、面積は390㎢で、平成24年に全国で20番目の政令指定都市になっています。

市民の水道水源の100%を地下水で賄っている日本一の地下水都市です。清れつで豊富な地下水は、社会活動を営む上でいろいろな用途に利用されております。

 

地勢

本地区は、熊本市中央部の西南13kmに位置し、北に金峰山を望み、東を川尻地区・南を緑川を隔てて富合地区及び宇土市に接し、西は有明海に囲まれています。東西約7.8km、南北約6.5km、標高0.5m~4.5mで傾斜は東寄り西へ(川尻から有明海へ)1/4000の勾配です。

殆どが1284年~1868年にかけて干拓された平坦な純水田地帯です。

熊本平野に包含され、北に白川、中央に千間江湖川・天明新川、南に加瀬川・緑川が流れ、かんがい排水に重要な役目を果たしています。

平坦地帯です。緑川及び白川の上流から流れてきた泥砂の永年の堆積によってできた肥沃な土壌で両河川流域に広がる沖積層からなり、土質は砂壌土から埴土です。

 

地域農業

恵まれた自然環境のもと、都市近郊農業としてメロン・トマト・ナスなどの施設園芸を種とした複合経営が行われています。県内でも屈指の農業地帯として飛躍しています。

施設園芸は、昭和45年にプリンスメロンの導入に始まり、ネット系メロン、ナス・トマトを中心に栽培しています。熊本市の生産量は、ナスが九州1位・全国2位、メロン九州1位・全国3位と有力な産地となっており、関東や関西などの市場に出荷しています。米の栽培はヒヨクもちが約50%、森のくまさんが約50%を占めています。

 

歴史・伝統文化

天明町、飽田町は平成3年2月熊本市と合併しました。400年前から伝わる豊作祈願や雨乞いのための「銭太鼓踊り」は無形民族文化財に指定されています。また、開拓農民が歌っていた「潟いない節」も引き継がれています。

歴史と深いかかわりがある「新開大神宮」と「河尻神社」も南地区に存在します。

新開大神宮は、文安元年(1444年)より続く歴史ある神社で内田町(天明地区)にあります。

明治9年に勃発した「神風連の乱」は、当時の宮司大田黒伴雄氏が首領となって繰り広げられました。

八幡町には、加藤清正公・細川家より鬼門守護神として信仰された河尻神宮があり、秋季例大祭では下り馬や流鏑馬(やぶさめ)など大変賑わいます。

 

自然環境

緑川河口にはヨシ原、有明海は干潟がよく発達し、干満差が日本一大きくて5mもあります。

海苔養殖やアサリ貝等盛んに営まれ、全国でも有数の豊な漁場です。

地下水は、白川中流域などの水田や畑地に置いて、かん養された水です。白川中流域は他地域の水田に比べ5~10倍も水が浸透することがわかっており、熊本地域の重要なかん養域となっていて、地下には地下水プールといわれる地下水を蓄える巨大な水がめがあります。

ここで蓄えられた豊富な水は、小さな穴や割れ目の多い砥川溶岩と呼ばれる地層を通り、熊本市の水前寺や江津湖周辺で地表に湧き出しています。そのため、農業用水は大阿蘇の湧き水(江津湖)を水源とするため、少雨年でも水不足はなく、かんがい用水には十分恵まれています。

(強調は引用者による)

 

やはり熊本は「水の国」ですね。

 

「地下水保全下流連携活動事業」という図が載っていて、熊本市内への水の流れがまとめられていました。

 

その図を眺めていたら、「せい烈で豊富な地下水」と干拓地を歩きたくなってきました。

なかなか遠いと思っていた熊本ですが、行ってみたら近いような気がしてきました。困りましたね。

 

 

「水のあれこれ」まとめはこちら