実験のようなもの 12 セルフレジは「社会的失敗」

セルフレジについてのもやもやを書きましたが、そのわずか3日後に大地震が起きました。電気や通信のインフラの復旧に時間がかかっていた被災地の様子を見ると、買い物にもリスクを分散していた方が良さそうですね。

ポイントとか電子マネーも混乱が大きそうですし、やはり現金は大事。

 

ところで、何かにつけ日本は遅れていると煽られる雰囲気ですが、なんだ外国ではすでに失敗だったのではないかと知ることが増えましたね。

 

ルフレジも「社会的失敗」という見方があることが報道されていました。

 

ルフレジ「うっかり万引き」したことない?欧米ではトラブル多発で"社会的失敗"とまで…セルフレジに未来と発展はあるのか

(2024年2月17日、集英社オンライン)

 

新型コロナウイルスの流行を経て日本でも一気に導入の進んだセルフレジだが、海外では逆に今、縮小傾向にあるという。そもそもセルフレジは買う側のモラルで成り立っているが、その運用に問題はないのだろうか。流通小売・サービス業界の経営コンサルタントを長年おこない、セルフレジ事情にも詳しいムガマエ株式会社取締社長の岩崎剛幸氏に聞いた。

 

実は日本でも意図的ではない「うっかり万引き」が多発

 

最近、イギリスやアメリカでは、セルフレジに関するトラブルが多発し、有人レジに戻す店舗が続出しているという。欧米でのセルフレジ離れの最大の原因は「万引き」だと指摘されているのだが、ある調査では5人に1人が商品をスキャンし忘れての「うっかり万引き」をしてしまったことがあるというデータもある。セルフレジは"社会的失敗"だという意見も出てきているという。

なおセルフレジには大別すると2種類あり、商品のスキャンから精算までを購入者がすべて行う「セルフレジ」と、商品のスキャンは店員が行なって精算のみを購入者が行う「セミルフレジ」に分かれる。

さて、欧米ではこうした理由から減少傾向にあるというセルフレジだが、一方の日本では増加傾向にあると岩崎氏は言う。

全国スーパーマーケット協会による2023年の『スーパーマーケット年次統計調査報告書』によると、セルフレジの設置企業の割合は31.1%となっており、2021年と比較すると8%近く伸びていて、今後も増えていくと予想されます。

またセミルフレジとなると、全国で78.2%の設置率となっており、小型店舗から大型店舗まで幅広く運用されている状況です。総じて考えると日本でのセルフレジ運用は海外に比べて、うまくいっている印象ですね」

店員が商品をスキャンするセミルフレジは、目の前に店員がいるため大きな問題はなさそうだが、問題はセルフレジの方だろう。欧米で主な問題点として取り上げられた万引きが懸念されるが、はたして日本でも増えているのだろうか。

「警視庁『令和元年の刑法犯に関する統計資料』によれば、日本での万引きの認知件数は、2010年時点では14万件を超えていましたが、令和に入ってからは9万件とかなり減少しています。しかしセルフレジを導入するようになって、私が受け持つ顧客の店舗の状況などを見ていると、万引きの件数は若干増えつつあると考えられます」

ただし、故意に万引きに手を染めるケースばかりでもないようだ。

「商品をスキャンし忘れるなど意図せずにうっかり万引きしてしまって、店員に止められるケースはけっこう多いです。購入者にとっては、店員のように1個1個ていねいに商品をスキャンしなければいけないという義務感よりも、レジでの精算を早く済ませたいという心理の方が強い傾向にあるため、うっかりが出やすいのでしょう。

例えば、ホームセンターやスーパーマーケットなどで、買い物カゴを上下に載せることができるカートを使用する際に、上のカゴの商品だけスキャンして、下のカゴの商品をスキャンし忘れてしまうパターンはありがちです」

 

操作がわからない客のために結局、店員を配置…

 

ルフレジ導入には万引き以外にも問題があるという。

「高齢者など機械操作に不慣れな方はセルフレジの画面操作がわからず、そういった顧客に操作方法を教えるための店員がセルフレジ近くに配置されることも珍しくありません。

これは店舗や企業によって取り扱っているセルフレジのメーカーが異なり、操作方法が統一されていないことも、操作を覚えられない要因になっています。いずれにしても人手不足を解消するためにセルフレジを導入したのに、けっきょく人員が必要になっているという本末転倒な状態になっている店舗も多くあります。

かといって、セルフレジの操作方法をフォローする担当の店員を配置しておかないと、操作に手間取っている人の後ろに並んでいる人がイライラして、客同士の喧嘩に発展してしまうケースもあり、ジレンマが出てきているのです」

すっかり便利になるかと思いきや、セルフレジによって新たな手間やトラブルが発生することもある模様だ。ただ岩崎氏は、日本ではそれでもセルフレジの導入がさらに進んでいくと予想しているという。

「やはり購入者の心理の根底には、時間を節約したいというタイムパフォーマンスの意識があるからです。レジにかかる時間をいかに短くできるかが重要なので、そういった大半の消費者の心理を実現できるのは、やはりセルフレジの利点といえます。

またメリットは消費者だけでなく企業側にもあります。先ほど操作方法をレクチャーする店員をわざわざ配置しているという話をしましたが、数台のセルフレジを1人の店員が受け持つことができるので、やはり人手不足問題の解決にはその導入で自動化を進めていきたいという意向があるのです。

このようにセルフレジの課題はいくつか残されていますが、今後はセルフレジ数台に対して店員を1人配置するというスタイルが広まっていくのではないかと予想しています。操作方法がわからない人へのフォローができるのはもちろんですが、完全に無人化してしまうと万引きが増えてしまいますので、万引きの抑止力の意味でもセルフレジ近くに店員が必要でしょう」

ーー欧米では"社会的失敗"と見る向きもあるセルフレジだが、日本では今後も普及していくのか、今後の動向を見守っていきたい。

 

 

*どんなことが「社会的失敗」なのか*

 

あちこちの店で見かけるセルフレジは、一見スムーズに皆さん会計をしているように見えますが、コメント欄を読むと「そんな落とし穴があるのならやはりやめておこう」と思うことが書かれていました。

 

たとえばうまくスキャンされていなくて出口で店員さんに呼び止められたなんて、機械の精度とやりなれない「仕事」をこちらに転嫁された問題なのに「万引きと思われて一生を棒にふるリスク」がありそうですね。

 

へえーっと思ったのが、箱入りのビールをスキャンしたら1本だけしかスキャンされなかったということもあるようです。アナ恐ろしや。

またスキャンすることに必死で会計を忘れたとか、慣れたら慣れたで会計を忘れて出てしまったという方もいました。

ルフレジのそばでスキャンを客が間違っていないか万引きしていないかと店員さんから監視されているのも、なんの罰ゲームかと私だったら余計に緊張しそうです。

やはり「なぜ店員の仕事をこちらがしなければいけないのか」「それで割引になっているわけでもない」という批判もありました。

 

逆に、スキャンされたかよくわからなくて2度3度とかざしたために、多く支払っていたことに後で気づいたということもあるようです。

 

店員さんが正確にスキャンしてくださるありがたさを痛感しますね。

日常の買い物に、いろいろな意味でとてつもない精神的苦痛が増えそうです。

 

やはり「レジを打つ、会計をする」という専門の仕事を軽んじた故の「社会的失敗」のように私には思えてきました。

そして本来なら犯さなくてもよかった万引きやうっかり万引きを犯しやすい状況を作ってしまったことも、失敗と言えるのではないかと。

人に罪を犯させる可能性のある買い物の場所にしてしまうわけですからね。

 

 

ルフレジは、商品数が少ない人のためのレーンにしておくぐらいがちょうどいいのかもしれませんね。

 

 

 

 

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