行間を読む 227 「越後本線岩室駅の沿革」

列車の待ち時間をふらりと歩いてみた吉田町でしたが、そのかつて西信濃川と呼ばれていた西川の歴史を感じることができました。

 

ここから越後本線に乗り、二つ目の岩室駅で途中下車します。

越後本線に沿って西川は大きく西へと蛇行し、「羽」のような場所にいくつも水路が交差し合う「えび穴」という地域も歩いてみたかったのですが、今回は先を急ぎます。

10年ほど前だったら「羽」というと鳥しか思いつかなかったのに、いつの間にか川沿いに出っ張った場所であり水が作り出した地域であることを思うようになりました。

 

初めて越後本線に乗ったのは2019年で、私が信濃川水系に関心を持った原点とも言える関屋分水を訪ねた時でした。

越後平野の西側を越後本線、東側を信越本線がそれぞれ山側に沿って走り、真ん中を上越新幹線が通る。

その意味は真ん中が排水の悪い土地が広がっていたこととつながったのは、何度か新潟を訪ねてからでした。

 

いつかその越後本線も全て乗ってみたいと思っていました。

 

8時40分発の新潟行きに乗るとわずか6分で岩室駅に到着しますが、ボックスシートの窓側の席に座り車窓を眺めました。

出発するとじきに広々とした田園風景です。西側の山が近く感じます。

岩室駅、どんな風景でしょう。

 

*岩室駅の歴史*

 

私一人をホームに残して、列車はまっすぐ北へと向かいました。

 

無人駅の改札を出ると、壁に何か写真付きの説明があります。

あの芸備線備後落合駅鹿児島本線八代駅の待合室のように、鉄道とともにある街の歴史でした。

 

越後本線岩室駅の沿革

和島村(現長岡市)の素封家久須美秀三郎と長男東馬(弥彦公園銅像あり)が二代に渡り心血を注ぎ、その情熱が功を奏し、1912年(大正元年)8月25日、吉田〜白山間(翌年柏崎〜吉田間)が開通した。地域住民の歓喜は、想像を絶するものがあった。和納駅(わなふ駅)が設置されたことはもっともである。

⚪︎1912年(大正元年)8月25日 越後鉄道「和納駅」として開業。

⚪︎1927年(昭和2年)10月1日  国有化に伴い、国鉄和納駅となる。

⚪︎1951年(昭和26年)11月15日 越後鉄道新潟駅に乗り入れ(白山〜新潟間開通)となる。

⚪︎1953年(昭和28年)12月19日 越後線気動車ディーゼルカー)による運転開始。

⚪︎1965年(昭和40年)12月25日 和納駅舎改築、岩室駅と改称される。

⚪︎1973年(昭和48年) 1月1日  貨物取扱い廃止。

          12月     第2種継電連動を廃止。

⚪︎1982年(昭和57年)5月31日   越後線CTC装置使用開始、業務委託駅となる。

⚪︎1984年(昭和59年)2月1日  荷物取扱い廃止。

           4月8日  越後線電気運転開始。

⚪︎1987年(昭和62年)4月1日  国鉄分割民営化、東日本旅客鉄道JR東日本)の駅となる。

⚪︎1998年(平成10年)4月1日  簡易委託化に伴う岩室村による嘱託員の派遣。

⚪︎2002年(平成14年)3月20日 岩室駅脇横断地下通路利用開始。

⚪︎2007年(平成19年)3月31日  簡易委託を廃止し、無人駅となる。

⚪︎2012年(平成24年)8月25日 開業100年となる。

⚪︎2016年(平成28年)5月1日   名誉駅長の委嘱。

⚪︎2022年(令和4年)8月25日   開業110年となる。 

 

ああ、すごい。現在の越後本線のほぼ全てを個人の力で開業させたとは。

 

1987年の「国鉄分割民営化」というのは、「国有だった全国に網羅された鉄道を分割した」のだとばかり思っていました。

数年前から全国の鉄道を利用するようになって、こうした「一素封家が心血注いで開通させた鉄道」が各地にあり、それを国有化した歴史があったことに初めて気づいたのでした。

あるいは借金を覚悟に経営してきた近江鉄道のような私鉄が、日本の鉄道網や産業や地域の発展を支えてきたのだ、と。

 

数年前から遠出をするたびにその地域の鉄道の歴史を知る機会が増えて、鉄道を残してほしいなという気持ちが強くなりました。

 

コスパ」とか「タイパ」とか「利便性」といった言葉が溢れる時代ですから、どうしても廃線の方向へいきそうですが、何かを失うのではないかと考えているうちに公共性という概念を発達させてきたこの一世紀を後退させるのではないかと、漠然とですが見えてきました。

 

鉄道への感傷だけではなく、明治時代から各地に出現した郷土の先覚者が築き上げてきたものを失っている社会が見えてきたような気がします。

 

 

*おまけ*

数ヶ月くらい前にふらりと立ち寄った書店で「教養が身につく!日本の鉄道150年史」(辻良樹氏著、徳間書店、2022年8月31日)を見つけて購入しました。

積読になっていたので、少しずつ読みながらその行間を行ったり来たりしています。

国鉄」になる前の社会の雰囲気を知りたいと思った時に出会ったのでした。

 

 

 

「行間を読む」まとめはこちら