これだけマイナンバーカードについての問題が明確になってきても、いまだに「新しいことに適応できない人がデジタル化を遅らせる」という意見が書き込まれると、あ〜あという感じ。
「デジタル敗戦」とか「デジタル後進国」といった言葉で「遅れていく」という不安が煽られたのに、「全国民がICチップ付きの身分証明証を取得できるというのは世界でもほとんど例がない取り組みであり、デジタル社会で優位に立てる」と後から言われても、もう煽られた気持ちはなかなか鎮められないですからね。
最初にこのことを知っていれば、他の国々では「デジタル化と人権」についていろいろな失敗やリスクが議論されたのだろうなと慎重になりそうですけれど。
「例のない取り組みをしている」というプライドのために政府は法的な手順を無視してゴリ押しし、さらに「2025年までに『誰一人取り残されない』デジタル社会実現のための工程表」ができているのですから、あな恐ろしや。
*「いつか来た道、いつか行く道」*
年齢層が高いと「新しいことについていけないから」という一方的な見方をされるのですが、どちらかというと今まで似たような社会の雰囲気をなん度も感じてきたからではないかと、あれこれ思い出しています。
いつの時代にも、「社会が良くなるなら、古い考えを捨てていかなければ(自分は他の人と違って新しいことを取り入れている)」と思い込んだことが、10年か20年ぐらいすると違っていたのではと思うことがありますからね。
してもしなくても結局は変わらなくても、あるいはしなかった方がよいことまでしてしまう、そんな現場の狂気がいったん吹き荒れると鎮静するまでに10年ぐらいかかり、何がおかしかったのか気づくまでには30年ぐらい必要という感じでしょうか。
デジタルに疎いと蔑まれても、今慎重にしなければという点では譲れない。
きっと「デジタルに弱い高齢者は」と書き込んでいる人たちも、いつか行く道ですからね。
*「先進国」ってなんだろう*
他の国々で「こんなデジタル社会が実現している」という映像を見ると、心がざわついて「日本もなんとかしないと」という気持ちになるのでしょうか。
国の隅々までインフラが整備されているか、それを利用できるだけの経済力を持つ人がどれくらいの割合かという現実の問題を考えると、そういう国はごく一部の特権的な人が国民の生活を支配する力をますます持ってしまったのだろうなと私には思えるのですけれど。
20代の頃から「先進国」という言葉に引っ掛かりがあるのですが、それは新植民地主義が批判され始めた頃から、かつての「宗主国」の代わりに使われてきたのではないかと漠然と思っていましたが。
だから「先進国」「後進国」で何かを煽られることには注意が必要そう、そんな経験ですね。
「日本は物価が安いから旅行先に選んだ」と言われ、「日本人は金を払えないから」と魚も海外へ輸出されるようになりましたが、これも「先進国」「後進国」で煽られてきた成れの果てですからね。
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