初めて猪苗代湖を見ることができました。
こういう時に、「磐梯山の懐に抱かれて」と表現するのでしょうか。
山の裾野の緩やかな斜面を利用して、湖の周辺に田畑が整然と広がっていました。
郡山から見えた山の上にこんな別世界があるなんて、車窓から見ることができただけでも満ち足りた思いになりました。
日橋川に沿って、蛇行しながら高度が下がっていくと、その名の通り「東長原」そして「広田」のあたりから今度は会津若松市の水田地帯が目の前に広がり始めます。
計画がまだ漠然としている段階で、会津若松周辺に用水路が整然と描かれているのを見て、絶対にここを歩こうと決めました。
地図でこの用水路を辿っていくと大きな川があり、阿賀川とありました。
ん?阿賀野川とは別に阿賀川という川もあるのかと、その川の上流下流を何度も見ると、途中から阿賀野川になっていました。
阿賀野川本流は、福島県の荒海川を源流とし、会津地方で阿賀川(大川)、新潟県に入ると阿賀野川と幾度も名をかえる大きな川である。
新潟県では信濃川、そして長野県では千曲川と呼ばれているように。
*会津若松の水田地帯*
地図では阿賀川の左岸・右岸に水田地帯が広がっていますが、おそらく左岸は阿賀川の水を利用し、右岸は磐梯山からの水が水源ではないかと想像したのですが、それをこの目で確認したくなったのでした。
雨でもたくさんの観光客が会津若松駅で下車していました。ほとんどの人が目指す方向と反対へと向かいました。
駅を出てすぐに、おそらく阿賀川の河岸段丘と思われる下り坂になり、目の前に水田地帯が広がり始めました。
やはり右岸側は、磐梯山の方からの水を利用して用水路がある印象です。
稲刈りもとっくに終わっている時期だというのに、あちこちの水路から水音が聞こえてきました。雨が降っているせいもあって、ちょっと足がすくむような水量を感じさせる音です。それこそ子犬が落ちたら水に流れていきそうな。
住宅地と水田の境にあるまっすぐな道路、緩やかに阿賀川に向かって下がっていく道を雨の中歩きました。
おそらく阿賀川まであと4分の1あたりまで歩いたところで、挫折しました。阿賀川の対岸の水田地をみてみたかったのですが、雨の中の散歩、しかもまっすぐな道というのは、目標が遠く見えてもなかなか近づかない疲労感がありました。
会津若松駅に戻るのに別の道にしてみたところ、ここでは住宅街だというのに轟々と流れる音が聞こえてきました。幅2mもない水路でした。
同じように大きな川があっても猪苗代湖の反対側の地域とは全く違って、水が豊かな街のようです。
*喜多方へ*
阿賀川を見るのを断念したので、予定より早く会津若松駅に戻ってきました。それなら1本早い列車に乗ることができそうです。
喜多方で途中下車して、30分ほど喜多方駅周辺を歩いてみようと計画を変更しました。
会津若松の有名な史跡や食べ物はまたいつかということで。
磐越西線は磐梯山の麓の山肌に沿って、ぐるりと喜多方へ向かっているように見えました。阿賀川に向かって緩やかな傾斜があって、水田地帯が広がっています。
列車を待つ間、どこへ行こうかとスマホの地図を眺めていたら、阿賀川の小さな支流に「田付川」があり途中に「新井堰」とありました。
ここなら30分もあれば見て回ることができそうです。
朝から雨続きでしたが、喜多方に到着した頃には雨が止み、小さな川へ向かって歩き始めました。堤防が見えたので上ってみると、地図からイメージした「小さい支流」というよりは立派な水量の川でした。
対岸には水田地帯が広がり、堤防を生活の近道として使っている住民の方とすれ違いながら、ちょっとそこに住んでいるような顔をして歩いて見ました。
残念ながらどこが堰だったのかよくわからなかったのですが、用水路の風景を独り占めした大満足の散歩です。
上流から中流域の小さな支流でもこんなに水が流れているのですから、阿賀野川までどんな風景なのだろう。
ここからは磐越西線は新津まで、阿賀川・阿賀野川に沿って走るようです。
あとは電車で風景を見るだけなので、喜多方で地酒を購入して乗り込みました。
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