水のあれこれ 127 琵琶湖の集水域

今年は暖冬で、雪が少ないニュースを時々耳にします。除雪や大雪の被害も大変ですが、雪がないとそれはそれで大きな損害もあるので大変そうです。

琵琶湖へ向かう途中、さすがに関ヶ原には雪があるだろうと思っていたら、まったく積雪がなかったことに驚きました。

 

大津に到着した日も、遠く見える山も緑で、ほとんど雪がない風景でした。

夕方、市内を散歩していた時に、湖のそばも天候が変わりやすいのか、日は差しているのにパラパラと小雨が降ることがありました。もしかしたら通常なら小雪が舞っている季節でしょうか。

 

翌朝、いつものようにまだ暗いうちからホテルの窓から風景の変化を見ていました。

遠くの山頂に明かりが見える山が、琵琶湖の西側と北の遠いところと2カ所見えました。

よく見ていると、その明かりが陽炎のように揺れていて、風とともに雪が降っているように見えました。

 

しだいに空が明るくなってきてその山が見えてきたのですが、一晩で雪が積もっていました。

手前に見える西側の山を最初は比叡山と勘違いしたのですが、どうやら蓬莱山で、明かりはスキー場のようです。

 

北側の山はなんという山だろうと気になったのですが、2日目の午後、再び米原に戻ってわかりました。伊吹山です。たしか前日にはほとんど雪がなかったのに、一晩で中腹まで白くなっていました。

 

大津から北側の対岸の山まで見えることにも驚きましたが、琵琶湖の半分ぐらいで南北の気候が違うことにも驚きです。

 

そういえば、「水のめぐみ館アクア琵琶」で琵琶湖の気候について説明があったことを思い出しました。

日本海型気候区、冬は雪による降水量が多く、夏は雨が多い」「東海型気候区、冬は乾燥した晴天の日が続き、夏は雨がやや多い」「瀬戸内型気候区、年間を通して雨が少ない」の3つに分けられるそうです。大津は瀬戸内型気候区で、米原彦根近江八幡あたりは東海型気候区のようです。

 

大津から見える琵琶湖の向こう3分の1に、まるで境界線を引いたように雪景色が 見えました。ダイナミックですね。

 

*琵琶湖の集水域*

 

「琵琶湖・淀川 里の川をめぐる〜ちょっと大人の散策ブック〜」に「琵琶湖とその集水域の地勢」という説明がありました。

集水域というのは、国土交通省「河川用語集」によると流域面積と同じ意味のようです。

 

今までの散歩でも、信濃川最上川、そして阿武隈川などの流域面積の大きさに圧倒されたのですが、琵琶湖はまた違う意味でその広さに驚きます。少し長いのですが、全文紹介します。

 滋賀県のほぼ中央にある琵琶湖は、南北64km、東西の最大23km、面積670㎢で、淡路島(593㎢)より一回り大きいわが国最大の淡水湖である。近江盆地の盆地底を湖盆としており、琵琶湖大橋が架かっている狭窄部(1.35km)を境にして、北側の主湖盆を北湖(618㎢)、南側を南湖(52㎢)と呼んでいる。北湖には北から竹生島、多景(たけ)島、沖の白石、沖島の4島がある。そのうち沖島だけに主に漁業を生業とする人々が常在している。南湖には下水処理場を建設するために1982年に埋め立てが完了した人工の島、帰帆(きはん)島がある。

 湖が水を集める範囲を集水域と呼んでいる。琵琶湖の集水域は近江盆地の陸域3,174㎢で、ほぼ滋賀県の県域になっている。本州を水理的に日本海側と太平洋側に分ける分水嶺は中央分水嶺と呼ばれ、各地で〇〇トレイルなどと名付けられて、登山道やハイキングコースが拓かれている。近畿地方の中央分水嶺は琵琶湖集水域の北縁で、滋賀県福井県の県境を通っていて、最も日本海側に偏っている。大阪湾に流れる琵琶湖・淀川水系の源流は中央分水嶺にある栃の木峠で、琵琶湖に流入する高時川の源流でもある。

 北湖集水域は北西部を800m級の野坂山地、北東部を伊吹山地、東部を鈴鹿山脈、西武を比良山地のいずれも1,000~1,300m級の山々に囲まれている。野坂山地伊吹山地の北部を結ぶ尾根筋が中央分水嶺で、日本海側から北西の季節風が吹き付けるため、湖北地域はわが国有数の豪雪地帯となっている。年降水量は2,500mmを越え、雪解け水は琵琶湖の重要な水源になっている。また、早くからスキー場が開設され、マキノ、箱館山、国境、びわ湖バレイ、奥伊吹などのスキー場が京阪神から手近なスキー場として賑わっている。

 一方、南湖集水域は南部を500~600m級の信楽・田上山地、西部は比叡山(848m)を主峰とする比叡山地に囲まれている。平地の年降水量は1,500mm前後で、瀬戸内海式気候帯の北縁に位置している。湖南地域は京阪神から近く、ベッドタウンとして開発が進んでいる。

 

琵琶湖は北湖と南湖にわけるのですね。

琵琶湖大橋のあたりでグンと狭くなり、そこに北部の豪雪地帯からの雪解け水や雨水が大津に押し寄せてくるのですから、琵琶湖の治水は本当に大変そうです。

あの大津市内の段丘のような地形も、もしかしたらこうした水が創り出したものなのでしょうか。

 

大きな鏡のように広がる静かな湖面が琵琶湖のイメージだったのですが、冬に行ってみてその集水域の気候の違いを実感することができました。

 

 

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