青森の散歩もいよいよ3日目、また早朝からホテルの窓を眺めていました。3時半にはうっすらと空が明るくなり始め、八甲田山の左側が明るくなり始めたと思ったら、わずか4分ぐらいですっかり白々と夜が明けました。またここで方向感覚がおかしくなりました。地図的にはあっているのですけれどね。
岩木川周辺のりんご園を見ていたらむしょうにりんごが食べたくなったのですが、皮をむいたりんごとアップルパイをはさんだサンドイッチという青森最後の朝食にふさわしいものを、昨日コンビニで見つけました。
5月にりんごを食べられるようになるなんて、子どもの頃には考えたこともありませんでした。
最終日は、五能線に乗って秋田へ向かいます。
6時にホテルを出て弘前駅に向かいました。
*五能線で東能代へ*
6時47分弘前駅発の五能線快速東能代駅行きに乗りました。ここから3時間50分の列車の旅です。
7時過ぎ、田んぼを見回る方や何か農作業をされている方の姿があちこちに見えます。
最初は空いていましたが陸奥鶴田駅のあたりで高校生でいっぱいになり、五所川原駅でだいぶ下車しました。長蛇の列の高校生が粛々と改札を出ていました。
前日に十三湖へ向かう時にはひっそりとしていた五所川原駅でしたが、時間帯によって風景が違いました。
五所川原駅ではなんと25分ほど停車時間がありました。
津軽鉄道が到着して、弘前行きの列車へとまたたくさんの通勤通学の人が乗り換えているのが見えました。
7時58分に発車し、ここから東能代駅まで125kmです。
五所川原駅を出ると列車は西へとぐいと向きを変え、岩木川を渡り、数々の承水路や排水路を越えていきます。
GPSをオンにして地図を突き合わせながら、それらの水路を見逃さないようにしていました。
なんと言っても「津軽平野を水田やりんご園に変えた水路をただひたすら眺める」ことが、今回の散歩の目的ですからね。
木造(きづくり)駅の手前に、池の中にある小さな神社が見えました。地図で確認すると十和田神社のようです。検索すると十和田信仰は水霊信仰とありました。
木造駅で高校生が下車すると、車内は私一人になりました。
計画の段階ではこの快速東能代行きにするか、8時48分弘前発のリゾートしらかみ号で指定席をとっていくか悩んだのですが、平日なのでこれで正解でした。
陸奥森田駅を越えると次第に上りになり、水田も今までとはちがって緩やかな棚田の風景になりました。
鯵ヶ沢はきれいな港町で、ここまで岩木山が見えていました。3日間お天気に恵まれて、ずっと八甲田山と岩木山の美しい姿に見守れられてきたのですが、ここでその風景ともお別れのようです。
ここからは海岸線を列車が走ります。一度乗ってみたいと思っていた五能線の箇所です。
山が迫ってきて切り通しを抜けたと思うと、水田が開け、小さな街が現れて右手は海に迫ります。
林の中に家があった跡があり、海辺のぎりぎりのところまで水田が作られていた跡が見えました。住む人がいなくなった風景はちょっと淋しいなあと思っていると、またひょっこりと防風林の内側に小さな水田が現れて、田植えをしていました。
水田や海辺に青鷺が佇んでいます。
地図には載っていない清流があちこちにあり、結構家もあって山肌に建っていました。古い家や蔵もあれば、新しい家も見えました。瓦の屋根が統一された集落もあれば、瓦の全くない街もありました。
山の中で、一人で何かを計測している方の姿が見えました。きっとこういう方々のおかげで生活が守られているのですね。
五能線沿線の水田が健在の風景をみていたらお腹が空いてきて、朝購入しておいたおにぎりを食べました。
車内に一人なので気兼ねすることなく写真を撮りました。あとで見ると青い海、青い空、青い森や水田に、海岸が姿や色を変えて七変化の世界でした。
十二湖駅のあたりで、白神山地の残雪が見えました。
ここにも小さな水田があり、清らかな小さな水の流れが見えました。
3時間50分は長いかなと思っていたら、あっという間にあと1時間で東能代駅です。
いつの間にか秋田県に入り、岩場の海岸の風景から遠浅の海に変わりました。
岩舘駅のあたりで遠くに工業地帯が見え、さらにその向こうに男鹿半島がうっすらと見えています。
途中でリゾートしらかみ号とすれ違いました。
滝の間駅を過ぎたところで、久しぶりに少し大きな川を渡りました。真瀬川です。
しばらくすると視界が開けるように、水門や水田地帯、そして海岸沿いの風力発電所が見えます。
海岸の風景から、自然堤防の内側に田植え中の水田がたくさん見える風景になりました。
この辺りはどこから水を引いているのでしょう。
地図を見ても用水路が描かれていないのですが、まさに秋田の米所という風景です。
悠々と流れる美しい米代川を渡って能代の街に入り、ぐいと大きく南へと向きを変えて、10時37分東能代駅に到着しました。
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