生活のあれこれ 69 置き配とオートロック、何の権限があって国交省が決めるのか

生活が危険にさらされたり事故につながりそうなことでも、簡単な「実証実験」とやらで国がサラッと決めてしまうことが増えたような気がするこの頃。

 

またまた驚くニュースが。

「置き配」利用拡大へ支援、配達員によるマンションのオートロックの開錠を共通化・・・防犯上のリスクは」

(2025年9月13日、読売新聞)

 国土交通省は、荷物を玄関先に預ける「置き配」の活用を進めるため、オートロック付きマンションへの配達を効率化する支援に乗り出す。配達員が共同玄関を開錠できる共通のシステム開発費用を補助する。再配達を減らして人手不足に対応するのが狙いで、国交省は防犯上のリスクも踏まえ制度設計を急ぐ。

 マンションには、配達員が荷物の伝票番号を機器に入力すれば、オートロックを解錠できるシステムを導入している物件もある。しかし仕様はバラバラで、ヤマト運輸や佐川急便など大手宅配業者に限っている場合が多い。配達員が入れるマンションと入れないマンションが混在し、再配達の削減効果は限られている。(以下、略。強調は引用者による)

 

「置き配」はあの新型コロナウイルス感染拡大の時に、対面で受け取ることを避けるために在宅している住人がマンションの玄関のロックを解除するためだったと記憶しています。

 

私の住宅は宅配ボックスがあるので無関係でしたが、最近、同じ階の家の前に置き配を見かけるようになりました。在宅している隣人が解錠したのであれば、配達直後に家の中に荷物を取り込むはずですが、次の日まで置きっぱなしということもあります。

居住階には防犯カメラはないので、もしその荷物がなくなったら住人の私も疑われるのかな、それは勘弁と嫌な気持ちでした。

できれば、集合住宅で廊下に荷物を置きっぱなしの置き配は禁止してほしいくらいです。

 

管理会社からは何も連絡はなかったのですが、もしかして、すでに大手業者の解錠を許可しているということでしょうか。

それなら、オートロックの意味がなくなるのに。さらに「置き配」を進めるとは、いったいなんの権限があって国交省はそんなことを実行してしまえるのでしょうか

 

コメントには配送業者さんの反対の声もあって、そうだろうなと納得しました。

配送業者の労力のことも考えてほしいですね。最近も荷物用エレベーターの占拠の件で配送業者が叩かれていましたが、今の労働環境と給与水準では宅配の労働力確保が今のままでは難しくなりそうです。タワマンなどの個別配送はもうやめて、管理室留めやオートロックドア外での宅配ボックス設置やコンビニでの宅配ボックス設置など、検討は配送業者の負担軽減の観点も取り入れてほしいです。

 

まさに。

在宅の家だけでなく、不在の家まで結局エレベーターを使って行ったり来たりしなければならなくなるわけで。

少なくともオートロックの場合は必ず宅配ボックス(数も住人分はほしい)を義務付ける。

それでいいのではないかと思いますけれど。

国家権力を使うのなら、そちらの方が国民の生活のためになりそうですね。

 

その安全のために、多少家賃が高くてもオートロックと、不在時に対応できる宅配ボックスがある家を選んだのですけれど。

意味ないじゃんと思います。

 

どちらを向いているのだろう国交省は、と思ったらこんな意見が。

どこを見て政策を検討しているのかよくわかる。国交省は結局運送業者しか念頭にない。再配達率の高止まりが流通、運輸の効率を下げているのは明らかだが、防犯のためにオートロックを導入してきているのに、それに「穴」を開けようとしているわけだ。再配達問題の解決にはこんな手しかないわけではないはず。諸外国のように初回に不在なら不在票を入れ、集配所に取りに来る(無料)か有償での再配達依頼を選ばせるようにすればいい。1回のラストワンマイルのコストも2回、3回目のコストも同じわけがない。受益者が負担するという当たり前の制度に変更すべき。

 

宅配という便利な仕組みができてだいぶ経ちましたが、最初は時間予約もできずやむなく再配達をお願いしたりすることもありました。

しだいにメールで業者さんに不在を知らせることができたり、予約配達が増えたり、宅配ボックスが普及したり、業者さん側も受け取る側も双方で工夫しながらの今があると思いますけれどね。

そういう成り立ちが、「自由経済」とか「資本主義」だと思っていました。

 

置き配をしなくて済むだけの十分な数の宅配ボックスが設置されれば、相当改善されるような気がするのですけれど。

 

生活の実際を知らない人たちが、「配達率の高止まり、流通、運輸の効率を下げている」という見方で、強制的に生活を変えることを平気でするのだ。

最近の政治はこういう風潮が多いですね。

国民不在の政治・経済ですからね。

 

それにしてもリスクマネージメントが医療よりも先に発展した国交省で、こんなリスクへの認識だとは。あな恐ろしや。

 

 

*おまけ*

なんでこんなに早急に物事が決まるのだろう。何事にもそのあたりを最近強く感じるのですが、夕方のテレビニュースを見ていたら、ドアフォーンメーカーがすでに「新しい技術」を売り込んでいるような印象。こういうのにすぐ取り込まれるのではなく、生活に与える影響を調整するのが政治家や官僚の皆さんのお仕事だと思うのですけれど。

で、反応が大き過ぎたのか「SNSで間違った情報」とか訂正していますけれど、それも失礼な話ですね。

 

 

*おまけのおまけ*

そのニュースの中で、「置き配にしてくれると下まで取りに行かなくていいから楽」という声を紹介していました。それだったらオートロックでない物件に住むと良いのでは。

 

自分の便利だけを考えて個々の責任とか相手への配慮とか薄れた時代だなあと思うし、以前だったらこんな「声」はニュースで紹介しなかったのに。

街中でのインタビューを安易に「世の中の声」としてニュースに取り入れるのも減らして欲しいし、その決まっていく裏側を追跡してほしいものですね。

 

 

 

 

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