本当に国民の生活なんて眼中になく、権謀術数が渦巻き生馬の目を抜く界隈の詭弁に国民が右往左往させられているのだと思うこの頃。
最初は取りすぎた消費税の失敗から消費税を見直して欲しいという動きだったはずなのに、「レジの機械の調整に1年かかる」とか、いや消費税よりは103万の壁や手取りを増やすほうが重要とか勝手に議論をすり替える政党が出たり、食費の年間消費税は2万円だからその額の給付にとかあの手この手で消費税から国民の目をそらそうと不自然なほど議論がずれていきますね。
ここまで抵抗するのは、どうやら政府は「消費税を失いたくない何かがある」ということですね。
先の衆議院議員選挙で突如出た自民党の「2年間の食品の消費税ゼロ」、今度はどんな詭弁で国民の目をそらそうとするのだろうと思ったら、「1%の税率」でした。
「ゼロ税率」と1%は何が違うのだろうと検索していくうちに、「非課税とゼロ税率は違う」という点を知りました。
ああ…消費税が始まってから37年、私は何をぼーっと生きてきたのだろうと、愕然としました。
*「社会保険診療は政策的な配慮に基づき非課税とされています」*
ゼロ税率を検索していたら、「非課税とゼロ税率は違う」ことを知ったのが日本医師会の「今こそ考えよう 医療における消費税問題第2版」(2013年8月)でした。
注射器をはじめ、さまざまな医療用物品を納品する際に医療機関では消費税を支払っています。日々、納品伝票を実際に見ているので、目が飛び出そうな額です。
上記の資料に、保険医療機関は非課税であることが書かれています。
社会保険診療は政策的な配慮に基づき非課税とされています。
(自由診療や健診等は、消費税がかかります)
社会保険診療では、患者さんから消費税を受け取っていません。
業者には消費税を支払っても、「社会保険診療は公定価格ですから、医療機関は自ら消費税の転嫁ができない」、その理由が「非課税」にあることが書かれていました。
非課税から課税できるように法改正をするとその負担は患者さんへかかることから、「患者負担を増やさない方法として、ゼロ税率、軽減税率、患者さんへの還付制度などの仕組みが必要です」として以下のように提案が書かれていました。
「ゼロ税率」とは、課税だが税率はゼロ%という制度です。税率が「ゼロ」なので患者さんが消費税を負担する必要はありません。しかも、課税取引にするという意味で非課税とは大きく異なり、医療機関が支払った消費税は全額控除されます。マイナスになれば還付されます。そうなれば、仕入れにかかった消費税を診療報酬に上乗せするという形で患者さんに転嫁する必要もなくなります。日本医師会が長年要望している理想的な制度です。
(強調は引用者による)
世の中に流布される「(診療報酬をあげて)医療機関や医師会は儲けようとする」といったイメージとは違いますね。
医療機器や医療物品にかかる高額な消費税とか「ヒト(派遣社員)」にかかる消費税とかがなくなれば、医療機関の経営ももう少し余裕が出るかもしれませんね。
*「非課税とゼロ税率の決定的に違いに苦しむ日本の医療」*
その資料は2007年に初版が出され、この第2版は10%に引き上げられる前に問題提起されたもののようですが、さらに検索すると「非課税とゼロ税率の決定的違いに苦しむ日本の医療」(佐賀県保険医協会、2018年11月15日)という記事がありました。
1997年(平成9年)4月消費税が5%ととなり4~5年がたったころから京都府保険医協会や愛知県保険医協会などから、「医療へのゼロ税率適用」を訴える声が大きくなってきました。
当初は小生も税制音痴の事もあり「医療は非課税」だから消費税増税とは無関係だと高をくくっていたのですが、実はこの「消費税の非課税制度」により税の負担が生じるようになり、病院経営を圧迫しているという事を知らされ、ちょっと文献をあさってみました。特に来年10月からは10%になることで医療機関へのダメージが徐々にボディブローとなっていき、「赤字国債償還にはさらに25%まで押し上げる」という暴論までささやかれるに至っては今の「非課税」を維持していく限り、日本の医療機関のみならず全国民が壊滅的打撃を受けることになるのです。
本来「消費税は最終消費者が全額支払う」もので、納付税額は課税売上高に税率を乗じた金額から仕入れ時に「支払った消費税」は、消費税の納付時に控除され払い戻しが受けられるのです。日本式「消費税を課さない」はずの「非課税」制度とは「最終消費者」(患者)に提供した役務提供に対してのみ「消費税を課さない」という変な解釈になっているのです。
欧州各国では日本のような「非課税」ではなく原則消費税の「ゼロ税率」が採用されています。欧州の付加価値税のゼロ税率も、日本の消費税非課税の保険診療での窓口支払いでの患者の消費税負担額はともにゼロ円で同じです。しかし、医療機関側は大違いで、欧州のゼロ税率では医療機関側が負担している薬品会社や問屋などの仕入れ段階で支払った消費税は還付されるので医療機関も患者も消費税はゼロ円だが、日本型の「非課税」は特殊な解釈になっていて、最終消費者が患者ではなく医療機関になっているため医療機関が薬品会社や医療機器会社に既に支払っている消費税は1円も払い戻しされないのです。このまま10%になれば増税分はまるまる医療機関の負担になるわけです。
政府は診療報酬を上げてこの「損税」にあてろと言うが、あまりに少額なので補填(ほてん)には程遠いのです。ゼロ税率にすれば「損税」も解消されるのです。
これに対し、「日本の輸出産業は消費税増税で笑いが止まらない」のです。消費税が5%になった平成9年の年末頃の本欄で小生が、「トヨタやキャノンなどの輸出企業など上位10社の消費税還付金合計が1兆円を超えた」と報じたが、10%にもなれば払い戻し額は2~3兆円にもなるわけで経団連が消費税増税に賛成するのも納得される。日本の消費税は「輸出」についてのみ、最終消費者に消費税を負担させないゼロ税率(完全非課税)が行われているのです。
医療機関も輸出産業と同じく最終消費者(輸出企業は貿易対国、医療機関は患者)から消費税を徴収できないわけだから、医療機械や薬品の購入で払った消費税の還付を欧米の医療機関や日本の輸出企業と同じようにしなければ日本の医療福祉の未来は暗たんたるものになるのは明白である。
(顧問 野田芳隆)
ああ、なるほど。
消費税が始まったころ分娩にも消費税がつけられて、じきに中止になりました。
その時には「人が生まれる時の医療に消費税なんて」と憤慨しましたが、産科は保険診療と自費診療(正常分娩)の混合なので、むしろ「ゼロ税率」にして消費税を課した方が医療機関のためでしたね。
でも「死亡消費税」なんて考えつく人たちが決めたことは、受け入れ難いですね、人として。
一人の赤ちゃんが産まれ、退院されるまでに、どれだけの医療機器やら食品や物品やサービスに対する消費税が発生していることか。
それを全部、医療機関の持ち出しにさせていたとは。
なんとアコギな国でしょうか。
ちょっと分娩費用を値上げするだけで「アコギな分娩施設」のように書かれてしまいますから、今度はその自費診療(分娩)を保険診療に組み込む目的は、もしかして「社会保険診療は公定価格だから医療機関は自ら消費税の転嫁ができない」方法にして産科施設を潰す、あるいは集約化を狙っているのかしら。
そしてその先は集約化だけでなく、国鉄から郵便局あるいは農業協同組合の流れと同じ、「農業(医療)は潰していいんだ。農業(医療)は企業がやればいいんだ」という民営化という名の株主経済を狙う流れが見えてきました。
お金がある人はそれなりに、お金がない人は病院から追い出される医療ですね。
20年以上前から「骨太」を決める委員会が求めていた方向と重なりました。
高齢者医療が医療費を逼迫させているというのも、おそらく詭弁ですね。
食品販売のレジを「ゼロ率」にするのは技術的に難しいというのも詭弁だとわかりました。
ほんと、消費税減税の議論が煙に巻かれるたびにその詭弁が明らかになる国ですね。
つぎはどんな言い訳が出てくるのだろう。
*おまけ*
ここ1年ほどでしょうか、ニュース記事に「消費税を納税しているのは消費者ではなく事業主」というコメントが書き込まれるのですが、間違いですね。
5月11日の国会でも首相自ら「消費税を納めているのは消費者」と発言していた場面があったことを記録しておきましょう。
いろいろな詭弁に誤魔化されないようにしなければ。
「つじつまのあれこれ」まとめはこちら。
骨太のまとめはこちら。
失敗とかリスクのまとめはこちら。