シュールな光景 22 「競技スポーツはもはや『健康』とは関係ない」

昨年来、大好きな競泳でも録画予約を忘れたり、カレンダーに競技日程を書き忘れるのですから、なんとか日常生活を過ごすだけで精一杯の非常事態なのだと思うこの頃です。

都内の感染者数がオリンピック開催前から1000人を超えた時点で、専門家会議の予測通りの大きな波が見え始めました。直前になって無観客開催が決定しましたが、そうでなければ人の行動はどうなっていたことでしょう。

 

感染症の対応をしてくださっている急性期病院が患者受け入れ不可能になれば、診療所からの紹介受診や母体・新生児搬送も不可能になり、また10〜20年前の状態に戻ってしまいます。

搬送の判断も今まで以上に難しく、いつも最悪のことを思い浮かべながらの日々です。

 

私自身の仕事に対する気持ちも過去最高の非常事態になっているので、今回も競泳でさえ録画予約を忘れることがありました。

 

*いろいろと理解できないことが増えた*

 

それでも、テレビ放送のほとんどがオリンピック一色という期間だったので、情報は結構入りました。

その中で、今までのオリンピックでは記憶になかったような新たなことがありました。

 

まず「ロシアの」と紹介されているのに国旗が見慣れたあのロシアでないものだったことで、「ロシアオリンピック委員会所属」で出場していることでした。

ドーピング問題で国として出場できないための措置らしいのですが、では「国」とは何か、「国代表の対決」にこだわらなくてもいいのではないかと、良い意味で前に変化するかもしれないと思ったのですが、どうなのでしょうか。

 

12歳で優勝者が出た競技がありました。今までオリンピックの出場年齢は14歳か15歳ぐらいだと思い込んでいたので検索すると、オリンピック委員会の日本語版でしょうか、「各居住国で定められている最低年齢に達している方」で「下記のリストに居住国の名前が掲載されていない場合の最低年齢は16歳です」とあり、13歳から出場を認められている国もあれば、16歳、18歳とまちまちでした。

日本は13歳からのようですが、それも「制限」されているというわけではなく、各競技委員会が決めた年齢は違うようでよくわかりません。

 

種目によってはまだ体が小さい(軽い)ほうが有利なものもあるのでしょうが、気になったのはこの年齢でドーピング検査を受けることは、15歳までは小児という発達段階を考えると、あの「排泄を人に見られながら検体採取する」ことが耐えられる発達年齢なのだろうかということです。

 

そして意図せずに陽性が出たときに、そのことを受け止めることができる年齢でしょうか。

 

今までのように20歳前後の選手でさえ、競技の勝ち負けで社会からもてはやされたり突き落とされたり「若く、まだ自分が何者なのかわからない」大きな葛藤に悩み、心を壊していく可能性がある競技スポーツの世界です。

せめて16歳という年齢制限は必要ではないか、それは大人側の「金メダルをとらせたい」という気持ちへの制限になってきたようでちょっとシュールですね。

 

 

「競技スポーツを通して健康増進が語られるとき、意図的にないし無意識的に覆い隠されるのは、エリートスポーツがもはや『健康』とはほとんど関係がないという現実」

この感染症が世界的に拡大している中での開催そのものもちょっとシュールですが、なんとかオリンピック自体は無事に終わったと言えるのかもしれません。

それでも選手の低年齢化とかドーピングの対応の不可解さとか、競技スポーツにとって「健康」とは何か、こちらが元気をもらうだけではいけなさそうですね。

 

 

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ドーピングについて書いた記事はこちらにあります。