シュールな光景 26 現実と超現実と

防府で一泊し、開作を訪ねる散歩の二日目は小雨から本降りの雨になりそうです。

 

山口放送の「きょうの天気」は、県内を「北部」「西部」「中部」「東部」に分けていました。そしてそれぞれの地域の波の高さが一緒に映っていました。確かに、山口県というのは日本海から瀬戸内海と、ぐるりと海に囲まれています。

それぞれの地域の天気予報と生活のつながりが見えてくるので、興味深いですね。

 

ニュースでは、マレーシアのロヒンギャ難民脱走のニュースがありました。

2月24日に始まった侵略戦争からわずか35日後には、東欧から極東の国へ難民の方を受け入れる時代がくるとは1980年代に難民という言葉にであった頃からは想像もできないことでしたが、日本からは近くてもなかなか介入できない難民問題が世界中に山積みですね。

そして「難民」という言葉の意味も、こんなに広がる時代になるとは。

 

次にニュースは「45年前の今日、スケトウダラ船団が下関から出港した」という話題になりました。

「200海里の年、そのため今も沿岸漁業は最盛期の10分の1の漁獲量」とのことでした。

 

タンパク質が足りない時代から、栄養を気にしなくて良い時代になりました。

爆発的に増えた人口のお腹を満たし、さらにその誰もが経済的な豊かさを求めるようになったという時代に、遠洋という相手国の沿岸・沖合への漁業が盛んになり、200海里という規制ができた。

1977(昭和52)年の200海里問題は日本だけでなく、規制で守られるはずだった相手国の零細漁業に大きな影響を与えたこともあった。

この45年前の船団が送り出されたニュースに、90年代に行き来していた東南アジアのある地域の漁師の人たちのことを思い出しました。

 

後からなら理想的なことはいくらでも言えるかもしれませんが、これもまた答えのないその時代の葛藤でもありますね。

 

遠出の宿泊先での朝は、ニュースの話題からゆっくりといろいろなことを思い返す時間でもあります。

 

 

*美しい棚田、現実か超現実か*

 

チャンネルを変えると、美しい棚田が映りました。

 

田んぼでの農作業や、斜面の道を歩いて家に戻る映像に、東南アジアで二週間ほど滞在した村を思い出し、まるで自分がそこで歩いているようです。

田んぼで養殖している鯉を捕まえて、しょうがや紫蘇の葉で料理していました。

ほんと、家の周りにあるものであんなに美味しそうな料理ができる生活、うらやましいものです。

 

ちょっと違和感があったのが、レポーターの女性がひらひらのスカートで田んぼのそばを歩き、素肌を出して山の中を散策したり、美味しい料理を食べすぎたからとジョギングのウエアに着替えて走るシーンがあったことです。

感染症も心配ですしね。

そして「古い家への憧れ」があるその女性が、最後は「廊橋」という屋根付きの歴史のある橋の中で、地元の人と胡弓を演奏するシーンで終わっていました。

 

なんだかシュールと感じたのですが、どうやらその地域出身の女性が音楽大学に入学し、自分の故郷に戻ってきたというストーリーと編集でした。

 

シュールな映像に感じたけれど、これがここ半世紀ほどの世界中の近代化に人が葛藤している現実なのかもしれませんね。

驚異的な変化の時代に、新しいものと古いものとの間で揺れている。

私の人生もまさにそんな感じかもしれない。

朝からそんなことを考えていました。

 

さあ、これから小雨の中、開作をまわります。

 

 

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