初めて山陽新幹線の車窓から見たときに惹きつけられた遠賀（おんが）川で、数年来の憧れの場所を歩く計画でしたが風が強く、堤防を眺めて戻って来ただけの「幻の風景」に終わりました。
バスの終点から河口に向かって江川沿いに1kmほど歩きました。
遠賀川との間の堤防がありその向こうに遠賀川河口堰が少しだけ見えましたが、本流の川面は見ることができませんでした。
あのあたりは遠賀川右岸の江川が最後に蛇行する場所で、その先で江川と左岸側の西川が遠賀川本流に合流するようです。
もっとも川幅が広い場所は800mぐらいはありそうで、そこから川幅が狭くなり右手の小高い場所にぶつかるように流れて最後は響湾（ひびきわん）へと注ぐようです。
その風景を見たかった。
まあ、歩こうと計画していた橋が水巻町歴史資料館の展示で遠賀川河口堰だと知っただけでもよしとしましょう。
＊遠賀川河口堰＊
検索すると、国土交通省九州地方整備局遠賀川河川事務所のサイトに「遠賀川河口堰のはたらき」がありました。
このような目的で遠賀川の流れを調節しています。
水を治めるとかいて治水といいます。大雨が降って洪水となったときでも、私たちの生命や財産を守ることです。大雨が降ったら、遠賀川河口堰では、ゲート（水門）を開けて、洪水を安全に海に流します。
利水 飲み水がいつでも安心して飲めるようにします。
川の水を使用することを利水といいます。遠賀川河口堰では、ゲート（水門）を閉めて川の流れを堰き止め、取水場から水を汲み取っています。
その水は、北九州市や周辺に住む皆さんの家庭の水道水や、農業用水、その他工場などにたくさん使われています。
塩害防止 海の水が川にさかのぼらないようにします。
海の水は、1日に2回起きる潮の満ち引きにより、川を上流へとさかのぼってきます。この海の水と川の水が混ざってしまうと、農業用水として田んぼなどで使うことができません。そこで、遠賀川河口堰では、海の水が河口堰よりも上流にのぼって行かないよう、ゲート（水門）を閉じます。だから川の真水を使うことができるのです。
ちなみに河口堰の長さは「約517メートル（普通乗用車が、約130台も並びます）」とありました。
水巻駅に降りた時に強い川風が吹いていなかったら、それを渡ろうという無謀なことをしていたようです。
資料には「長良川河口堰が水を貯める範囲」として、「長良川河口堰から、中間市にある新日鉄堰までの間が、遠賀川の水を貯める範囲です」とあり、約9.3kmの区間のようです。
地図で確認すると、筑豊鉄道と福北ゆたか線にはさまれたあたりまででしょうか。「遠賀川水源地ポンプ室」やそのインフォメーションセンターがありました。
あのまっすぐな遠賀川の区間はただの放水路ではなく、ゆるやかに真水を貯めるダムのような場所だったのだとわかりました。
そして遠賀川両岸に蛇行した川がそれぞれ流れている不思議な場所で地図に見入っていたのですが、淡水の遠賀川と混じらないようにするためでしょうか。
そして北九州市へと送水されている。
新幹線の車窓から見えた美しい水田地帯の、隠れた水の機能がわかりました。
さすが国土交通省のわかりやすい資料ですね。
＊おまけ＊
この資料を読んで、2021年に訪ねた長良川河口堰と重なりました。
かつては輪中が散在していた地域が「木曽三川」になり、あの伊勢湾台風で甚大な被害を受けた歴史、そして私が生まれた頃はまだ「死ぬまでに真水を飲みたい」と願っていた知多半島先端や島々まであの長良川河口堰から真水がはるばると送水されるようになったのでした。
そうそう、長良川河口堰を訪ねた日も風速8mの川風に驚かされたのでした。
橋の上を歩くことを考えただけで足がすくむ私には到底できないような、風と水の危険と向かう作業をしてくださる方々のおかげで水害から守られ、「清浄、豊富そして低廉な水」のある日常生活を送ることができ、そして美田から安定した主食を生み出しているのですね。
この地域の「わがふるさと、おんが米」のように。
「水のあれこれ」まとめはこちら。
失敗とかリスクについてのまとめはこちら。
「お米を投機的に扱わないために」まとめはこちら。
